教師編<遠足編>

拍手SSとして書いていた「教師編」の続編です。




「瑠璃×高彬<教師編>**遠足編** 」




「遠足の視察、今年は瑠璃先生に行ってもらおうと思っているの」

子どもたちが下校した後の職員室、3年4年合同の打ち合わせの場で、年配の学年主任は瑠璃さんの方を見ながら言った。

「へ?あたしが、ですか・・」

「そう。土曜日に行ってもらうことになるけど、ちゃんと休日出勤手当は付くし・・」

「あのぅ、あたし、1人で、ですか?」

瑠璃さんが心配そうに言い

「いえ。毎年、2名で行ってますから今年も誰かもう1人の先生と・・・」

「はい。ぼくが行きます」

挙手すると、皆が一斉にぼくの方を見た。



*****



土曜日の朝、待ち合わせた駅の改札のほど近くに立っていると、向こうから瑠璃さんが小走りにやってくるのが見えた。

約束の時間の1分前なので慌てているのかも知れない。

瑠璃さんからは、ちょうど柱の陰になってぼくが見えないのかキョロキョロと辺りを見回している。

スマホを取りだしてみたり、改札名を確認してみたりで、どうやら自分が待ち合わせ場所や時間を間違ったのかと心配してるようだった。

クルクルと良く変わる表情が可愛くて、このまましばらく見ていたい誘惑にかられたけど、遠足のシュミレーションをするのが今日の目的なので、あまり時間が押すのはマズイ。

「瑠璃先生」

近寄って行くと

「あ、藤原先生・・。良かった。場所、間違えたかと思っちゃった」

片手で胸を押さえ、安堵したように大きく肩を上下させた。

「行こうか」

切符を買い電車に乗り込むと、瑠璃さんはガイドブックと遠足の栞を見比べながら

「『源氏山ハイキングコース』を歩くには、まずは鎌倉駅で下りて・・・」

ぶつぶつと言い、腕時計とにらめっこしている。

「視察なんて言われると、何だか緊張するわね」

「まぁね。でも、毎年行ってるコースだし大丈夫だよ」

電車を一度乗り換えて鎌倉駅で下車すると、マップを見ながら歩き始めた。

瑠璃さんは目安となる建物を通過するたびにイチイチ時間を書き留めていて、その姿が教師として初々しくもあり、微笑みを誘われると言う気がされる。

かなり陽射しも強くなってきたところで

「少し休む?」

喫茶店があったので言ってみると、瑠璃さんは大きく頭を左右に振った。

「だめだめ。ちゃんと当日通りに歩かなきゃ」

自販機があったので買おうとすると

「だめよ。当日はそんなの買えないんだから」

とこれも却下されてしまう。

テイクアウトのソフトクリーム屋の前では、さすがに苦悩する素振りを見せたけど、やっぱり

「だめだめ。休日手当てが付くってことは仕事中なんだから」

とのことだった。

瑠璃さんはかなり真面目な性格のようで、まぁ、そんなところも非常に好感が持てる。

住宅街を抜けると、いよいよハイキングコースらしくなり、急な岩場が続き

「ここが子どもたちに取っては最大の難関ね」

息を切らしながら瑠璃さんは言い、確かに大人の足でも一歩で乗りあげるには大変なほどの岩があった。

「はい」

どう乗り上げるか迷っている瑠璃さんに、上から手を差しだすと、ぼくの手を見て、顔を見て、もう一度、手を見た後、瑠璃さんはそっとぼくの手を握ってきた。

ぐっと引き上げると、まるで抱き寄せたみたいに瑠璃さんの身体が近くにきた。

「・・・・」

至近距離で目が合うと、瑠璃さんは慌てて目を逸らし、手も離そうとして───

だけどぼくは離さなかった。

そのまま歩き出すと

「あのぅ、藤原先生。手・・」

瑠璃さんがおずおずと言ってきた。

「あのぅ、当日通りに歩いてみたいので、手を繋いで歩くって言うのは・・・」

「瑠璃先生。いや・・・瑠璃さん」

立ち止まり、瑠璃さんを見る。

丸い目がぼくを見返している。

「ぼくと・・・、付き合ってもらえないかな」

「・・・」

「食事したり、こんな風にデートしたり、そんなとこからでいいから」

瞬きもせずにぼくを見ていた瑠璃さんが、すっと目を逸らし、ダメだったかも・・・と思い掛けたところで

「今、仕事中だから、その話はまたゆっくりと・・」

ぼそぼそと言い、良く見るとうっすらと頬が赤くなっている。

「仕事って今日は何時までなのかな。チャイムも鳴らないしさ」

逸る気持ちを抑えて聞くと、少し考える風だった瑠璃さんは

「・・・5時」

と答えた。

「分かった。5時だね」

5時までは仕事の時間、でも、5時以降は───

大人の時間だ。

ゆっくりと瑠璃さんを口説き落とそうと思う。




~fin~


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Secre

ベリーさま

ベリーさん、こんばんは。

> 流石に社会人で出会うと積極的な高彬ですね!

はい!そんな高彬をお楽しみいただけたらと思います。

> アフター5に絶対時間通りに口説き始めることでしょう。(^ ^)

確かに~(笑)

> 5分ぐらい前に、あと5分で終わりだね、なんて促してそう!

言いそうです、言いそうです。
で、瑠璃が真っ赤になっていそう・・・

非公開さま(Tさま)

Tさん、こんばんは。

教師編、何気に皆さんにお楽しみいただけているようで嬉しいです。
教師編の高彬は、ちょびっと押しが強そうです。
決して遊び人なわけではないけれど、好きな人にはきちんと手を出してくるタイプなのかも知れません。
そんな高彬を皆さんと一緒に愛でていきたいと思っています。

非公開さま(nさま)

nさん、こんばんは。

「コナン」か「大人」か・・・(笑)
やっぱり「大人の時間」って言ったら、それなりにアダルティなムードは欲しい所ですよね!

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんばんは。

>おまけに次の日は日曜日♪
>じっくり口説き落としてもらいましょう。

いきなりそこまで口説いちゃっていいもんですかね?!
「ミスターおあずけ」がおあずけナシってパターンもアリですか??!!
確かに土曜日の次は日曜日です!

非公開さま(Kさま)

Kさん、こんにちは。

教師編、楽しんでいただけて嬉しいです。
そうですね、きっと高彬は子どもたちに囃し立てられて、赤面とかしちゃうんでしょうね~。
またお付き合いください。

No title

流石に社会人で出会うと積極的な高彬ですね!
アフター5に絶対時間通りに口説き始めることでしょう。(^ ^)
5分ぐらい前に、あと5分で終わりだね、なんて促してそう!

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