***古典シリーズ*** 《続》今は昔。<新釈・竹取物語>10

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)原作の設定を大きく逸脱した部分を含むお話です。閲覧は自己責任でお願いいたします。
               
        






***古典シリーズ*** 《続》今は昔。<新釈・竹取物語>10 ***






蓋を開け、中の文を取りだすと、焚き染めた香の匂いが立ち上った。

この香は今上がごく私的に使われているもので、文が今上からのものであると言うことは紛れもない事実だと分かる。

忙しく目を動かして文を読む瑠璃さんの顔が、徐々に赤くなって行き、やがて顔を上げた時は、真っ赤になっていた。

物も言わずに一点を見つめ、良く見ると、文を持つ指先がわずかに震えている。

「瑠璃・・さん・・?」

そっと顔を覗き込むと

「まったく、あの男は!」

そう言うなり、瑠璃さんは文を握り潰し・・、そうになり、その直前で手を止めると、ぼくに突き出してきた。

受け取って、目を通し、ぼくは心の中で(うーむ)と唸ってしまった。

他人が書いた恋文なんて、そうそう目にするものではないし、もちろん男であるぼくが男からの恋文なんかもらうわけもないし、何と言うか・・・

良く書けるよなぁ・・・、と言う気がされる。

手蹟の見事さもさることながら、書いてる内容もすごい。

曰く、瑠璃さんは「誰よりも愛しい人」で、自分は寝ても覚めても瑠璃さんの「面影が離れてくれず」、このままでは「儚い露と消えて」しまいそうで、だからかぐや姫の伝説になぞって、次の十五夜には瑠璃さんを攫いに行き、永遠の愛を交わし合いたい───

次の十五夜?

ぼくはぎょっとして、もう一度、文を読み直した。

もしかしたら、次の十五夜に宣旨を下すと言う意味なのだろうか?

だとしたら、今日が十二日だから、もう三日しかない・・。

三日・・・

三日だって?

もしそうだとしたら、もう、ほぼ宣旨は下されたも同然じゃないか・・・!

「もう、いや!」

そう叫ぶなり、突然、瑠璃さんは突っ伏し、泣き出してしまった。

「どうして、こう言うことが・・・勝手に決められていくのよ・・・」

しゃくりあげながら言い、声を上げて泣いている。

「瑠璃さん・・・」

ぼくは、頭をガン、と殴られたような衝撃を感じていた。

さっき、守弥の秘策にやけに瑠璃さんがノリ気だったのは、何も楽しそうだからとかのふざけ半分じゃなく、本当に瑠璃さんにとっては、文字通り、これからの人生を左右するほどの出来事だったからなのだ。

瑠璃さんが入内したことを想像するだけで、ぼくは胃の腑が焼ける思いがしたけれど、瑠璃さんはそんなことじゃ済まされない。

実際、意に染まぬ相手に関係を強要され、それを非力な女性である瑠璃さんが拒めるはずなんかないのだ。

その瑠璃さんの恐怖は、男のぼくには想像出来ない程、辛いものであるに違いなくて・・・

「・・・」

ぼくは、まだどこか自分本位に考えていたのかも知れないな・・・

ぼくは瑠璃さんに、にじり寄った。

「瑠璃さん。泣かないで。絶対に入内なんてことはさせないから」

背中を撫ぜながら言うと、少しだけ瑠璃さんの泣き声が小さくなった。

「内大臣さまにすぐにご連絡して、まずはしばらくは出仕をお控えしていただくようお願いする」

「だめよ、父さまは帝のいいなりよ。きっと、ここにあたしがいることを話したのも父さまに違いないもの」

くすん、くすん、と鼻をすすりながら、瑠璃さんは身体を起こし、目が真っ赤なのが痛々しかった。

「それは違うと思う。畏れ多くも帝からのお文ともなれば、届け先など言わずとも、三条の姫に、とだけ言えば確実に瑠璃さんに届くからね」

「・・・」

「それくらい、帝の権力はお強いということなんだ」

「・・・」

「だけど、大丈夫だよ、瑠璃さん。絶対に入内はさせないから」

瑠璃さんの真っ赤な目に、新たな涙が込み上げたかと思ったら、ポロポロと涙を流し始めた。

「小萩、今すぐにここを発つ準備を進めてくれ」

「え」

小萩が驚いたような声を上げ

「そんな、少将さま。こんな中、京に姫さまをお帰しするのは危険ではないでしょうか」

「反対だよ、小萩。遠い地にいたらぼくの目が届かない。瑠璃さんはぼくが匿う」

「ですが・・」

「いいから。ぼくに考えがある」

ぴしゃりと言うと、小萩は何かの決意を秘めたような顔で頷き、部屋を飛び出して行った。

「瑠璃さん。ちょっといいかな」

2人きりの部屋で、ぼくは瑠璃さんに向き直った。






<続>

タイムリミットはあと3日。絶対に入内を阻止して欲しい高彬に、クリックで応援をお願いいたします。
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Secre

非公開さま(Kさま)

Kさん、こんにちは。

はい、いよいよ、ですね。
どうか、成功しますようね~。

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