***古典シリーズ*** 《続》今は昔。<新釈・竹取物語>4

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)原作の設定を大きく逸脱した部分を含むお話です。閲覧は自己責任でお願いいたします。
               
        






***古典シリーズ*** 《続》今は昔。<新釈・竹取物語>4 ***






「内大臣さま!」

大内裏の宴の松原の辺りで、足早に行く内大臣さまの後姿を見つけたぼくは、声を掛けた。

「おぉ、高彬どの!」

振り向いた内大臣さまの額には大粒の汗が光っており、かなり慌てているように見える。

「瑠璃姫に宣旨が下りると聞いたのですが、本当のことでしょうか」

若輩者の身で不躾な聞き方だとは思ったけれど、聞かずにはいられなかった。

果たして内大臣さまも、そんなことには気が回らないのか

「邸で休んでるところで耳にしてな、こうして取るものも取り敢えず参内した次第じゃ」

「もし正式に宣旨が下りた時には・・・」

「わしにも判らん。わしは瑠璃を後宮などに上げたいとは思ったこともない。瑠璃に後宮暮らしが務まるとも思えん。わしの気苦労が増えるだけじゃ」

「はい」

「今、瑠璃は吉野におる。仮に入内ともなれば、支度に時間がかかる。どっちみち今日、明日の話ではないと思うてな」

「はい」

「ともかくわしは殿上の間で情報を集めてくる。何かあったら高彬どのに遣いをやるからそのつもりでいてもらいたい」

「はい。わかりました」

せかせかと足早にその場を立ち去る内大臣さまを見送りながら、ぼくは知らずに拳を握っていた。

いてもたってもいられないような焦燥感が襲い掛かってくる。

だけど、確かに内大臣さまが仰った通り、正式な宣旨は右から左にすんなりに出るものではない。

一人の姫が入内するともなれば政治的分布も大きく塗り替えられるわけで、いくら帝と言えども、その辺りは入念な根回しが必要になってくるのだ。

瑠璃さんが吉野にいることも幸いした。

のんびり構えてる時間はないけど、少なくとも今すぐどうこうと言うほど喫緊の問題ではないはず・・・

自分に言い聞かせると、ひとつ大きく息を整える。

まずは落ち着いて善後策を講じよう───

世間的に認められていないとは言え、瑠璃さんはもうぼくの妻になったのだ。

おめおめ入内などさせてたまるか。

瑠璃さんはぼくのものだ。

踵を返し歩き出すと、沓の下で玉砂利が小気味のいい音を立てる。



******



「そんな・・!瑠璃姫さまが入内だなんて・・!」

ぼくの話を一通り聞いた大江は絶句したかと思ったら、ポロポロと泣きだしてしまった。

「いや、大江。泣かなくても」

「瑠璃姫さまとの仲もこれきりかと思うと、高彬さまがお気の毒で・・」

「・・・決めつけるなよ」

思わず舌打ちがでると、守弥が部屋にはいってきた。

「何を騒いでいる、大江。若君の間で失礼だぞ」

さすがに兄らしく大江を叱りつけると

「若君。内大臣家の姫君が入内すると言うのは本当でございますか」

「何だ、守弥、耳が早いな。もうそんなに噂になっているのか?」

「いえ、私の情報収集力が長けているだけでございます。まだ噂と言うほどではございません。それよりもそれは真実なのですか?」

「まだわからないんだ」

ヤケに熱心なのが不思議で、でも守弥はぼくが瑠璃姫に懸想してるのが気に喰わないから、どうせ瑠璃さんの入内が確定したら喜ぶに違いないと思っていたら

「入内は何としてでも阻止致します」

思ってもみないことを言いだした。

「え」

守弥が瑠璃さんの入内を阻止するって、どうして?

「内大臣家は、我が右大臣家と並ぶ権門です。そこの姫が入内したら、公子姫の強敵になることは目に見えています」

「・・・」

「この場合、姫の資質がどうであろうと、肝心なのは家柄ですから」

「・・・」

「右大臣家の威光に傷が付けば、それは若君にとって喜ばしからぬ事態です。でしたら、瑠璃姫を妻にし、内大臣家を取り込んだ方がよろしいでしょう。妻は一人きりと言うわけではございませんしね」

「・・・」

「若君。瑠璃姫の入内を阻止する秘策が私にございます。若君に何の落ち度もなく、瑠璃姫の評判にも傷を付けず、世間的に見ても誰もが納得するやり方です。ぜひ、お耳を」

「秘策・・」

「高彬さま、私も協力いたしますわ」

隣から大江が身を乗り出して言い、ぼくは(うーむ)と腕を組んだのだった。





<続>


他に相談出来る人を探した方が良さそうな気もする高彬に、クリックで応援をお願いいたします。
↓↓




(←お礼画像&SS付きです)

コメントの投稿

Secre

非公開さま(nさま)

nさん、こんばんは。

時空を超える守弥です。
今回は一体、どんな秘策を披露してくれるのか?!
高彬が、お腹をグーでパンチされない事を祈ります・・・

非公開さま(Kさま)

Kさん、こんばんは。

仰る通り、守弥の秘策、「怪しく」て「心配」です(笑)

ベリーさま

ベリーさん、こんばんは。

> ふうむ、守弥がもってる「秘策」ねえ。。。ぱしんぱしんと扇で頭を叩きたくなるような気もしますが。藁をもすがる思いで、のるかそるか、ですね!

「守弥の秘策」なんて悪い予感しかしませんもんねー!
でも、話くらいは聞いてやってもいいって感じですかね?(笑)

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

ふうむ、守弥がもってる「秘策」ねえ。。。ぱしんぱしんと扇で頭を叩きたくなるような気もしますが。藁をもすがる思いで、のるかそるか、ですね!
瑠璃を妻にした事で自信もついている高彬、是非入内を阻止の方向で!!
プロフィール

瑞月

Author:瑞月
瑞月(みずき)です。

ランキングバナー

にほんブログ村

ランキングに参加しています。
楽しんでいただけましたら
クリックで応援をお願い致します。
1日1クリック有効です。
初めにお読みください
**当ブログの簡単な説明です**
当ブログは「なんて素敵にジャパネスク」の二次小説を掲載しております。 二次小説と言う言葉を知らない方や苦手な方は閲覧ご注意ください。 また読後のクレームはお受けできません。 「ごあいさつ<最初にお読みください>」も合わせてご一読下さい。
カテゴリ
別館
乳姉妹ブログ
日記ブログ
掲示板
なんて素敵にサイト様 
最新記事
ご訪問ありがとう(H23.11.28-)
**オンラインカウンター**
現在の閲覧者数:
コメントありがとうございます
お礼SSや「他己紹介」があります。
web拍手 by FC2
** あれこれ投票所 **
お好きなジャンルをお選びください。 投票は何度でも可能です。
*** あれこれ投票所2 ***
メールフォーム(ご用の方はこちらから)

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
月別アーカイブ