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***短編*** 秋は夕暮れ<社会人編・高彬 ver.> ***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)このお話は一話完結です。社会人編設定の2人です。
               
        






***短編*** 秋は夕暮れ<社会人編・高彬 ver.> ***







ピンポン、ピンポン、ピンポン───

連打されるインターフォンの呼び出し音に、のろのろと玄関に向かう。

ゆっくりと歩いてるのに、それだけで頭がガンガンする。

鍵を外しドアを押し開けようとすると、それよりも早くに向こうからドアが開き、そこには仁王立ちした瑠璃さんが立っていた。

「もうっ」

ぼくの顔を見るなり、怒気を含んだ声音でそう言い放ち、ずんずんと玄関に入ってくると、靴を履いたまま

「どうなの、熱は」

ぼくの額に手の平を当てる。

「・・・まだ、だいぶあるじゃない。ほら、早く横になって。何、ふらふら起き出してるのよ」

「それは、瑠璃さんがチャイムを鳴らしたから・・」

「・・・」

ジロリと睨まれ、首をすくめる。

先に寝室に入っていった瑠璃さんは

「うわっ、お酒くさ・・・」

窓を開け、手早く簡単なベッドメイキングをすると

「さぁ、寝て」

ベッドを指し示した。

「・・うん」

言われるがままにベッドに入ると、瑠璃さんが布団を掛けてくれた。

開け放たれた窓から入ってくる、ひんやりとした秋の風が火照った身体に心地良く、目を閉じひとつ大きな息を吐く。

キッチンの方でガサゴソと音がしていたと思ったら、少しすると瑠璃さんがお盆を手に戻ってきた。

「ほら、飲んで」

アルカリイオン水と、どういうわけだか湯気の立つ湯呑みがある。

中には梅干しが入っていて

「ほうじ茶と梅干。二日酔いと風邪には最強に効くんだから」

とのことだった。

上体を起こし、まずはアルカイオン水を飲み、ゆっくりとほうじ茶を口に運ぶ。

「上手い」

「でしょ?」

ベッドに腰掛けて、半身を捻ってぼくと向かい合っていた瑠璃さんは得意げに眉を上げて見せた。

「それにしても、びっくりしたわよ。何度、携帯に掛けても出ないんだもん。何かあったんじゃないかと心配しちゃったじゃない」

「うん、悪い・・」

「どうしてそんなに飲んだのよ。そんなにお酒強くないくせに」

「京都の友だちが仕事で上京してきて、飲もうって連絡があってさ。で、そいつに付き合って二軒目、三軒目と行ってるうちに、つい、さ。そいつが酒豪だったことを忘れてて」

「まぁ、久しぶりに会えばそうなることも分からなくもないけど。でも、その後、エアコン付けっ放しで寝て、ご丁寧に風邪までひくことないじゃない」

「うん・・、タクシーで家帰ったことまでは覚えてるんだけど、それから先のことは覚えてないんだよ。朝、起きたらリビングの中が冷え切っててさ。着替えもせず、ソファで寝てたんだよ」

「・・・」

「頭は痛いし、ぞくぞくするし、取りあえず着替えてベッドに潜り込んでさ。携帯をリビングに置きっぱなしにしてたから、着信があったことも気が付かなくて」

家の電話が鳴り続いて、ようやく瑠璃さんがぼくに何度も電話を掛けていたことに気が付いたのだ。

電話口である程度の事情を知った瑠璃さんは

「すぐ行くから」

と言い、本当にすぐにやってきた。

ほうじ茶を飲み終え、再び横になったぼくを見下ろしながら

「まったく・・」

しっかりしてるようで抜けてるんだから・・・

などと瑠璃さんはブツブツと言い

「どうする?病院行く?土曜日だから、診察は午前中だけのことろが多いと思うけど、探せば診てくれることろもあるかも知れないわよ」

「いや、大丈夫だよ、病院に行くほどじゃない気がする。さっき、クスリ飲んだし。このままにしてたら治りそうだ。ところで、今って何時?」

「・・4時半を回ったことろよ」

手を伸ばし、サイドテーブルに置かれたデジタル時計を確認すると、瑠璃さんは窓を閉めるために立ち上がった。

「少し、寝なさいよ」

「・・うん」

さっき飲んだクスリが効いてきたのか、ウトウトと眠たくなってくる。

瑠璃さんの手の平が額に触れる感覚を最後に意識が薄れ、次に目が覚めた時には、部屋中がオレンジ色に染まっていた。

瑠璃さんは変わらすベッドに腰掛けていて、逆光でどこを見ているかは判らず、だけど、すぐに

「どう?」

そう聞いてきたところを見ると、もしかしたらずっとぼくの顔を見ていたのかも知れない。

「うん、さっきよりだいぶ楽になった気がする」

「そう、良かった。まだ寝られるなら、寝たらいいわ」」

「瑠璃さんはどうするの?」

「あたし?あたしは少ししたら帰るわ。明日、朝早くから用があるのよ」

「・・・うん。わかった」

頷きながら、また、すぅっと眠りに入って行く。

次に目が覚めた時、更に部屋はオレンジ色が濃くなっていて、やっぱり瑠璃さんは同じ場所に座っていた。

「・・あぁ、瑠璃さん。まだ、いたんだ・・」

「・・そうね、何だか帰れなくて・・」

どこか困ったような口調で言い、それきり黙っている。

目を瞑って開けるたびごとに部屋のオレンジ色は濃くなっていき、しまいには瑠璃さんのシルエットしか見えなくなった。

多分、次に目を開けた時も、瑠璃さんはいてくれるんだろうな───

そうして目を覚ましたぼくに向かい

「どう?」

と心配そうに聞いてくるに違いないのだ。

口は悪いけど、誰よりも優しい人だから。

次に目が覚めたら、瑠璃さんに

「愛してる」

とでも言って見ようか。

病人の戯言に紛らわせて、たまにはキザなセリフを言ってみるのも悪くないかも知れない。

少しばかり人を感傷的にする秋と言うのは───

悪くない季節だと、思う。






~Fin~




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