社会人・恋人編<79>

『今、よろしいですか?』

携帯越しの守弥の声は、心なしくぐもっているようにも聞こえ、もしかしたらかなり重要な話しかも知れないとピンとくる。

「ちょっと待て」

守弥を待たせたまま靴を脱ぎリビングに向かい、スーツの上着を脱ぐとソファに腰を下ろした。

聞く体勢を整えたところで

「いいぞ」

促すと

「若君」

低音の守弥の声が聞こえ───





─Up to you !Ⅱ─<第79話>






「今日、こちらに戻りましたら、折よく春日さまがいらっしゃいましてね。お言い付け通り探ってみたところ、面白いことが判りました」

守弥の声がくぐもっているのは、同じ屋根の下に兄貴がいるためだと合点が行く。

「何だ」

「頻繁に曽茅野氏と連絡を取り合っているようです。電話でもメールでも」

「頻繁ってどれくらいだ」

「電話に関して言えば直近一週間では、ほぼ毎日、ですね」

毎日・・・。

『メールは電話に比べたらそれほどの頻度ではないようです。足が付くとでも思っているのか、ただ単に打つのが億劫なのかは分かりませんが。春日さまは電子機器全般に、本当にお弱くていらっしゃる。何しろキーボード入力を人差し指一本で行うような方ですからね』

隙あらば兄貴をこき下ろす守弥には慣れているから、ここは聞き流す。

「2人が何を話してるのか、少しは掴んだのか?」

『分かるのは通話履歴だけですから、さすがにそこまでは。メールの内容も「手配済みだ」「了解した」など、ごく短いものばかりです』

「そうか」

『春日さまはともかく、曽茅野氏は相当にキレ者と言う印象ですね』

「まぁ、それは当たってるだろうな。仕事も出来ると評判だよ」

『若君ほどではないでしょう』

「・・・」

守弥と話してると、いちいちテンポが狂わされるんだよなぁ・・

ぼくを思ってくれてるからこそ、とは思うもののやりにくくってしょうがない。

「ところで、どうやってそれを探ったんだ。得意のハッキングでもしたのか?」

『いえ、これしきのことでしたらハッキングするまでもないこと。昼寝されてる春日さまの枕元で携帯を拝見したまでです』

「へぇ、随分、都合良く昼寝してくれたもんだな。でも気を付けろよ、いつ目を覚ますか・・・」

『ぐっすり眠っていただくため、お出ししたプリンに数滴、睡眠薬を垂らしておきましたから』

「・・・」

『スーパーで買ったプッチンプリンをガラスの器に移し代えてお出ししたら『やはり専門店のプリンはうまい』などとおっしゃられて。さすがは春日さま、素晴らしい馬鹿舌をお持ちだ』

「・・・」

ほんの少し、兄貴が気の毒になる。

「デートクラブの方はどうだ?何かわかったか?」

『当たっております。しばしお時間を』

「うん、頼む」

通話を終え、携帯をテーブルに放ると、ゴロンとソファに横になった。

毎日、連絡を取り合っていたとなると、これは2人とも、ほぼ「クロ」で確定だろうな。

仮にたまたま、曽茅野氏と兄貴が、毎日、連絡を取り合うほどの親友だったとしたら、弟のぼくが同じ会社にいるとこくらい、両人ともに伝わっているはずで、でもどっちもそのことにぼくに触れてこないと言うのは、いかにもおかしい。

ぼくのことを良く思ってない兄貴と、瑠璃さんのことを敵対視してる曽茅野氏が手を組んだと考えるのが妥当だけど、でも、いかんせん、色んなところで決め手に欠けている。

動機もそうだし、動画を2人がアップしたと言う物証も何もない。

もうしばらく、当たれるだけ当たって見るしかないか・・・

天井を見上げながら、次の一手を考える。



******



翌日、10時からのミーティングを終え、ついでに経理課に寄って行こうとフロアを歩いていると、向こうに曽茅野氏の姿が見えた。

渋谷でのことや兄貴とのことが頭にあったから、どう言う態度で接しようかと素早く考えながら近づいて行ったぼくは、ふと足を止めた。

曽茅野氏はぼくには気が付いていない。

どこか一点を凝視しているようで───

その視線が職場には不釣り合いなほど熱を帯びているように見え、声を掛けるのが憚れるほどだったのだ。

何を見ているんだ?

曽茅野氏の視線の先を辿って行くと・・・

そこには一人の女性の姿があった。





…To be continued…


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Secre

ベリーさま

ベリーさん、こんにちは。

> 「今回はどんなミスするかな」とか警察に逆に期待されてるかも。

ありえそうですね。ある意味、警察の癒しになっているかも知れません。

> でもですね、私どもは高彬Love100%ですからね、守弥一人の主役で持つかどうか。。。( ̄◇ ̄;)どぎっぱり宣言しておきます!
> やはり私どもは若君が一番なのです!!

そうですよね!
守弥の話を書くと言う事は、その分、高彬の話が減るってことですもんね。
そんな簡単なことに、どうして気が付かなかったのでしょう・・「ば~かな、瑞月」ですね。

> 3人美女怪盗。瑠璃は真ん中の次女、三女大江、長女が藤宮か煌姫か!?迷いますね!!

やっぱりここは煌姫でしょう。

> やっぱり煌姫?でも次女の彼氏(名前忘れました)高彬のキャラではないなあ そこだけかぶんないです。
> どうですか、妄想筋肉鍛えてますよ!!💪

いいですねぇ、妄想筋肉!ムッキムキですね!

守弥が主役ですか?笑
ふうむ、間の抜けた怪盗、ぽいですね〜
「今回はどんなミスするかな」とか警察に逆に期待されてるかも。
でもですね、私どもは高彬Love100%ですからね、守弥一人の主役で持つかどうか。。。( ̄◇ ̄;)どぎっぱり宣言しておきます!
やはり私どもは若君が一番なのです!!

さらに古い、ふるいーいネタで怪盗つながりぽっと浮かんだんですけど、キャッツアイ。
3人美女怪盗。瑠璃は真ん中の次女、三女大江、長女が藤宮か煌姫か!?迷いますね!!
やっぱり煌姫?でも次女の彼氏(名前忘れました)高彬のキャラではないなあ そこだけかぶんないです。
どうですか、妄想筋肉鍛えてますよ!!💪

ベリーさま

ベリーさん、こんにちは。

> きっとプッチンしてた時には一人で「ふふふふ、眠っていただく」と不気味に笑っていたに違いない。。。

「ふふふふ、眠っていただく。『永遠に・・』」とかが付いてたら、一気にサスペンス色が強まりますね(笑)

ふと思ったんですけど、守弥が主役の「間抜けな大怪盗」みたいな話って面白そうじゃありません?
自分の策にうっとりして、でも何やっても失敗しちゃうって言う感じの。
「今夜ルビーを頂戴する」とか予告状送りつけておきながら、来た試しがないって言う(笑)
警察も「懲りない奴ですねー」とか言って出動しらしてくれない・・・。

> ソチノミヤと春日友達っていうより、春日をこき使ってるって言うイメージが拭えませんね。あわれな春日兄。

その上、馬鹿舌ですからね(笑)

> お、おや?ミヤの目線の先に女性ですと?
> あの女性かな?(^^)

ふふふ・・。あの女性です!

非公開さま(nさま)

nさん、こんにちは。

プッチン守弥ですね。
もう、彼の存在自体が危険なのです(笑)
私はごく普通に頭に浮かんだ場面を描写してるだけなのですが、彼の類まれな変人さが、行間から溢れ出てしまっているんだと思います。危険な男ですよ(笑)

守弥はこの先も「守弥道」を邁進して行きます!

守弥、犯罪だってば。( ̄◇ ̄;)
きっとプッチンしてた時には一人で「ふふふふ、眠っていただく」と不気味に笑っていたに違いない。。。
行き過ぎな愛情は嫉妬を呼ぶ。なんだかんだ言って高彬への守弥の影響大ですよね〜
ソチノミヤと春日友達っていうより、春日をこき使ってるって言うイメージが拭えませんね。あわれな春日兄。
お、おや?ミヤの目線の先に女性ですと?
あの女性かな?(^^)

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