教師編<運動会編>

拍手SSとして書いていた「教師編」の続編です。今回は記事としてあげます。




「瑠璃×高彬<教師編>**運動会** 」




良く晴れた───と言うには、晴れ過ぎたくらいの土曜日。

今日は全校挙げての運動会である。

5月だと言うのに、予報では最高気温は30度になると言っており、なるほどまだ8時前なのに、真夏のような陽射しが照り付けている。

職員室の自分の席で、そろそろ教室に向かおうと準備をしていると、ガラッとドアが開き、見ると瑠璃さんだった。

運動会と言う事で、上下ともスポーツウエアを来ており、髪は少し高い位置で結わっている。

胸に抱えるように封筒を持っていて、歩くたび、髪が左右に揺れるのが・・・・可愛い・・・。

「・・・先生。藤原先生?」

ハッと気が付いたら瑠璃さんが立っていて、ぼくの目の前で手を振っている。

「あ、あぁ・・、瑠璃先生・・・」

「大丈夫ですか?何だかぼぉっとして。もしかして熱中症?」

「いや、まさか。ちょ、ちょっと考え事してただけだから」

まさか瑠璃さんに見惚れていたとも言えず適当にごまかすと、瑠璃さんはさして疑うこともなく

「そう、ならいいけど」

と頷いた。

「そろそろ教室行かないと」

「そうね」

瑠璃さんとはクラスが隣同士なので、連れ立って職員室を後にする。

階段を上がり3階に4年生の教室がある。

「今日、持ってきたわよ」

「え、何を」

階段の踊り場で瑠璃さんに小声で言われ、思わず聞き返してしまった。

何か、瑠璃さんにお願いしてたものなんてあったかな。

「お弁当」

「・・・あ」

思い出した。

数週間前の学校帰り、テストの丸付けですっかり遅くなってしまい、瑠璃さんと夕飯を食べて帰ったことがあった。

誘ったのはぼくだし、ぼくが払おうとしたら瑠璃さんは自分も払うと言い張り、それでぼくは

「じゃあ、運動会の日にお弁当作ってよ」

と言ったのだ。

食事中に「運動会の日は給食がないからお弁当作らなきゃいけない」と言うような会話をしたせいもあった。

ぼくとしては、瑠璃さんに奢る口実みたいなもんで、本当に弁当を作ってもらおうと思ってたわけじゃないんだけど・・・

でも、そうか、本当に作ってきてくれたのか。

「もしかして、何か持って来てた?」

ぼくが返事しないのを何と思ったのか、瑠璃さんが心配そうに顔を覗き込んできた。

「いや、何も用意はないよ、店屋物でも取ろうと思ってたから」

慌てて言うと

「良かった」

瑠璃さんはホッとしたように笑い、髪を揺らしながら教室に入っていった。

瑠璃さんが教室に入ったのを見届けて、ぼくも教室に入る。

普段から落ち着きのない子どもたちは、運動会と言う事もありさらに浮き足立っているように見える。

「皆、席に付け。朝のホームルームの時間だぞ」

手を叩きながら促すと

「あ~、藤原先生、何か良いことあったでしょ?」

クラスのリーダー格の女子、梶原が声を張り上げた。

「え?」

「だって何だか、顔がニヤけてるもーん。藤原先生、顔に出過ぎ!」

クラス中がドッと笑い

(この声が隣に聞こえてないといいな)

と願わずにはいられなかった。

しかし、この勘の良さ、4年生と言えども女は女なんだな。末恐ろしい・・・

5.6年有志からなる吹奏楽部の高らかなファンファーレで幕を開けた運動会は大盛り上がりだった。

砂ぼこりを物ともしない子どもたちの白熱した競技が続き、午前の最後の種目はPTA主催の『借りもの競争』だ。

紅白のタスキを掛けた保護者と教師が出場し、点数は加算されないけど、毎年かなりの盛り上がりを見せ、運動会の名物種目となっている。

今年はぼくも出ることになっていて、スタートラインに並んだ。

ホイッスルの合図で走り出し、地面に置かれた紙を拾い上げる。

書かれていた<指令>の言葉を見て───

「・・・・」

少し考えて、瑠璃さんの姿を探した。

瑠璃さんはどこだ、どこにいる。

キョロキョロと見回していると───いた!

クラスの応援席に子どもたちと座り、ポンポンを片手に持って声を出している。

「瑠璃先生!瑠璃先生!来て!」

ダッシュで応援席に近づき手招きをした。

「へ?あたし?」

きょとんとする瑠璃さんの手を取り、そのまま走りだすと、割れんばかりの拍手と歓声とヤジが響き渡った。

手を繋いだままゴールテープを切ると、すかさず放送係りの梶原がやってきて、ぼくの手にあった紙を取りあげる。

「1位は4年の藤原先生でした~」

梶原は紙をわざとらしく読む仕草をすると

「借り物競争の<指令>は・・・」

ニヤッとぼくの方を見て

「好きな人、です!」

さっきよりも大きな歓声と笑い声、ヒューヒューと言う囃し立てる声が響き渡り───

ぼくは慌ててマイクを取りあげた。

くっそー、梶原のやつ。

まったくの嘘を言いやがって。

すかさず訂正をする。

「<好きな人>なんて書かれてない!<可愛い人>と書かれていたんだ!」

一瞬、シンと水を打ったように静まり返った後、大歓声が沸き起こった。

梶原は身体を二つに折って笑いだし、瑠璃さんはと言うと、ゆでだこみたいに真っ赤な顔をして口をパクパクさせている。

運動会は、学校史に残るほどの大盛況のうちに終わり、だけどぼくは、しばらく瑠璃さんに口を利いてもらえないと言う憂き目にあうことになった。

そのぼくがどうやって瑠璃さんの恋人の座を射止めたかは───

その話はまた別の機会に譲ろうと思う。




~fin~


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(←お礼画像&SS付きです)

コメントの投稿

Secre

非公開さま(Kさま)

Kさん、こんにちは。

運動会編、楽しんでいただけたようで嬉しいです。
教師編はゆっくり更新となってしまいますが、地道に話を進めて行きますので。また良かったらお付き合いください。
カテゴリ「拍手SS」の中に、教師編の話が2話ありますので、もしまだのようでしたら、そちらもお読みになってみてください。

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非公開さま(Mさま)

Mさん、こんばんは。

楽しそうな運動会ですね~。結構、「ガチ」で行きそうですね、その綱引きは。
梶原さんの行く末は、煌姫でしょうね(笑)

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非公開さま(Tさま)

Tさん、こんばんは。
こんな学校があったら、私も毎日、行きたくなってしまいます。
お部屋が「瑠璃」ですか!
それは嬉しいですね。何かご縁みたいなものを感じてしまいますよね。
良いご旅行を!

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