***短編*** 恋の特効薬 ***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』



        注)このお話は一話完結です。
           
          高彬×瑠璃の甘々を愛するサークル『らぶらぶ万歳サークル』に
          出品した作品です。
          今回のお題は「柿」or「萩」でした。

          
          新婚生活のある日の一日・・・としてお読みください。 
          

        *******************************************************



***短編*** 恋の特効薬 ***









そろりそろりと半身を起こし、軽く頭を振ってみる。

まだ少し頭は痛むけど、昨日よりはだいぶ良くなってきているみたいだわ・・・。

「まぁ、姫さま。お起きになって。お加減はよろしゅうございますの」

部屋に入ってきた小萩が驚いたような声を出した。

あたしはおとといから熱を出し、ここ三日ほどずっと寝込んでいたのだ。

「だいぶいいみたい」

返事をすると、小萩は嬉しそうに頷きながら袿をかけてくれた。

「ようございましたわ。ここ数日、急に寒くなって参りましたものね。きっとお風邪をお召しになったのでございましょう。今、お薬湯をお持ちしますわ」

立ち上がりかけた小萩に

「薬湯はいいわ。それよか、小萩。何か果物を持ってきてよ」

声をかけると、小萩は振り返り

「果物もお持ちしますが、お薬湯もお飲みにならないと・・・」

と渋い顔をしている。

「苦いからヤなのよ、薬湯は」

「ですが、姫さま・・・」

「とにかく果物をちょうだい。薬湯は持ってきても飲まないわよ」

ぴしゃりと言うと、そのあたしの声にかぶさるように

「わがままな姫君だね」

笑いを含んだ声が聞こえ、いつからそこにいたのか、妻戸の影から高彬が現れた。

「高彬」

「少将さま!」

あたしと小萩の声が重なった。

「ご案内もせずに申し訳ございません。まぁまぁ、早苗たちはいったい、何をしていたというのでしょう」

おわてふためく小萩に高彬はやんわりと

「ぼくが案内を断ったんだ。瑠璃さんがおとなしく寝ているかどうかを見るためにね」

片手を上げながら言う。

「小萩。瑠璃さんに薬湯を持ってきて」

「・・・ですが、高彬さま。姫さまは苦いからお飲みにならないとおっしゃって・・・」

「大丈夫だよ。瑠璃さんは飲むから。早く持ってきて」

「はい。お持ちしますわ」

小萩は安堵したような表情を浮かべて、下がっていった。

「あたし、飲まないわよ」

小萩の足音が聞こえなくなってから、むすっと言うと

「飲まなきゃ治らないだろ」

高彬は、メッと怖い顔を作ってみせた。

ふん、高彬に怒られたって怖くないもんね。

「もう治ったもの」

そう言うと、高彬がすっと手を伸ばしてきて、あたしの額に触れた。

「まだ少し熱があるじゃないか。薬湯は身体にいいんだし、多少、苦くても我慢して飲まなきゃだめだ」

「そんなに身体にいいんなら、高彬が飲めばいいじゃない。とにかくあたしは果物が食べたいの」

口をとがらせて言うと、高彬はしばらくあたしを見ていたんだけど、やがて、やれやれというように肩をすくめ、袖から何かを取り出した。

よく見ると、それはつやつやと橙色に光る、みるからに美味しそうな柿だった。

「うちの庭にね、なっていたんだ。美味しそうだったから、瑠璃さんにと思って取ってきたんだ」

「ちょうだい!」

思わず手を伸ばすと、高彬はさっと柿を高くかかげ

「薬湯を全部、飲んだらあげるよ」

おかしそうに言う。

「ずるいわ、交換条件なんて」

「ずるくないさ。こうでもしなきゃ、瑠璃さんは薬湯を飲まないだろ」

「・・・・・」

「ちゃんと飲むかい」

「・・・・・」

「飲んだら柿をあげるから」

「・・・飲む・・・わ」

「いい子だ」

高彬は満足そうに頷き、ちょうどそこに薬湯を掲げ持ってきた小萩が部屋に入ってきた。

差し出された薬湯をあたしがしぶしぶ飲み始めると、小萩は目を真ん丸くして

「さすがは高彬さまですわ。いったい、どうやって姫さまを説得なされましたの」

と小声で高彬に聞いている。

一応、声を潜めてるつもりなんだろうけど、丸聞こえなのよね。

高彬は

「ぼくの説得じゃないさ。これのお陰だよ」

そう言って、柿を取り出して見せている。

「まぁ、姫さまったら。柿に釣られて・・・」

小萩はぷっと吹き出し、高彬と笑いあっている。

やがて、あたしがすっかり飲み終えると

「瑠璃さんとの約束だからね。小萩、これを瑠璃さんに出してあげて」

高彬は小萩に柿を手渡した。







             ************************************








その夜、当然、高彬は泊まっていくことになり、寝所を整えた女房たちが退出して行くと、部屋にはあたしと高彬、ふたりきりになった。

待ちかねたように、高彬が、そろりそろりと肩に腕を回してくる。

あたしはその手をぴしゃりと叩き

「まだ、風邪が治ってないんですからね」

つんと言ってやった。

「さっき、もう治ったって言ってたじゃないか」

「まだ熱があるから、薬湯を飲まなきゃだめだって言ったのは誰よ」

薬湯を飲まされた恨みは大きいわよ。

睨みつけてやったのに、高彬はぜんぜん気にしてない風に、さらに腕を回して接吻をしてきた。

単の合わせに指をすべりこませ、すっかりソノ気になってしまっている。

「もう、高彬ったら!あたしは病人なのよ」

身をよじりながら抗議をすると

「瑠璃さんは寝てるだけでいいから。・・・少しだけだから。ね」

なんて耳元で囁いてくる。

「やあよ、高彬の言うことは信じられないわ。いつもそう言って、少しで終わることがないんだから」

言い返してやったら、高彬はふきだした。

「汗をかくと熱が下がるって言うだろ。これも風邪の治療法さ」

すまして言って、さらに大胆な動作を取りはじめる。

もう・・・こういう時の高彬って、本当に何を言っても聞かないんだから。

困ったもんだわ・・・。

そうこうするうちに、高彬の手や指はますます熱を帯びてきて、あたしは諦めて目をつむり、やがて没頭していった。


・・・・本当にこれで・・・風邪が治るのかしら・・・あたし・・・。





                      <終>


〜あとがき〜

こんにちは、瑞月です。

いつもお読みいただきありがとうございます。

ここ数カ月、自由になる時間のかなりを、二次小説を書くことににあてていたので、やりたいことや読みたい本がたまってきてしまいました。

しばらくはそちらに時間を使おうと思いますので、更新頻度がのんびりになると思います。

やめるわけではないですので、雑記や二次小説を少しずつですがアップしていくつもりです。

また、毎日、ランキングの応援クリックをして下さる皆さま、ありがとうございます。

更新がのんびりになるのに、応援クリックをお願いするのも心苦しいので、ランキングの方もお休みすることにしました。

今まで、たくさんの応援をありがとうございました。


(←お礼画像&SS付きです)

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Secre

Unknown

競作大会、お疲れさまでした!
だんだん大胆になる高彬にドキドキでした~v

ブログの方は、この先のんびりモードにされるとのこと。
これからは瑞月さんのやりやすいペースで活動されて、のんびり続けていただけたら嬉しいなって思います。
今日は、ひとつお願いがありまして……。
もし良かったら、私のブログで「なんて素敵にジャパネスクあれこれ」様をリンクさせていただけたらと思っています。
ずっと思っていたのですが、なかなか改めて申し上げる機会がなく…(汗)
ご検討いただけたらと思います。
m(_ _)m

>薫香さん

コメントありがとうございます!
リンクの件、ぜひぜひお願いいたします。
私の方も、リンクさせていただいても良いですか?

これです
 ↓
http://blog.goo.ne.jp/mizuki1004_10" target=_blank>http://blog.goo.ne.jp/mizuki1004_10

よろしくお願いします♪

Unknown

リンクの件、快く了解くださって、ありがとうございますv

私のブログの方にもリンクのお申し出をありがとうございます!嬉しいです♪
こちらになります。↓

http://kaorukojapa.cocolog-nifty.com/" target=_blank>http://kaorukojapa.cocolog-nifty.com/

これからも、どうか宜しくお願いいたします!m(_ _)m

>薫香さん

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