スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

(←お礼画像&SS付きです)

社会人・恋人編<92>

定時の20分前に席に付く。

政文の足の捻挫の具合が気にならないと言ったらウソになるけど、小萩が付き添ってくれているのだから心配ないだろう。

まったくあいつもいい加減、ドジなんだから。

尾行してた相手に病院に連れて行ってもらうなんて、論外だよ。

まぁ、いずれこのことは政文にきっちりと・・・

と思っていることろに、携帯にメールの着信があり───






─Up to you !Ⅱ─<第92話>






メールは瑠璃さんからで、急いで開くと

【少し遅れます】

それだけ書かれていた。

小萩に政文を任せたら、すぐに出社すると言っていたのに、何かあったのだろうか・・・

【どうした、何かあったのか】

慌てて打ち返してみたものの、それ以降返信がなく、ヤキモキしつつも、それでも仕事は待ってくれないので取り掛かっていると

「あら?瑠璃は?」

上から声が落ちてきて、顔を上げると水無瀬が立っていた。

「少し遅れるって連絡があった」

「あらそう」

そう言って少し考える風だった水無瀬は

「・・・ねぇ、藤原くん、瑠璃が来たら総務に来るように伝えてくれない?」

「いいけど。・・・何か急ぎの用なら聞いておくけど」

そう聞くと、水無瀬はぐっと声のトーンを落とし

「あの子、昨日も遅刻してきたでしょ。2日連続遅刻はマズいから、いっそ半休扱いにした方がいいわ。本来なら半休は事前の申告が必要だけど、私の方で勤怠管理をいじって上手くやっておくわ。それには瑠璃の社員カードが必要だから、瑠璃が出社してからじゃないと無理なのよ」

「わかった。伝えておく」

確かにうちの会社の体質なのか分からないけど、下手に遅刻扱いにするくらいなら有休を使って半休にした方が査定に響かないと言うのが定説になっている。

そしてどう言うわけだが、これまた古い体質なのかも知れないけど、有休を取る時にも、その理由を申告しなければいけないのだ。

もちろん、適当なことを書く人もいるし、だけど、例えば冠婚葬祭とか実家に帰るとかの予定はやっぱり正直に書く人の方が多く───

と、そこまで考えて、ふと閃くものがあった。

「水無瀬。半休や全休を取るための理由って、総務の方で管理してるのか?」

「してるわよ。大きな声じゃ言えないけど、人事考課に反映されるもの」

「それってどんな管理方法なのか?」

「どんなって言われても・・・」

そこまで言い、更に声を潜めると

「ほら、この間、権野さんが見てたのがそれよ」

「え。権野が見てたのは住所とか履歴書の個人情報じゃなかったのか?」

「正確には、それも、よ。住所も履歴書も載ってるし、他には勤怠も人事評価も有休消化率も、果ては休んだ理由までも全部載ってるのよ。人事考課に直結する情報ばかりでトップシークレットよ。だから厳重にパスワードが掛かってるって言ったじゃない」

「・・・」

「唯一、電話番号だけは別で管理しているけどね」

「え」

「いくらね、これだけネットが普及しても、やっぱり電話連絡先って必要なのよ。何かの時には直に話すのが一番早いし、だから、社員の電話番号だけは別口で管理してるのよ」

「と言う事はパスワードも違う?」

「当然」

「・・・」

ぼくは目まぐるしく頭を回転させた。

ぼくはここ最近だけで、三度、実家に帰省している。

一回目は仁菜子さんとのお見合いの場を勝手に設けられた時、つまりは瑠璃さんと鴨川でばったりと会った時のことだ。

その次は、瑠璃さんと横浜をドライブ中、いい雰囲気だったところにふいに携帯がなり、祖母が危篤だと知り、慌てて新幹線に飛び乗った時。

そして三回目はついこの間、由良の東京旅行の身の潔白を晴らすための時。

一回目と二回目は、どちらも週末の土日を使っての帰省で、二回目は平日だったので、翌日、京都から会社に電話を掛けて、休む理由を伝えている。

つまり、ぼくの勤怠表に<京都に帰省>と書き込まれていたと言う事だ。

そして、瑠璃さんの「世紀の大告白」も、何あろう、この帰省の時なのだ。

あの場面を、ああもタイミング良く撮影することが出来たのは、ぼくが京都に帰省することを知り、ぼくの後を付けていたんじゃないだろうか。

「・・・」

そうか、そう言うことだったのか。

鷹男チーフの知っているパスワードは、電話番号のみが記載されているだけのもので、曽茅野氏は、そのもっと前からトップシークレットの方のパスワードを知っていたに違いない。

そうして、ぼくの行動をチェックしていたんだ・・・。






…To be continued…


「社会人編」そろそろラストスパートです。楽しんでいただけましたら、クリックで応援をお願いいたします。
↓↓




(←お礼画像&SS付きです)

乳姉妹ブログ「続・後宮物語<6>」更新しました!

瑞月です。

いつもご訪問いただきありがとうございます。

乳姉妹ブログ「あれこれプラス」に「続・後宮物語<6>」をアップしました。


ランキングに参加しています。クリックで応援をお願いいたします。
↓↓




(←お礼画像&SS付きです)

『二次小説作家さんに捧ぐ』ブログへの投稿のご案内

瑞月です。

いつもご訪問いただきありがとうございます。

すでにお気づきの方もいらっしゃるかも知れませんが、少し前から『二次小説作家さんに捧ぐ』と言うブログをリンクにお迎えしています。

こちらのブログはブログ名が示すように二次小説作家のために、管理人のwith you..さまが立ち上げられたブログです。

with you..さまは二次小説ブログにしばしば見られる中傷コメント、中傷行為を撲滅したいと言うお考えの持ち主で、私も強く賛同しています。

私は以前、ある人から執拗な中傷行為を受けたことがあり、また今年の6月にもありました。

私のことを「被害者を装った悪質な加害者」と言い、「こういった手の込んだ悪質な中傷行為もある、という一例として、記事として取り上げて頂けないだろうか」と言う要望を、『二次小説作家さんに捧ぐ』の管理人さんに出したのです。

この場で、それにまつわる詳細を述べることは今は控えますが、長きに渡る悪質な中傷行為に、私はある決意をしました。

『二次小説作家さんに捧ぐ』さんでは二次小説を募集しているのですが、自分の体験した中傷被害を「二次小説」と言う形で公表していくことにしました。

『二次小説作家さんに捧ぐ』さんが二次小説を募集するに至った経緯を簡単に説明しますと、まず、こちらのブログはブログ村の「二次小説カテゴリ」に登録して参加していたのですが、通報により他のカテゴリに移動させられてしまいました。

管理人さんは、二次作家のためのブロぐなのだから二次小説カテゴリにいたいと思われ、それならば二次小説を掲載したらいいのではないか、と思われたのでした。

私はこちらのブログが開設後、程なくしてその存在を知り、ずっと応援しており、Crescentの名で早い段階から二次小説を投稿しています。

前置きが長くなってしまいましたが、今、私が連載している二次小説は、静香ちゃんが二次作家を目指すと言う設定で、静香ちゃんの身の上に起きる出来事は、私の実体験を元にしています。

今、9話まで進んでいます。

ジャパネスクとは全く関係のない話ですが、私は強い思いを持って書き進めています。

ぜひ、読んでいただければと思います。

「二次小説作家さんに捧ぐ」

カテゴリにある「虹の彼方に<静香、二次作家への道>」がそれです。

また「コメント・中傷コメント等」のカテゴリの記事もご一読下さい。

コメント欄まで読んでいただけたら、上記で述べた「今年の6月にあった出来事」の一端がわかると思います。

説明が駆け足になってしまいましたが、私がここで説明するよりも、捧ぐブログさんを見ていただいた方が早いと思います。

お読みになられ、ご質問、ご意見等ある時は、コメント欄よりお寄せ下さい。

非公開コメントの場合、返信を付けるにあたり、多くの方に私の発言を誤解ない形で伝えるため、一部公開、または引用する場合もございます。



ジャパネスクの創作活動とは別に、私は自分の受けた中傷行為を発信して行きます。
中傷行為を「なかったこと」には出来ません。
中傷コメントなどなくなり、皆が安心して楽しめる二次創作の場がくることを願っています。
クリックで応援をお願いいたします。
↓↓



(←お礼画像&SS付きです)

乳姉妹ブログ「続・後宮物語<5>」更新しました!

瑞月です。

いつもご訪問いただきありがとうございます。

乳姉妹ブログ「あれこれプラス」に「続・後宮物語<5>」をアップしました。


ランキングに参加しています。クリックで応援をお願いいたします。
↓↓




(←お礼画像&SS付きです)

***短編*** 秋は夕暮れ<社会人編・高彬 ver.> ***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)このお話は一話完結です。社会人編設定の2人です。
               
        






***短編*** 秋は夕暮れ<社会人編・高彬 ver.> ***







ピンポン、ピンポン、ピンポン───

連打されるインターフォンの呼び出し音に、のろのろと玄関に向かう。

ゆっくりと歩いてるのに、それだけで頭がガンガンする。

鍵を外しドアを押し開けようとすると、それよりも早くに向こうからドアが開き、そこには仁王立ちした瑠璃さんが立っていた。

「もうっ」

ぼくの顔を見るなり、怒気を含んだ声音でそう言い放ち、ずんずんと玄関に入ってくると、靴を履いたまま

「どうなの、熱は」

ぼくの額に手の平を当てる。

「・・・まだ、だいぶあるじゃない。ほら、早く横になって。何、ふらふら起き出してるのよ」

「それは、瑠璃さんがチャイムを鳴らしたから・・」

「・・・」

ジロリと睨まれ、首をすくめる。

先に寝室に入っていった瑠璃さんは

「うわっ、お酒くさ・・・」

窓を開け、手早く簡単なベッドメイキングをすると

「さぁ、寝て」

ベッドを指し示した。

「・・うん」

言われるがままにベッドに入ると、瑠璃さんが布団を掛けてくれた。

開け放たれた窓から入ってくる、ひんやりとした秋の風が火照った身体に心地良く、目を閉じひとつ大きな息を吐く。

キッチンの方でガサゴソと音がしていたと思ったら、少しすると瑠璃さんがお盆を手に戻ってきた。

「ほら、飲んで」

アルカリイオン水と、どういうわけだか湯気の立つ湯呑みがある。

中には梅干しが入っていて

「ほうじ茶と梅干。二日酔いと風邪には最強に効くんだから」

とのことだった。

上体を起こし、まずはアルカイオン水を飲み、ゆっくりとほうじ茶を口に運ぶ。

「上手い」

「でしょ?」

ベッドに腰掛けて、半身を捻ってぼくと向かい合っていた瑠璃さんは得意げに眉を上げて見せた。

「それにしても、びっくりしたわよ。何度、携帯に掛けても出ないんだもん。何かあったんじゃないかと心配しちゃったじゃない」

「うん、悪い・・」

「どうしてそんなに飲んだのよ。そんなにお酒強くないくせに」

「京都の友だちが仕事で上京してきて、飲もうって連絡があってさ。で、そいつに付き合って二軒目、三軒目と行ってるうちに、つい、さ。そいつが酒豪だったことを忘れてて」

「まぁ、久しぶりに会えばそうなることも分からなくもないけど。でも、その後、エアコン付けっ放しで寝て、ご丁寧に風邪までひくことないじゃない」

「うん・・、タクシーで家帰ったことまでは覚えてるんだけど、それから先のことは覚えてないんだよ。朝、起きたらリビングの中が冷え切っててさ。着替えもせず、ソファで寝てたんだよ」

「・・・」

「頭は痛いし、ぞくぞくするし、取りあえず着替えてベッドに潜り込んでさ。携帯をリビングに置きっぱなしにしてたから、着信があったことも気が付かなくて」

家の電話が鳴り続いて、ようやく瑠璃さんがぼくに何度も電話を掛けていたことに気が付いたのだ。

電話口である程度の事情を知った瑠璃さんは

「すぐ行くから」

と言い、本当にすぐにやってきた。

ほうじ茶を飲み終え、再び横になったぼくを見下ろしながら

「まったく・・」

しっかりしてるようで抜けてるんだから・・・

などと瑠璃さんはブツブツと言い

「どうする?病院行く?土曜日だから、診察は午前中だけのことろが多いと思うけど、探せば診てくれることろもあるかも知れないわよ」

「いや、大丈夫だよ、病院に行くほどじゃない気がする。さっき、クスリ飲んだし。このままにしてたら治りそうだ。ところで、今って何時?」

「・・4時半を回ったことろよ」

手を伸ばし、サイドテーブルに置かれたデジタル時計を確認すると、瑠璃さんは窓を閉めるために立ち上がった。

「少し、寝なさいよ」

「・・うん」

さっき飲んだクスリが効いてきたのか、ウトウトと眠たくなってくる。

瑠璃さんの手の平が額に触れる感覚を最後に意識が薄れ、次に目が覚めた時には、部屋中がオレンジ色に染まっていた。

瑠璃さんは変わらすベッドに腰掛けていて、逆光でどこを見ているかは判らず、だけど、すぐに

「どう?」

そう聞いてきたところを見ると、もしかしたらずっとぼくの顔を見ていたのかも知れない。

「うん、さっきよりだいぶ楽になった気がする」

「そう、良かった。まだ寝られるなら、寝たらいいわ」」

「瑠璃さんはどうするの?」

「あたし?あたしは少ししたら帰るわ。明日、朝早くから用があるのよ」

「・・・うん。わかった」

頷きながら、また、すぅっと眠りに入って行く。

次に目が覚めた時、更に部屋はオレンジ色が濃くなっていて、やっぱり瑠璃さんは同じ場所に座っていた。

「・・あぁ、瑠璃さん。まだ、いたんだ・・」

「・・そうね、何だか帰れなくて・・」

どこか困ったような口調で言い、それきり黙っている。

目を瞑って開けるたびごとに部屋のオレンジ色は濃くなっていき、しまいには瑠璃さんのシルエットしか見えなくなった。

多分、次に目を開けた時も、瑠璃さんはいてくれるんだろうな───

そうして目を覚ましたぼくに向かい

「どう?」

と心配そうに聞いてくるに違いないのだ。

口は悪いけど、誰よりも優しい人だから。

次に目が覚めたら、瑠璃さんに

「愛してる」

とでも言って見ようか。

病人の戯言に紛らわせて、たまにはキザなセリフを言ってみるのも悪くないかも知れない。

少しばかり人を感傷的にする秋と言うのは───

悪くない季節だと、思う。






~Fin~




社会人編版の<秋は夕暮れ>、楽しんでいただけましたらクリックで応援をお願いいたします。
↓↓



(←お礼画像&SS付きです)

乳姉妹ブログ「続・後宮物語<4>」をアップしました。

瑞月です。

いつもご訪問いただきありがとうございます。

乳姉妹ブログ「あれこれプラス」に「続・後宮物語<4>」をアップしました。


ランキングに参加しています。クリックで応援をお願いいたします。
↓↓




(←お礼画像&SS付きです)

***短編*** 秋は夕暮れ<高彬 ver.> ***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)このお話は一話完結です。
               
             






***短編*** 秋は夕暮れ<高彬 ver.> ***










文月の終わり───

まだまだ照り付ける陽射しは強いし、少し身体を動かせば汗ばむほどの気温である。

今年の夏はどうやら残暑が厳しいようで、暦の上では秋だと言っても、実感として秋が来たとは思えない。

季節の移ろいを感じ、花鳥風月を歌に詠むことが宮廷人と思われがちだけど、こう仕事に忙殺されると、日々、季節を感じてる暇はないわけで、まぁ、それはぼくが人一倍、そう言うことに疎い朴念仁だからなのかも知れないけど。

でも、実際、仕事に追われていれば、季節どころか雨が降りだしたことさえ気が付かない生活を送っている、と言うのが本当のところなのだ。

今日も朝から休む間もなく仕事をこなし、午後になって大蔵省へ書類を届けるため、右近衛府を出て歩き出したところで、ふと足元に影が動き、反射的に空を見上げた。

頭上を鳶が横ぎったようで、それが作った影のようである。

鳶は悠々と回遊を続け、立ち止まりそれを見ていたぼくは

「あ」

と声を出してしまった。

空が高い───

この前、空を見上げたのがいつだったか覚えてないけど、その時よりも空が高くなっている。

そうか、やっぱり秋は来ていたんだ。

ぼくの体感はともかく、どうやら季節は確実に移ろっているようである。



*******



「で、それをあたしに言いに来たと、そう言うわけ?」

「うん」

「前見た時よりも、空が高かった、と」

「うん」

「・・・」

瑠璃さんは少し目を細めるようにしてぼくの顔をじっと見ていて、どうやら、ぼくの真意を計っているようである。

「何だかさ、どうしても瑠璃さんに言いたくなったんだよ。他に話せるような奴も・・、その、・・いないし・・」

「・・・」

じっと見られると居心地が悪くなってきてしまい、ぼくは語尾をあやふやに飲み込んだ。

空が高いと気付いた時、ものすごい大発見をした気持ちになり居ても立っても居られなくなって、今日ばかりは早々に仕事を切り上げて三条邸に駆け付けたんだけど・・・

でも、時間が経ってみたら、確かに

(それがどうした。だから何なんだ)

と言う感じで、どうでもいいことのように思えてくる。

何でこんなことを大発見と思ったんだろう。

勇み足だったかな・・・

夢から醒めたような気持ちで、気まずさや一抹の恥ずかしさを感じていたら

「それは大発見だったわね」

瑠璃さんがにっこりと笑いながら言い

「あたしも見てみよ」

なんて言いながら立ち上がると、スタスタと部屋を横切り、簀子縁に立った。

そうして、勾欄に両手を付き身を乗り出すようにして空を見上げると

「あー、本当ね。空が高くなってる。すっかり秋の空だわ。・・・高彬もこっち来て一緒に見ない?」

最後の言葉は、振り返って言う。

「う、うん・・」

気を遣ってもらった感は否めないけど、それでも瑠璃さんの隣に立ち、同じように空を見上げると

「あれ?」

不思議なことにさっき見た時よりもまた一段と空が高くなっているように見える。

「ね?高いわよね」

「うん」

夕刻になるに連れ、秋の空と言うのは益々空が高く見えるのだろうか───?

理由は判らないけど、薄い空色に刷毛で描いたような雲が流れる空は、清々しいほどの透明感を持っている。

「ほら、あたしってずっと室内にいるでしょ?だから、考えて見たら空を見ることってあんまりないのよ。こんなに空が高くなってるなんてこと気付かなかった」

空を見たままの姿勢で瑠璃さんが言い、その言い方からは、ぼくに気を遣って言っているのか、それとも本心からそう言っているのかは判らず、何となく探るような目で見ると、チラリと瑠璃さんの視線が動き

「やぁねえ、疑ってるんでしょ。本当にそう思ってるわよ。そんなことで高彬に気なんか遣わないわよ」

ぼくの気持ちなんか先刻承知とばかりに笑って見せた。

しばらくは2人、黙って空を見上げる。

何の物音もせず、ただ、時間だけが流れて行く。

慌ただしく仕事に追われる生活からは、考えられないくらいの穏やかな時間。

「・・・少しだけ空が染まってきたみたい」

内緒話をするように瑠璃さんが言い、確かに西の方が夕焼け空になりつつある。

秋の日はつるべ落とし───

見ている間に、どんどん空の色が変わって行き、やがて空全体が綺麗な夕焼け色に染まった。

「すごい・・、きれい・・」

見上げたまま、呆けたように瑠璃さんが言い

「うん」

ぼくも言葉少なに頷いた。

こんなにも空と言うものは綺麗なものだったのか・・・

じっと見ていると、吸い込まれそうにも、反対に夕焼け空が迫ってくるような気もしてくる。

「きれいね・・」

「うん。綺麗だ」

空を見たままそれだけ言い合って黙ると、また、何の物音もしなくなる。

明日から、また忙しい毎日が始まる。

きっと空なんか見上げる時間もないくらい、仕事に忙殺されるに違いないのだ。

瑠璃さんと見上げた、今日のこの秋の夕暮れを、目に焼き付けておこう。

多分、これでしばらくは頑張れる。

瑠璃さんがいてくれて良かった。

些細な<大発見>を伝えたいと思う人が、瑠璃さんで良かった。

チラリと隣に目をやる。

優しいぼくの妻は、その頬も髪も指先も、全てを夕焼け色に染めて、ぼくが見ていることにも気付かずに、秋の夕暮れに見入っているのだった。





<終>

「枕草子シリーズ」、楽しんでいただけましたらクリックで応援をお願いいたします。
↓↓




(←お礼画像&SS付きです)

乳姉妹ブログ「続・後宮物語<3>」更新しました!

瑞月です。

いつもご訪問いただきありがとうございます。

乳姉妹ブログ「あれこれプラス」に「続・後宮物語<3>」をアップしました。


ランキングに参加しています。クリックで応援をお願いいたします。
↓↓




(←お礼画像&SS付きです)

乳姉妹ブログ「続・後宮物語<2>」更新しました!

瑞月です。

いつもご訪問いただきありがとうございます。

乳姉妹ブログ「あれこれプラス」に「続・後宮物語<2>」をアップしました。


ランキングに参加しています。クリックで応援をお願いいたします。
↓↓




(←お礼画像&SS付きです)

<原作オマージュ>18~原作一巻より 

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』




注)このお話は原作のあるシーンを高彬目線で書いていますのでネタバレとなっています。
原作未読の方はご注意ください。
今までのお話は<オマージュリスト>からどうぞ。
          
          





***<原作オマージュ>18~原作一巻より***








三条邸に向かう車の中で、逸る気持ちを抑えるように、ぼくはぐっと拳を作っていた。

やっと瑠璃さんから結婚の許しがもらえたんだ・・・

「高彬、急にどうしたの?ぼくに用って何?」

車寄せに付くと、融が不思議そうな顔で立っており、ぼくは車から下りると融に近づいて行った。

実は宮中を出る時、従者らには

「融の用があるから」

と言い、三条邸に向かわせたのである。

どうにも、まだ右大臣家の中には、結婚相手に兵部卿宮の二の姫を推す声が多く、あまりあからさまに瑠璃さんのところに行くと公言するのは、得策ではないように思ったからだ。

「まぁ、話は部屋に行ってからするよ」

融の肩を抱くようにして、西の対の屋の融の部屋に向かい歩き出し、従者の目の届かない場所に来たところで

「ごめん、融」

踵を返し、東の対の屋に方向転換をする。

「高彬、なんだよー。待ってよー」

後ろから融も付いてくる気配があり、角を曲がったところで、今度はばったりと大納言さまが現れた。

「おぉ、これは!高彬どの」

「大納言さま!」

「どうされたのじゃ、そんな赤い顔をして急がれて。もしや・・・、また瑠璃が何か突飛なことでもやらかして・・」

眉根がぐっと寄ったかと思うと

「高彬どの、許されてくだされ。どうにも我儘な姫じゃが、あぁ見えて実は・・」

「大納言さま。実はこれ」

大きな勘違いをされている大納言さまに、懐から出した文を差し出すと

「はて、これは・・」

怪訝な顔で読み始め、その顔に見る見る喜色が広がっていった。

「高彬どの、これは・・!」

「はい、今日、宮中にこれが届きまして、こうして駆け付けてきました」

大納言さまはせわしなく何度も文を読むと、文を持ったまま走り出してしまった。

そうして

「高彬どのは瑠璃の部屋に行ってくだされ!わしもすぐに行く!」

何度も振り返りながら言い、持っていかれた文が気にならないではなかったけど、とりあえずは瑠璃さんの部屋だと思い、ぼくも足早に部屋に向かう。

最後はほぼ小走りのようになりながら瑠璃さんの部屋に付くと、先触れを出してなかったから当然なんだけど、孫廂にも廂にも女房らの姿はなく、ぼくはそのまま部屋に走り込んだ。

ぼくに続き、融も走り込む。

女房相手に碁を打っていた瑠璃さんが振り返り

「どしたの、高彬・・・」

ポカンと言った。





<続>



オマージュ編です。
初々しい高彬と瑠璃、楽しんでいただけましたらクリックで応援をお願いいたします。
↓↓



(←お礼画像&SS付きです)
プロフィール

瑞月

Author:瑞月
瑞月(みずき)です。

ランキングバナー

にほんブログ村

ランキングに参加しています。
楽しんでいただけましたら
クリックで応援をお願い致します。
1日1クリック有効です。
初めにお読みください
**当ブログの簡単な説明です**
当ブログは「なんて素敵にジャパネスク」の二次小説を掲載しております。 二次小説と言う言葉を知らない方や苦手な方は閲覧ご注意ください。 また読後のクレームはお受けできません。 「ごあいさつ<最初にお読みください>」も合わせてご一読下さい。
カテゴリ
別館
乳姉妹ブログ
日記ブログ
掲示板
なんて素敵にサイト様 
最新記事
ご訪問ありがとう(H23.11.28-)
**オンラインカウンター**
現在の閲覧者数:
コメントありがとうございます
お礼SSや「他己紹介」があります。
web拍手 by FC2
** あれこれ投票所 **
お好きなジャンルをお選びください。 投票は何度でも可能です。
*** あれこれ投票所2 ***
メールフォーム(ご用の方はこちらから)

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー
01 | 2018/02 | 03
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 - - -
月別アーカイブ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。