社会人・恋人編<87>

※多少、セクシャルな描写があります、苦手な方は閲覧ご注意ください。



耳朶の外側を舌でなぞり、甘く噛むようなキスを繰り返すうち、瑠璃さんの項がほんのりと赤くなってきた。

顎に手を掛け、顔をこちらに向かせ唇にキスをする。

今度は舌を入れ、口内を掻き回しながら乳房を揉むと───





─Up to you !Ⅱ─<第87話>






「・・んん・・」

瑠璃さんは吐息交じりの声を上げた。

どこまで、この明るいリビングで瑠璃さんがさせてくれるか試してみたい気持ちになり、ホックを外して露わになった乳房を両手で覆う。

細い肩が少し動いたけど、特に瑠璃さんは何も言ってこず、ぼくはそのままゆっくりと手を動かし始めた。

瑠璃さんの横顔をそっと見ると、さっきと同じように目を瞑り、ほんの少しだけど眉根を寄せているようにも見える。

先端を手の平で転がし、指先で摘むと、瑠璃さんの身体が少し固くなった。

耳にキスをしながら、その動作を繰り返すうち、だんだんと瑠璃さんがぼくに身体を預けてきて、しまいには力が抜けたように完全に寄りかかってくる。

手を下に這わせて行き、腰を辿り、そのまま下着に指を掛けて中に入れて行くと、パっと瑠璃さんに手を押さえられてしまった。

ぼくの手の甲の上に自分の手を置き、行く手を阻もうとするかのように力を入れている。

横から顔を覗き込むと

「・・ここじゃ、イヤ」

火照った顔で瑠璃さんが言い

「・・・」

いや、そんな顔で、そんなこと言われると、却ってここでしたくなるんだけど・・・

煽ってる気はないんだろうけど、瑠璃さんは男心をまったく分かっていない。

ぼくの沈黙を何と思ったのか

「ベッド、行きたい」

重ねて言ってくる。

いや、何を言いたいかは充分、分かってるんだけど。

「もうちょっとだけ、ここで。・・・ね」

頬にキスをして機嫌を取るように言うと、取りあえず瑠璃さんは口をつぐんだ。

どうせなら───

なんて言ったら瑠璃さんは怒るだろうから言わないけど、どうせなら、このままここでしたい。

感じてる瑠璃さんの顔も良く見えるし、たまには違う場所でと言うのも興をそそられる。

片手で瑠璃さんの手を外し、指先を進めていくと、瑠璃さんの脚に力が入り閉じられた───ような気がする。

「・・・」

だから、どうしてそう言う無駄な抵抗をするのかな、瑠璃さんは。

力でぼくに敵うわけないし、何よりも、そう言う仕草が男心に火を付けるのだと言う事を、本当にわかっていない。

どれくらい瑠璃さんが脚に力を入れていたかは知らないけど、ぼくはなんなく脚を開かせると、遠慮なく指を進めて行った。

しっかりと濡れたそこに、するりとぼくの指は滑り、今度こそ、瑠璃さんは

「あっ」

と小さく声を上げた。

思わず顔を見ると、瑠璃さんは首を横に振った。

濡れているのが自分で判っていたからこそ、ぼくが触るのを瑠璃さんは拒んだのかも知れない、と思うと、堪らない気持ちになる。

エロさと愛しさは両立するものなんだと言うことを、しみじみと実感する瞬間だ。

指を意識的に感じやすい所に当てがって動かすと、瑠璃さんは息を飲むように、無意識に腰を引いた。

引いたところでぼくの膝に座っているのだから、逃げ場なんかあるわけもなく、むしろ、もっとぼくに身体を密着させただけである。

後ろから抱きすくめ、動けないようにして愛撫を続けて行く。






…To be continued…


お休み前の更新は明日までです。
明日一回の更新で、らぶポカシーンが終わるのか心配になってきました。
私も高彬も、すっきりさっぱりした気分でお盆休みに入りたいものです。
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社会人・恋人編<86>

※多少、セクシャルな描写があります、苦手な方は閲覧ご注意ください。



頬に当たる瑠璃さんの胸は柔らかかった。

細い腰に腕を回したまま顔を上げると、ほんのりと頬を赤くしたまま、困ったような顔でぼくを見下ろす瑠璃さんと目が合った。

思えばこの角度は新鮮でもあり───




─Up to you !Ⅱ─<第86話>






小柄な瑠璃さんを見下ろすことはあっても、見上げる機会は少ない。

それは、通常でも、ベッドの上でも、だ。

果たして、瑠璃さんも、ぼくを見下ろすことを珍しいとでも思っているのか───

は、定かじゃないけれど、じっとぼくと目を合わせたままにしている。

腰に回していた手を瑠璃さんの頭に回し、屈ませてキスをした。

ともすれば、離れて行こうとする頭を強めに押さえてキスを続ける。

舌を入れるのはまだ先にして、まずは唇をじっくりと味わっていく。

柔らかい瑠璃さんの唇。

瑠璃さんが好きなキスは、軽く触れるようなのを繰り返すキス。

わざと音を立てながら繰り返してやると、(ふふ・・)と瑠璃さんが声にならない笑いを漏らした。

ブラウスの裾を引き出すと、中に片手を滑り込ませ、滑らかな肌に触れる。

瑠璃さんは少し身を捩ったけれど、すかさず腰に腕を回し、動きを封じるようにして手を侵入させていく。

細いウエストから少し窪みのある背中に手を這わせ、指先で窪みを下から上になぞり上げ───

ホックを外そうかどうしようか、一瞬、迷い、まだ外さないことにして、下着の上から乳房を揉むと

「・・ん」

と、瑠璃さんは声を上げた。

いきなり、を嫌がる瑠璃さんに拒絶されないように、下着の上から優しく揉みしだいていく。

瑠璃さんは目を閉じ、少し唇を噛んで、じっと何かに耐えているような顔をしていて、この顔はぼくが好きな顔の中でも上位にくるものだったりする。

瑠璃さんが、だんだん感じ始めている時の顔。

ブラウスを脱がせ、カーキ色のふわりとしたボトムスも続けて脱がせ下着姿にすると、ほんの少し瑠璃さんはたじろいだけど、特別な抗議はしてこなかった。

「瑠璃さん。ネクタイ、外してもらえる?」

そう言ってみると、意外にも瑠璃さんはコクンと頷いて、両手を伸ばしてきた。

「ボタンも」

ネクタイを外し終えたタイミングで言ってみると、またしても素直にシャツのボタンを外しにかかってくる。

同じことをお願いしても、良い時とダメな時があり、その違いがぼくには判らない。

深い意味があるのかないのか、ただの気まぐれなのか、その答えは瑠璃さんのみぞ知る、だ。

でも、どんな願いでも、叶えてもらえれば嬉しいし、さらに言うなら男なんて単純だから、調子にも乗る。

「座って」

瑠璃さんの手を取り、向こうを向かせると、ぼくの膝の上に座らせる。

座る瞬間、瑠璃さんの目線がちらりと窓の方に向き───

カーテンは閉まっている。

瑠璃さんも何も言わなかった。

後ろから腕を回し、抱きしめる。

次いで、肩に掛かる髪を両手でかき上げると、むき出しになった細い項にキスをする。

最初は優しく、段々と噛みつくようなキスを───

耳朶の裏に舌を這わせると、ビクリ、と瑠璃さんは身体を震わせた。






…To be continued…


イスから転げ落ち唐突に電話を切られた守弥のことなど、もう忘れました。
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社会人・恋人編<85>

『若君、デートクラブの件、調べが付きました。やはり、あの日、女性の名で登録したのは曽茅野氏でした』

守弥の淡々とした声がスピーカーから流れ───





─Up to you !Ⅱ─<第85話>






思わず瑠璃さんと目が合い、ぼくが口を開きかけると、瑠璃さんは「しっ」と唇の前で指を立てた。

守弥に自分が聞いていることを知られたくないらしい。

そうして、じろりとぼくを睨んでくる。

瑠璃さんの言いたいことは判っている。

自分に隠れてこんなことまで調べていたと言う事が、面白くないのだ。

(まぁまぁ)と目で宥め

「それは確かなのか?」

テーブルに置いたままの携帯に向かい言うと

『はい。あの日のデートクラブに残っていたデータログのIPアドレスと、春日どのの携帯に残っていた曽茅野氏のメールのIPアドレスが一致しましたから間違いありません』

「そうか・・」

『ですが、これを証拠として曽茅野氏に提示は出来ませんね。私もかなり法的にギリギリのところでデートクラブのデータログを入手してますから』

隣の瑠璃さんが肩をすくめる。

『少なくともデートクラブの件は、瑠璃さまの仕業でないことはこれで確定しました。しかし、まだ・・・』

「ばっ、守弥、おまえ・・・」

『まぁ、動画のアップは、まだ完全に瑠璃さまの仕業でないとは言い切れませんが』

「やってないって言ってるでしょ!」

ドン、とテーブルを叩きながら瑠璃さんが声を張り上げ、次の瞬間、スピーカーから「ひぃ」と言う短い叫び声と、ガラガラ、ドタドタ、と変な音が聞こえた。

イスから転げ落ちたのかも知れない。

『そ、その声は・・・!』

「そうよ!瑠璃さまよ!守弥。あんた、まだあたしを疑ってるの?」」

瑠璃さんは携帯を手に取ると、マイクに向かって凄んで見せた。

「・・・」

さすがの守弥も黙り込み、ぼくは慌てて通話ボタンを押した。

さっきとは比べものにならないくらいの迫力で睨まれ、ぼくはゴクリ、と唾を飲み込んだ。

守弥への怒りが、ぼくに向いてきたらしい。

「いや、ほんと、面目ないよ・・・」

どうしてぼくが謝らなきゃいけないんだと思いつつ、謝ってしまう。

「・・・」

「あいつも悪い奴じゃないんだけど、どうも考え方が偏屈と言うか、了見が狭いようなところがあって」

「大江も言ってたわ、兄は性格が悪いんですって。実の妹が言うんだから、間違いないんでしょうね」

瑠璃さんは(ふん)と鼻を鳴らしながら言い、そうして、ふと思い出したように

「ねぇ、そう言えば、煌も守弥のこと知ってたわよ。何て言ってたかな・・・。確か、煌のお茶だかお華だかの先生が、大江たちのお母上の姉妹の方だったとか」

「へぇ・・」

初めて聞くことで驚いていると

「ほんと、世間って広いようで狭いわよね」

守弥への怒りから気が逸れたのか、瑠璃さんがしみじみと言い、ぼくも大きく頷いた。

瑠璃さんは拳を口元に当て、何事かを(ふーむ)と言う感じで考えていて

「ねぇ、瑠璃さん」

ぼくは隣に立ったままの瑠璃さんにイスごと向き直った。

「今日、瑠璃さんが病院に行くと聞いた時、ぼくが何を思ったかわかる?」

手を取りながら言うと

「え?」

ふいを突かれたように瑠璃さんがぼくを見返してきた。

こう言う時は、一気に流れを変えるに限る。

手を取ったまま、じっと目をみてやると、思い当たることに行きついたのか、瑠璃さんの顔がほんのりと赤くなりはじめた。

「そうだったらいいな、と思ってたんだけど」

「・・・」

手の甲を優しく叩くと、はっきりと瑠璃さんの顔が赤くなり

「な、何、言ってるのよ」

口ごもっている。

座ったまま抱き寄せると、ぼくの顔がちょうど瑠璃さんの胸元に当たった。






…To be continued…


お盆に入ったらしばらくの間、更新をお休みするので、その前に少しばかりの「らぶポカ」シーン入ります。
自分への「暑中見舞い」です。趣味に走ってしまいすみません。
ストーリーの進みは停滞してしまいますが、しばしのお付き合いを。
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社会人・恋人編<84>

瑠璃さんが出社してきたのは、午後になってからだった。

昼ごはんは外で済ませてきたみたいで、席に付くとすぐにパソコンを立ち上げ仕事に取り掛かり始める。

「・・・」

病院に行った理由を聞きたいけど、さすがに社内で聞くのは憚られてチラチラ見ていると───





─Up to you !Ⅱ─<第84話>






「・・・何よ」

ぼくの視線に気が付いたのか、開いたノートブックに顔を隠すようにしながら、瑠璃さんが小声で話しかけてきた。

「病院って何。どうしたのさ」

同じように顔を隠すように小声で返すと、無言のまま、瑠璃さんはぼくをじっと見てきた。

その視線の強さに思わずたじろぎそうになりつつ、心の中では

(やっぱり、もしかしたら・・・)

なんて思っていた。

「後でゆっくり話すわ」

パソコンの画面に顔を戻して瑠璃さんは言い

「わかった」

ぼくは頷いた。

落ち着かない気分のままに午後の仕事を終え、定時のチャイムが鳴ったところで瑠璃さんの顔をチラリと見ると、瑠璃さんもぼくを見ていて、そのまま自然に退社する。

「どうする、瑠璃さん。今日はこれから・・」

「高彬の家に行くわ」

駅までの道を歩きながら、前を見たままさりげなく聞くと、迷うことなくスバリと瑠璃さんが言ってきた。

「・・・」

これはいよいよ・・・

水無瀬じゃないけど、結婚が一気に現実味を帯びてきたような気がして、何とも浮き足立ってくる。

いや、結婚より何よりも、ぼくは父親になるわけで・・・

瑠璃さんと出会うまでは、結婚とか、ましてや自分が父親になることなんて考えたこともなかったけど、でも、一気に妻子持ちになるわけで、人生なんて、案外そんなものなのかも知れない。

そうしたら、益々、仕事を頑張るのは当たり前として、現実的には家族が増えることを思えば引っ越しも考えなきゃいけないし、いや、そんなことよりも、まずは瑠璃さんのご両親にきちんと挨拶しに行かなきゃ行けないわけで・・・

「鍵」

「え」

「え、って。鍵、開けてよ、早く。入れないじゃない」

気が付いたら、いつの間にかマンションに着いていたみたいで、玄関の前で瑠璃さんに催促されてしまった。

急いで鍵を開けると、瑠璃さんはずんずんと中に入って行き、ドスンとソファに腰を下ろした。

「瑠璃さん。そんな乱暴に動いたら身体に・・・」

「高彬」

ジロリとぼくを見る。

「何」

「座って」

隣をポンと叩いて促すと、ふと、思い出したように

「やっぱりこっちにするわ」

瑠璃さんはダイニングテーブルに場所を移した。

自分でイスを引き座ると、前のイスに座るようにぼくに身振りで促してくる。

言われた通り座ると、瑠璃さんは腕を組んだ。

「・・・」

これは・・・

妊娠を報告するようなムードじゃないし、むしろ、どちらかと言うと怒っているようにさえ見える。

照れくささからの態度とも違うようだし・・・と思っていると

「高彬。あたしにまだ隠してることあるでしょ」

「は?」

「とぼけないで。証拠は挙がっているのよ!」

バン、とテーブルを叩かれ、反射的に身を引いてしまった。

「証拠って・・・」

「政文よ」

「え」

「政文にあたしを尾行させてたでしょ」

「・・・」

心の中で舌打ちをする。

瑠璃さんにバレてるじゃないか。

政文の奴、どんなヘマしやがったんだ。

「どうしてそんなことするのよ。あんた、まさか、あたしが浮気するとでも思ってるの?」

「ち、違うよ、瑠璃さん。そんなんじゃないよ」

瑠璃さんの怒りの原因はこれだったのか、と納得しつつ、ぼくは慌てて理由を伝えた。

渋谷でのことを思えば、これくらいの予防策は必要であること。

瑠璃さんに伝えなかったのは、きっと瑠璃さんは嫌がるだろうと思ったこと。

「だから、瑠璃さんの浮気を疑ったとか、そんなんじゃないよ」

黙ってぼくの話を聞いていた瑠璃さんは、しばらくは不満そうに唇を尖らせていたけれど、それでも何とか判ってくれたみたいで、最後には

「わかったわ」

と頷いた。

それでも

「ねぇ、高彬。もしあたしの浮気を疑うようなことがこの先あったとしたら、その時はズバリと聞いてきてよね。正直に答えるから。あたし、影でコソコソ探られたりするのイヤなのよ」

まっすぐにぼくの目を見ながら釘を刺してきて、絶対に浮気はしない、と断言しないところも含めて、それはいかにも瑠璃さんらしい正直な言葉だった。

「わかった」

頷くと

「・・・まぁ、浮気をする気はない・・けど・・・」

目を逸らしてぼそぼそと言い

「うん」

笑って頷き返す。

「ぼくも、まぁ、その気はないけど」

「・・うん」

<絶対>と言い切る危うさを思えば、これくらいで充分だろう。

何となく甘やかなムードが流れ、でも、ふと気になることがあった。

「で、瑠璃さん。病院は何だったのさ」

「その政文よ」

「え」

「転んで足を挫いたの」

「・・・」

「朝、駅までの道を歩いてたら『わぁ』だか『うぉ』だか聞こえてきて、声のした方に行ってみたら、政文が泣きそうな顔でうずくまってたのよ」

あの、バカ・・・。

「で、病院に連れて行ってやったってわけ」

「・・・」

「で、高彬の言い付けで、あたしを尾行してるって白状させたってわけ」

「・・・」

政文の奴、そこまで言うんなら、尾行は瑠璃さんを心配してのことだって言ってくれよ・・・

「それにしても、どうして政文からは連絡ないんだ・・」

独り言ちると

「あぁ、それは、あたしが口止めしたの。直にとっちめるから連絡したらだめよって。言う通りにしなかったら、小萩に言い付けるわよってね」

瑠璃さんはにっこりと笑い、ぼくはがっくりと肩を落とした。

瑠璃さんに、敵うわけなかったか・・・

「とにかくね、高彬。捜査官として協力し合いましょうよ」

「してるつもりだけど」

「よく言うわよ。絆ばっかり深めたがって」

「・・・」

「これ以上、隠し事されたら、場合によっては、絆深めるの禁止にするわよ」

「いや、それは・・・」

非常に困る、と言い掛けたところで、携帯の着信音がして、画面を見ると守弥からだった。

「もしもし」

通話ボタンを押すと

『若君。今、よろしいですか』

守弥の声が聞こえてきた。

「大丈夫だ。何かあったのか」

『実は・・・』

事件のことだと気付いた瑠璃さんは、立ち上がって回り込むと、話を聞こうとぼくの携帯に耳を近づけてきた。

正直に言えば、瑠璃さんはもう事件から離れて欲しかったけど、尾行もバレたこの状態ではもう仕方ないだろう。

「守弥、ちょっと待ってくれ」

耳から携帯を離してスピーカーボタンを押すと、テーブルに置く。

「いいぞ、続けてくれ」

『はい。若君、実は・・・』

スピーカーから守弥の声が流れてきた。






…To be continued…


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社会人・恋人編<83>

「リーフレット、取りに来ました」

「あ、はい。こちらです」

リーフレットを受け取りつつ、何かが気になっていると、果たしてそれが顔に出たのか「阿矢」と言う名札を付けた女性社員は

「何か・・?」

不思議そうな顔でぼくの顔を見て───






─Up to you !Ⅱ─<第83話>






「あ、いえ。すみません。何だか・・・どこかで見かけた気がしたもので」

言ってから、まるでナンパのセリフみたいだったな、と後悔した。

だけど、曽茅野氏が見つめていた女性だと言う事がどうにも引っ掛かり

「最近、東京支店に赴任されてきたんですか?」

そう聞いてみた。

あまり見たことのない顔だったから、中途入社か、もしくは異動なのかと思ったのだ。

「いいえ」

その女性は首を横に振り、薄っすらと笑みを浮かべた。

「かなり前からいますわ。ここに来て、来月で1年になります」

「え。あ・・、すみません。失礼なこと言って・・」

謝ると

「いいえ。私、影が薄いみたいなんです。ずっとそこにいても、よく『いつからいたの?』って聞かれます」

女性は笑い、案外、その笑顔が屈託なくてホッとしてしまう。

確かに見た目はどちらかと言うと目立つタイプには見えないけど、根は明るい人なのかも知れない。

「藤原さん、ですよね?」

「はい」

「どこかで見た、と言うのは当たってると思います。私も藤原さんを前に見てますから」

「え・・、どこで」

「シンガポール支店でです。藤原さん、出張でお見えになったことあるでしょう?1年くらい前に」

「はい」

「支店にお寄りになった時、私、いたんです。受付兼、事務職として」

「・・・」

「だから、その時に藤原さんをお見かけしてますし、藤原さんも私を見たんだと思いますわ」

「じゃあ、その後に、東京支店に異動してきたんですか」

「はい、そうです。広報の仕事がしたくて、ずっと希望出してたら、それが通りました」

「・・・なるほど」

その後は適当な話をして、広報課を後にした。

階段の踊り場で、立ち止まるとすばやく情報を整理する。

曽茅野氏が思わせぶりな視線で見ていた女性は、以前にシンガポール支店に勤務していた。

当然、曽茅野氏とは面識があるはずだ。

その女性が、1年近く前に東京支店にやってきて・・・

「・・・気を付けなさいよ」

突然、声を掛けられ、ギョッとして振り返ると、水無瀬が立っていた。

「水無瀬・・・。驚かすなよ」

「どうして、ああ言う目立つことするの。上手くやんなさいよって忠告してあげたばかりじゃない」

「は?何が目立つことなんだよ」

「だから、阿矢さんと今みたいに親しげに話すことよ」

「阿矢さんって今の広報の人だろ」

「そうよ、阿矢妃芽さん」

「あや、ひめ。すごい名前なんだな」

「まぁね、あの儚げな容貌もあってか、一部の男性社員の間では『姫君』なんて言われてるらしいわよ」

「へぇ、ぼくは聞いたことないけど」

「一部では、よ。はっきりいって既婚のオジさまたち。そそられるんじゃない?」

「・・ふぅん。で、どうしてぼくが阿矢さんと話すことが、目立つことなんだよ」

「呆れた。本当に何も知らないのね」

水無瀬はバカにしたような目でぼくをみると

「藤原くんを取り合って揉めたと言う噂の広報の女性って、阿矢さんよ」

「え」

「秘書課の子は、もう辞めちゃったけど」

「・・・」

「それに、ほら、前に言ってた、藤原くんがとっかえひっかえマンションに引っ張り込んでるって人の中にも、阿矢さんの名前も挙がってたわよ」

「・・・」

「いや。ぼくは取り合いされた覚えも、もちろんマンションに連れ込んだ覚えもないけど・・」

「だから、噂だってば」

そこまで言った水無瀬は、ふと考える顔になり

「ねぇ、今、ふと思ったんだけど、曽茅野氏がずっと思い続けてる人って阿矢さんじゃないしら」

「曽茅野氏にそんな人がいたのか」

「瑠璃から聞いてない?いたのよ。自分でそう言ったもの」

「・・・」

「それで、自分の好きな人が藤原くんを好きになっちゃったから、藤原くんを逆恨みして・・・」

「・・・」

些末を取り除いて考えれば、それはいかにもあり得そうなことだけど・・

だけど、当のぼくに全く身に覚えがないのに、そんな噂レベルで、そこまでぼくを恨むだろうか?

まぁ、逆恨みなんてそんなものかも知れないけど。

「またね、席に戻るわ」

「あ、あぁ」

水無瀬が立ち去った後も、何かが繋がりそうで、ぼくは黙ったまま、しばらくその場に立ち尽くしていたのだった。






…To be continued…


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