社会人・恋人編<65>

「で、どうでしたの?瑠璃さま。さっきのことは、今の方の仕業でしたの?」

カフェからほど近いレストランのテーブルで、あたしたちは頭を寄せ合っていた。

いくら個室風に仕切られているとは言え、大声で話すのは憚れる話題で、知らずにひそひそ声になる。

皆の視線があたしに集まり、あたしは口を開くと───






─Up to you !Ⅱ─side R <第65話>






「結論から言うと、うまくかわされてしまったわ。悔しいけど証拠がないのよ」

「そうですか・・」

「でも、どうして合コンで会っただけの人が、そんなことをしてくるんでしょう。さっぱり意味が分かりませんわ」

小萩の言葉に、あたしは曖昧に頷いた。

考えてみたら小萩たちはあの動画のことを知らないのよ。

煌は高彬に伝えた張本人だからもちろん知ってるだろうけど、でも、その後のこと───高彬の郵便受けに写真が投函されてたり、鷹男と曽茅野氏が意味ありげな会話をしてたってことが知らないだろうし。

ふーむ、とあたしは腕を組んだ。

どうしよう、話した方がいいのかしら。

小萩以外はまだ知り合って日も浅い人たちだし・・・

少し迷ったけど、要点だけは話すことにした。

大江だって、半分はもう当事者と言えるわけだし、それに興味津々で身を乗り出している3人に適当な誤魔化しが聞くとも思えなかった。

動画のこととそれを投稿したのはどうやら会社の人間であること、高彬のマンションに投函された手紙と写真のことを話すと、しばらく沈黙が流れ、最初に口を開いたのは煌だった。

「動画だけでも謎ですのに、写真の投函となると、更に穏やかじゃありませんわね」

「うん、そうなのよ」

大江と小萩はしきりに目配せし合っていて、やがて大江は小さく咳払いをすると

「あのぅ、瑠璃さま。基本的な質問になってしまうのですが・・」

「なぁに」

「今のお話から推測するに、瑠璃さまと高彬さまは恋人同士と言うことですの?」

「・・・」

うぅ、面と向かって聞かれると照れるなぁ・・

だけど、違うとも言えないし

「うん・・、実はそうなのよ」

コクリと頷き

「あのぅ、一応、黙っておいてもらえる?何だか高彬んちって複雑みたいだし」

大江の顔を覗き込むと

「わかっておりますわ」

大江は笑顔で頷くと、続けて

「ふと思ったんですけど、兄が何か役に立つかも知れませんわ」

「守弥が?」

「はい。兄って性格が悪いから友だちがいないんです。だから昔っから部屋に籠ってパソコンに向かい合ってるから、やたらとパソコンには詳しいんです。兄に言えば、その投稿者のこととか、今の男がどのサイトにアクセスしたかとか分かるかも知れません」

あたしは首を振った。

「それがね、会社の人間が動画を投稿したってことを突き止めたのは、もうすでに守弥なのよ。しかもあいつ、いえ、守弥はあたしがあの動画を投稿したんじゃないかって疑っているのよ」

そう言うと大江はぷんぷんと怒りだし、そんな大江を見ながら、でも確かに最初に動画を見つけたのは守弥だし、もしそんなにパソコンに詳しいのなら、今回にことも何か調べられるかも知れないな、なんて思っていた。

「どうします?これから」

大江に言われ

「取りあえず、今、ここで出来ることはないから解散しましょ」

煌はこのまま帰ると言い、大江と小萩は渋谷の街を観光すると言う。

食事を終え、店を出て地上に降り、また人混みの中に入って行くと誰かと肩がぶつかった。

「あ、すみません」

お互いに謝り合い、顔を見たあたしは

「あ!」

思わず大声を上げてしまった。

大きなカバンを手に持ち、立っていたのは───

小萩に一目惚れした、政文と言う男だったのだ。





…To be continued…


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社会人・恋人編<64>

「今のハプニングは、あなたの差し金でしょう?曽茅野美弥さん」

ズバリ言うと

「おやおや」

あたしの言葉に曽茅野氏は、さも心外だと言わんばかりに眉を上げてみせ───






─Up to you !Ⅱ─side R <第64話>






「一体、何をおっしゃっているのですか、あなたは。そのハプニングとやらも知らないのに、それが私の差し金とは聞き捨てならないですね」

口の端に薄ら笑いを浮かべて言う曽茅野氏に、コーヒーをかけてやりたくなったけど思い留まった。

コーヒーがもったいないわよ。

普段はカフェラテ派のあたしだけど、今日ばかりはブレンドコーヒーにしていた。

曽茅野氏の前で唇に泡とか付けたくないし、それにカフェラテはのんびりと幸せ気分で飲むものよ。

戦闘態勢の時は、断然、ブラックでしょう───

なんてことを思いながら、一口、コーヒーを啜る。

苦い・・・

高彬、よくいつもこんな苦いもの、飲んでるわね・・・

「あなたを・・・、曽茅野さんを待ってる時、男性に声を掛けられたのよ」

コーヒーをテーブルに置き、切り出す。

「ほぉ。さすがお美しい方は違いますね」

「冴えない中年男だったわよ。それで、強引にホテルに連れ込まれそうになったわ」

「おやおや。随分とせっかちな方ですね。せめて、お茶なり食事なり・・・」

「デートクラブからの斡旋だと言っていたわ。時間も服装も、全部、あたしに当てはまっていたのよ」

「・・・・」

「曽茅野さん、あなたが仕組んだことでしょう?違う?」

はったと目を見据えてやると、曽茅野氏はあたしの視線をしっかりと受け止めてから、一度ゆっくりと瞬きをすると

「違いますよ」

穏やかとも取れる表情で言ったかと思うと

「第一、証拠でもあるのですか」

表情も声も一変させ、冷ややかに言ってきた。

「証拠・・・」

「そうです、証拠です。その男性は、お相手の女性に本当にそう言われて来たのかもしれませんよ。ハチ公前でブルーの服を着て待っている、とね」

「・・・」

「現に回りをご覧なさい。あなたに良く似た風貌の女性はたくさんいますよ」

言われて回りを見渡してみれば、店内はもちろんのこと、駅構内を行き交う人の中には、特徴だけを挙げたら、あたしに当てはまる人はたくさんいることが見て取れた。

確かに、お金欲しさに本当に自分でデートクラブに申し込んだって人がいるのかも知れない。

それが直前になってやっぱり嫌になって行かなかったとか・・・

ううん、大切なのはそこじゃないわ。

要は、例え本当は曽茅野氏の仕組んだことだったとしても、言い逃れはいくらでも出来るってことなのだった。

あの中年男がいて、どのサイトから申し込んだとか、そこまで判ればまた違ったのかも知れないけど・・・

でも、今の状況で、曽茅野氏が絡んでいると言う決定的な証拠をあげることは出来ないんだわ。

「・・・・」

あたしは唇を噛んだ。

「と言うわけで、妙な言いがかりは止めていただきたいものですね。場合によっては名誉棄損で訴えますよ」

「・・・・」

「さて、どうしますか?これから、どこか食事にでも行きますか?この辺りなら、500円以内で食べられる店がいくらでもあります。ご馳走しますよ」

おまえに奢るならその程度の店で十分だ───

まるでそうとでも言いたげな面白がるような口調で言われ、あたしは一度ゆっくりと瞬きをしてから、ぐっとお腹に力を入れると穏やかに微笑んだ。

あたしはねぇ、そんなあからさまな挑発に乗ったりはしないの。

乗りはしないけど、───切り返すってわけよ。

「せっかくのお誘いだけど遠慮しておくわ。あたし、食事は好きな人と楽しくいただきたいのよ。例えそれが500円だろうと5万円だろうとね」

ふんっ、あたしを誰だと思ってるのさ。

ナメるんじゃないわよ。

「そうですか。では、名残惜しいですが、これで・・・」

曽茅野氏はそう言うと席を立ち、店を出て行った。

「瑠璃!」

「瑠璃さま!」

完全に曽茅野氏の姿がみえなくなったタイミングで、3人が駆け寄ってきた。






…To be continued…


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社会人・恋人編<63>

呼び出し音5回で通話が繋がった。

『もしもし。曽茅野ですが』

その冷静な声に更にカッとなり───






─Up to you !Ⅱ─side R <第63話>





何が「曽茅野ですが」よっ!

大きく口を開け、怒鳴りつけてやろうと思った一歩手前で思い留まった。

───この男、ただ者じゃないわ・・

あたしの勘がそう告げたのだ。

今回のデートクラブ事件は、まぎれもなく曽茅野氏の仕業のはず。

だから、わざわざあたしの服装を聞き、そうして10分遅れると言ってきたのよ。

今、あたしから電話があったと言う事は、未遂───つまりは失敗に終わったと分かったはず。

なのに動揺もせずにたった5回のコールで出て、こんな冷静な対応ができるなんて───

相当、肝が据わっているか、もしくは、失敗することも見越しているような計算高い男なのか。

どちらにしろ、ただ者じゃない。

だとしたら、こういう男に怒鳴りつけたって意味がないどころか、却って不利になるだけ・・・

あたしは携帯を耳に当てたまま、聞かれないように大きく息を吸い込んだ。

「今、どこにいるのかしら───?」

我ながら、ぞっとするくらいに低くて抑揚のない声だった。

あたしが本当に怒った時の怖さを思い知るがいいわ。

『今、ですか?もちろん待ち合わせ場所で、先ほどからあなたを待ちわびておりますよ』

ふんっ、白々しいったら。

なーにが、待ちわびる、よ

「あら、そう。それは悪かったわね」

携帯を反対の手に持ちかえて、もう片方の手は大江の背に当てる。

可哀想に、大江はまだぐずぐずと鼻をすすっている。

「ちょっとハプニングがあって、今、駅から離れたところにいるのよ」

『おや、何かありましたか。何かお力になれることがあったら・・』

「今からそちらに行くから、お会い出来るかしら。あと20分もしたら行けるわ」

さも心配していると言わんばかりの曽茅野氏の言葉を遮り言うと

「・・・もちろんですよ。20分と言わず、何時間でも待ちますよ」

「そう」

それだけ言って、すぐに切ってやった。

携帯越しに殴れるものなら、一発お見舞いしてやりたいくらいだわ。

ラインで連絡を取り、4人で駅の近くで合流する。

事情を話すと、小萩は大江に抱き付き涙ぐみ、煌は顔をしかめた。

「あたしはこれから曽茅野氏と会ってくるわ」

そう言うと3人はギョッとしたように顔を見合わせ、そうして口々に

「瑠璃、それはあまりに無茶というものよ」

「瑠璃さま、それはいくら何でも・・」

反対の言葉を述べ、結局、皆で行くことにした。

と言っても、会うのはあたしだけで、3人は近くで見張ることにする。

ああいう男はね、たくさんの人の前ではきっと良い人ぶるのよ。

今日、4人で来てることも言ってないんだし、取りあえずあたし一人で会った方がいいわ。

きっとその方が本性を出す。

待ち合わせ場所に行ってみると、澄ました顔をして曽茅野氏が立っていて、どうやら携帯でも見てるようだった。

その俯き加減の横顔は確かにどこか鷹男に似ていて、2人が親戚だと言う事が思い出される。

黙って前に立つと、曽茅野氏は顔を上げ、うっすらと笑いを浮かべると

「お持ちしておりました」

と言った。

「・・・」

心中、密かに舌を巻く。

大したもんだわ。あたしを見ても、顔色ひとつ変えやしない───

ホテルのラウンジに行こうと言う曽茅野氏の提案を断り、駅構内にあるオープンスペースのあるカフェにしてもらった。

見張りの3人のことを考えて人混みを選んだと言うのもあるけど、ホテルに足を踏み入れることに抵抗もあった。

いつだったかの時、鷹男がルームキーをチラつかせたことがあったけど、今度ばかりはそれじゃ済まないかも知れない。

カウンターで出されたドリンクを受け取り、窓際の席に向かい合って座る。

少し離れた場所には、3人がいる。

「ハプニングがあったと言う事ですが、大丈夫でしたか?」

コーヒーを一口飲んだ曽茅野氏が言い

「見え透いた嘘はいいわ」

「・・・」

「今のハプニングは、あなたの差し金でしょう?曽茅野美弥さん」

あたしはズバリと言った。






…To be continued…


曽茅野氏は果たしてキーマンなのか───?
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社会人・恋人編<62>

「こらー!そこの人ー!止まりなさいー!」

まずは声で威嚇とばかりに大声で言ったものの、2人には聞こえていないのか、振り返りもしなかった。

全力で走っているつもりなのに、思うように距離が縮まって行かず

(あぁ!やっぱり高彬を見習って、毎日、ジョギングでもしておけば良かった!)

ほんと、後悔先に立たず、だわ。

「大江ーーー!」

喉も裂けよと叫んだ。





─Up to you !Ⅱ─side R <第62話>





あたしの渾身の大声は大江にも聞こえたみたいで、遠目にもこっちを見たのが見て取れ

「瑠璃さまーー」

と叫び返してきた。

あたしの応援が来たことで力が湧いたのか、相手の男にも果敢に抵抗しているように見える。

息も上がってるしヘトヘトだったけど、最後の一頑張りとばかりにあたしはダッシュした。

ヒールのある靴が邪魔だったから、靴も脱いでしまう。

裸足で渋谷の街を走るってすごいシチュエーションだけど、この際、そんなこと言ってられなかった。

何が起きてるのかさっぱり分からなかったけど、こういう時は頭より身体が動くものなのよ。

「大江!」

ようやく大江に追い付き、大きく息を付いて男を睨み付けてやる。

「ちょっと!何してるのよ!」

「な、何って・・・」

男は初めて見る顔で、50代くらいに見える冴えない中年男だった。

突然のあたしの登場に面食らったような顔をしている。

「その手を離しなさいよ!」

大江の腕を掴んでいる手を離させると、大江を背中に隠した。

「イヤがってる女性に何なの?場合によってはこのまま警察を呼ぶわよ」

「い、い、いや、それだけは・・。わ、わ、わたしはちゃんと代金を払ってあるし・・・」

「はぁ?!代金?何よ、それ」

「い、いや、だからネットで見つけた『デートクラブ』に前金として三万円を振り込んであるし・・」

「・・デートクラブ?!」

デートクラブって言ったら、あれじゃない。

お金を払って女の子とデートするやつで、でも、中にはそれが食事やお茶にとどまらずに、行くところまで行ってしまうとか言う・・・

現に今、気が付いたけど、ここっていわゆるラブホテル街じゃないの。

あたしはいつも、高彬のマンションに行っちゃうから、こういうとこ入ったことないけど・・、ふぅん、そっか、こんなところにあるんだ・・・

いやいや、今はそんなこと考えてる場合じゃないわ。

あたしは中年男を睨み付けた。

「デートクラブってどういうこと?この子はそんなところに登録なんかしてないわよ」

「時間と場所を指定されたんだ。着てる服の特徴も教えてもらってたし。行ってみたら、その通りの子が人待ち顔で立ってるし、てっきり合意の上かと・・・」

「私、イヤだって言いました!」

大江が背中から顔を出して言い

「そ、それも、プレイかと思ったんだ」

「プレイ?」

「今回の申し込みのオプションに『嫌がる女性に無理やり!<美女と蛮獣>コース』と言うのがあったから、それにチェックをしておいたんだ。だから、てっきりこの子が嫌がっているのも、もう演技のうちかと・・・」

「はぁ?!ばっかじゃないの!」

何が<美女と蛮獣>よ!

カッとなって、もう少しで持ってる靴を投げつけそうになったけど、だけど、こんな男にあたしの靴が触れるのも汚らわしいと思って留まった。

「あなたのしたことは犯罪よ。警察に通報されたくなかったらさっさとどっか行きなさいよ!」

吐き捨てるように言ってやると、男はノロノロと歩き始め、だけど思い出したように振り返り

「さ、三万円は・・」

口ごもりながらも言い、その浅ましさに舌打ちが出る。

「これを持ってさっさと行きなさいよ!早く」

財布から三万円を抜き取り投げつけてやると、男は屈んでしっかりお札を拾うとスタコラと去って行った。

「瑠璃さまぁぁ」

男の姿が見えなくなると大江はへたり込み、顔を覆って泣きだしてしまった。

「大江。もう大丈夫よ」

しゃがんで大江の背を撫ぜてやりながら、あたしは怒りに震えていた。

───曽茅野美弥め!ふざけたことをしてくれるじゃないの!どういうつもり?!

携帯の着信履歴から曽茅野氏の番号を引っ張りだすと、発信ボタンを押す。






…To be continued…


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社会人・恋人編<61>

「あれ?大江は?」

皆でキョロキョロと見回してみても大江も姿はなく

「大江もトイレに行ったのかしら。行き違いになったとか」

「だとしたらメールくらいくれそうですけど・・」

小萩が携帯を取り出しながら言い

「何も来ていませんわ」

困ったような顔を向け───






─Up to you !Ⅱ─side R <第61話>





「大江さん、東京は初めてだって言ってましたし、勝手にどこかに行くなんてことないと思うんですけど・・」

「そうよねぇ。ここで待ってるって言ってたし」

言い合いながらも、目だけは忙しく動かしてみても大江の姿は見当たらなかった。

「手分けして探しましょ」

もうじき曽茅野氏が来る時間だけど、待たせておけばいいわ。自分だって遅れてきたんだし。

あたしの言葉に煌と小萩も無言で頷き、取りあえず連絡を取り合えるようにと3人でラインのグループを作る。

あぁ、こんなことなら皆で出かけると決まった時に、アドレスを交換し合うとか、4人でライングループを作っておけば良かったわ。

今、大江と連絡が取り合えるのは小萩だけなので、何か大江から連絡があったら小萩から連絡をもらうと言う事で、散り散りに探そうと背を向けた次の瞬間───

着信音がして

「あ。大江さんからですわ」

小萩が大急ぎで通話ボタンを押した。

「・・もしもし。・・・もしもし。・・大江さん?・・大江さん?・・・」

段々と小萩の眉間に皴が寄って行き、携帯を耳に当てたまま不安そうな顔であたしと煌を見てくる。

「な、何よ、小萩。どうしたのよ」

「・・もしもし?大江さん?返事なさって!」

「ちょっと貸して」

小萩のただならぬ様子に、居てもたってもいられなくなって携帯をひったくり耳に当てると

『・・・・や・・て。離し・・・て・・!ちょっと・・・!』

途切れ途切れに大江の声が聞こえてきた。

「大江?!どうしたの?どこにいるの?」

返事はなく、どうやら通話ボタンだけが押された状態で、携帯が回りの音を拾っているだけのようだった。

「どうされましたの?!」

煌が強ばった顔で言い、あたしは携帯を小萩に返しながら

「・・・誰かに連れ去られたのかも知れない」

「連れ去られた?!」

ギョッとしたように2人が同時に声を上げ

「分からない。でも、とにかく非常事態であることは確かよ。まだそんなに遠くに行ってないはずだから手分けして探すのよ」

「でも、もし連れ去られたとして、それがクルマだったら・・」

「そんなこと言ってても始まらないわ。でも、今の音声からすると車内って感じは受けなかったわ。街の騒音も入ってた気がするから」

「瑠璃の言う通りね。ここでグダグダ話してるより探すのが先だわ。あたくしはあっち方面に行ってみますわ」

「では、私はあっちへ」

「あたしはこっち!何かあったらラインでね!」

走り出したいところだけど、人の多さにそいうわけにもいかず、文字通り掻き分けるようにして進む。

大江は大柄なわけでもないし、遠目からでも分かるような髪の色をしてるわけでもないし、この人混みの中から見つけ出すのは至難の技にも思えてくる。

人の肩にぶつかってしまい「すみません」「すみません」と謝りながら進む。

駅からどんどん離れ、道は坂道になっていた。

上り坂を必死に上りながら、それでも大江らしき人影は見当たらず、これはもう警察に行った方がいいかも知れない・・・と思い始めた時、前の方にちらりとサックスブルーの洋服が見えた気がした。

───大江?!

一瞬、全身が見え、間違いなく大江だとわかった。

隣には男の姿があり、どうやら大江の腕を引っ張って歩いているみたいで───

「こらー!」

あたしは駆け出した。






…To be continued…


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