社会人・恋人編<82>

翌朝、ベッドの中でウトウトしていると、ふいに枕元の携帯が振動し、画面を見てみると守弥の名前が表示されている。

「何だ」

横になったまま通話ボタンを押すと

「おはようございます、若君」

ヤケに礼儀正しい守弥の声が聞こえ───






─Up to you !Ⅱ─<第82話>






「朝早くから申し訳ございません。起こしてしまいましたか?」

時計を見ると5時20分で、確かに早いと言えば早いけど、目くじら立てる程の早さでもない。

「いや、もうそろそろ起きようと思ってたとこだ。それより何か分かったのか?」

「実は春日さまのことで面白いことが分かりました」

「何だ」

ベッドから身体を起こし、シャツを羽織りながらリビングに入っていくと、リビングには朝の白い光が溢れている。

「春日さまは、かなり前から曽茅野氏と交流を持たれているようです」

「兄貴と曽茅野氏が?」

冷蔵庫からペットボトルを取り出し、肩で携帯を押さえながらキャップを開けると水を飲む。

冷たい水が喉を通り、一気に目が覚めるようだった。

「はい。どうやら1年程前から会っているようで、最初のきっかけは高校のラグビー部OB会のようです。それからは割りとコンスタントに会っていますね」

「ふぅん・・」

1年も前から兄貴と曽茅野氏が、かぁ。

まぁ、高校が同じなら意気投合して友人として会う可能性もなくはないけど、だけど、だったら2人とも何かしらぼくに言ってくるはずだしな。

1年前と言うと、もちろん瑠璃さんはまだNY支店にいたし、ちょうどぼくがシンガポール支店に出張に行った頃だ。

「・・・・」

何かが引っ掛かるな・・・

「引き続き、春日さまの身辺を洗います」

「うん、頼む。ところで、守弥。この情報はまた睡眠薬か?あまり危ないことは・・」

「いえ。春日さまのご自宅にお使い物を届ける振りをして上がり込み、隙を付いて日記を読んできました」

「日記。へぇ、兄貴、日記なんて付けてるんだ・・」

「はい。10年ダイアリーでした。でも、殆どが誰と会っただの何を食べただのと言う、読むに値しないような備忘録でした」

「・・・」

「しかも、美味しければ丸、普通なら三角、マズければバツ、と言う幼児かと思うような採点方式で。さすがアナログな方の感性は違いますね」

「おまえ、人の日記読んどいて、よくそんなことが言えるな」

さすがに呆れて言うと

「若君の御ためですから」

澄まして守弥が言い、ぼくは目を瞑り眉間を揉んだ。

頼む人間、間違えたかな・・・



*******



支度を済ませ、いつものカフェに行っても瑠璃さんの姿はなく、もう出ないと遅刻をしてしまうという時間まで待ってみても、瑠璃さんは来なかった。

どうしたんだろう・・。

もしかしたら会社に直行したのかも知れないと思い、急いで出社してもやっぱり瑠璃さんの姿はなく、気を揉んでいると、瑠璃さんからメールが入って来た。

【病院寄ってから行くので、ちょっと遅れます。ごめんなさい】

病院?

瑠璃さん、どこか具合でも悪いのか?

昨日は特にそんな様子なかったけど・・・

と、そこまで考えて、ぼくは危うくイスを蹴倒し立ち上がりそうになってしまった。

まさか、瑠璃さん・・!

いつかのアレが、もしかして、本当のことになって・・・

「どうしたんだ、藤原」

斜め前の席から声を掛けられ

「いや、何でも」

慌てて返事をする。

何食わぬ顔をしてパソコンを立ち上げ、キーボードを叩きながらも、動悸が収まらなかった。

もし、そうだとしたら、すぐにでも入籍をして、そうして出来れば瑠璃さんの身体のことを考えたら仕事は辞めてもらった方がいいんだけど、でも、瑠璃さんは何て言うだろうか・・・

案外、瑠璃さんって仕事に燃えてるタイプにも見えるし。

あれこれ考えていると内線が鳴り、出てみると広報課からだった。

先日、依頼しておいた販促物のリーフレットのサンプルが出来上がったと言う。

「すぐ伺います」

電話を切り、ワンフロア上がり広報課の島に近づいて行き、ぼくは(あれ)と足を止めた。

この間、曽茅野氏が見つめていた女性がいる。

広報課の人だったのか。

「藤原です」

ぼくの言葉に、その女性は顔を上げると、軽く会釈をしてきた。

名札には「阿野」とある。

阿野さん、か。

あれ、この人、どこかで・・・






…To be continued…


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Secre

ベリーさま

ベリーさん、こんにちは。

> 守弥、高彬と話したくって朝からうずうずしてたんじゃ?!笑
> 5時起きで電話の前に座ってあと5分、あと5分、、、と言いながら5時20分だったんでしょう!爆

当然、スーツ着て正座、でしょうね!

> 守弥って、本当にツッコミどころ、満載な奴ですよね。何故か可愛げがあるんですけど!

本当に。
可愛げがありますよね。
高彬愛に溢れているところに、同類の匂いを嗅ぎ取っているのかも知れません。

> 朝起きたての高彬。シャツを羽織る。。。これはなんですか、この下にはtシャツを着てたんでしょうか、それとも。。:なんだか妄想が掻き立てられ、勝手にニヤニヤしてしまいます!

さすがベリーさんですね!
私のイメージでは、この時の高彬は上半身、ハ・ダ・カ、ですよ~~~。
ちょっと身体が熱くて眠れなかったんじゃないですかね?!瑠璃のことでも考えて!きゃーー。

> 色々お話を創作していただいていつも楽しませていただいております。ありがとうございます😊

こちらこそいつもお付き合いいただきありがとうございます~。

非公開さま(Kさま)

Kさん、こんにちは。

その人で合ってますよ~。

非公開さま(nさま)

nさん、こんにちは。

存在自体が面白い守弥。
そこに立ってるだけで、もう面白さを感じてしまいます。
社会人編、そろそろ終盤ですので、またお付き合いください~。

守弥、高彬と話したくって朝からうずうずしてたんじゃ?!笑
5時起きで電話の前に座ってあと5分、あと5分、、、と言いながら5時20分だったんでしょう!爆
守弥って、本当にツッコミどころ、満載な奴ですよね。何故か可愛げがあるんですけど!

朝起きたての高彬。シャツを羽織る。。。これはなんですか、この下にはtシャツを着てたんでしょうか、それとも。。:なんだか妄想が掻き立てられ、勝手にニヤニヤしてしまいます!

久しぶりの恋人編、楽しませて頂きました!
色々お話を創作していただいていつも楽しませていただいております。ありがとうございます😊



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