社会人・恋人編<93>

「羽田の国際線ターミナルまで」

やってきたタクシーをつかまえそう告げると、取りあえず後部座席に身体を沈め───






─Up to you !Ⅱ─<第93話>






動画のアップも、瑠璃さんの隠し撮りも、長いことその目的が判らなかった。

だけど、曽茅野氏と春日の兄貴が連絡を取り合っていたこと、会社には2種類の個人情報データがあり、そのパスワードが違うことが分かった今、スルスルと紐解けてきたものがある。

曽茅野氏の狙い。

それは、ズバリ、ぼくだったんだ。

そして、恐らくその理由は───

「水無瀬、曽茅野氏はいつシンガポールに帰るか聞いてるか?」

シンガポールに戻る前に曽茅野氏と会って話を・・・

「今日よ」

「え?」

「羽田発の昼の便で帰るそうよ。朝一で秘書室に来て、鷹男チーフにそんなこと言ってたわ。何人かに挨拶してから行くって言ってたけど、もう出たんじゃないかしら」

「昼のどの便か分かるか?」

「確かJALって言ってたような気がするけど・・・、ちょ、ちょっと、藤原くん、どこ行くのよ」

「悪い、半休でも全休でも適当に付けておいてくれ」

スーツの上着を手に取ると、上司に適当な理由を告げ、そのまま部屋を飛び出した。

じれじれしながらエレベーターを待っていると

「ねぇ、まさか、羽田に行くの?」

水無瀬が後を追っかけてきた。

「うん」

「・・・ひょっとして一連のことはやっぱり彼の仕業だったってこと?何か証拠でも掴んだの?」

声を潜めて聞かれ

「・・・」

微妙な質問だったため返答を避けると、水無瀬は深く突っ込んでは来なかった。

「追い掛けたところで上手く会えるかどうか分からないわよ。シンガポール着くの待って電話で話した方が確実なんじゃない?」

「いや、直接、話したい」

あの曽茅野氏のことだ。

面と向かって話したって手強そうなのに、電話越しなんかで話したら、それこそ上手くかわされてしまうに違いない。

ランプとチャイムが鳴り、エレベーターが止まった。

乗り込むと、さすがに水無瀬は乗り込んでは来ず、ドアが閉まると同時に、もの言いたげな水無瀬の顔も消えた。

「羽田の国際線ターミナルまで」

やってきたタクシーをつかまえそう告げると、取りあえず後部座席に身体を沈める。

窓から外の景色を眺めながら、ぼくは今まで起きた出来事をもう一度、反芻してみた。

かねてよりぼくに何らかの恨みを抱き、ぼくの行動を監視していた曽茅野氏は、ぼくが京都に帰省することを兄貴に知らせ、そうして後を付けさせ、あの動画を取らせた。

瑠璃さんの隠し撮りは、きっと権野辺りに言い付けて撮らせたのかも知れない。

ぼくを恨んだ動機。

それは、きっと阿矢さんだ。

あの阿矢さんを見つめていた曽茅野氏のただならぬ気配を考えれば、きっと2人には何かある。

だけど、詳しい理由は分からない。

その理由は本人に直接聞くしかない。

動画のアップに隠し撮り、そして極めつけはホテルへの連れ込み───

相当な恨みがぼくになければここまでのことをするわけがない。

ぼくに非があることだったら素直に詫びるし、もし何か誤解があるのだったら晴らしたい。

でないと、こう言うことがこの先も続いてしまいそうな予感がある。

特徴のあるデザインの国際線ターミナルの建物が見えてきて、タクシーはやがて止まった。

腕時計に目を落とすと、針は10時15分を指している。

取りあえず出発ロビーのある3階に向かった。

平日の午前と言えども、出張に向かうサラリーマンの姿が多く、この中から曽茅野氏を探すのは困難に思われた次の瞬間───

一瞬、少し前を曽茅野氏の横顔が動いた。

───いた!

「曽茅野さん!」

ぼくは駆け寄った。







…To be continued…


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Secre

ベリーさま

ベリーさん、おはようございます。

> クライマックスに近づいてきましたねー!楽しみです。(^^)

ありがとうございます!
ラストまであとわずかですので、またお付き合いよろしくお願いします^^

いよいよ直接対決!?ですね。どんな勘違いでソッチーが高彬をいびっているのか。
クライマックスに近づいてきましたねー!楽しみです。(^^)
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