***古典シリーズ*** 《続》今は昔。<新釈・竹取物語>2

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)原作の設定を大きく逸脱した部分を含むお話です。閲覧は自己責任でお願いいたします。
               
        






***古典シリーズ*** 《続》今は昔。<新釈・竹取物語>2 ***






朝餉を食べ終え、ぼくはそのまま京に戻ることにした。

「昨日の今日で疲れてるんじゃない?もう少しゆっくりしていきなさいよ」

「そうですわ、少将さま。せめてもう一泊なさってお疲れを取ってから・・」

口々に引き留めてくれたけど、馬を引かせ跨る。

「色々、京でやらなきゃいけないことがあるから。瑠璃さんは少しここでゆっくりしてきたらいい」

帰る頃までには婚儀を整えておくから。

そう言いたかったけど、回りに人がいたから止めておいた。

代わりに瑠璃さんの目を思いを込めて見ると、瑠璃さんもぼくの目を見返して来て、そうして何も言わずにコクンと頷いた。

「気を付けて帰ってね」

「うん」

腹を蹴ると、嘶きをひとつ上げて馬が走り出す。

同じ道を走ってるはずなのに、来る時とは全く違う心持ちだった。

二度、馬の給水のために止まった以外は、休むことなく走り続け、夕刻前には京に戻ることが出来た。

自邸で着替えを済ませると、そのまま三条邸に向かう。

見慣れた女房が出迎えてくれ、ぼくの顔を見ると

「まぁ、右近少将さま。融さまはまだ宮中よりお戻りになられておりませんが・・」

「いや。今日は融じゃないんだ。内大臣さまはご在宅だろうか」

「大臣(おとど)さま、ですか・・?はぁ、いらっしゃいますが」

女房は首を傾げながら奥に下がって行き、少しすると母屋に通された。

「これはこれは高彬どの」

内大臣さまはぼくの手を取るようにして出迎えてくれ、ぼくは用意されていた円座に腰を下ろすと

「内大臣さま。今日はお願いがあって参りました」

両手を床に付いた。

「おぉ、どうなされた、高彬どの。そんなに畏まらんでも・・」

「瑠璃姫との結婚をお許し願いたく存じます。必ず幸せに致します」

一息に言い、深く頭を下げる。

しばらくたっても内大臣さまからの言葉がなく、不安に押しつぶされそうになった時

「ズズ」

と言う音が聞こえた。

ズズ・・・?

恐る恐る顔を上げると、内大臣さまは目を真っ赤にして盛大に鼻をすすっている。

「内大臣さま・・」

「嬉しい。嬉しいのじゃよ、高彬どの」

「・・・」

「今まで、こうして、わしにこんなことを言ってくる公達はおらんかった」

「でも、瑠璃姫は名だたる公達から求愛されて・・」

「うむ。確かに婚姻を持ちかけられたことは多々あった。しかしじゃな、瑠璃を必ず幸せにすると言ってくれたのは、高彬どのだけじゃ」

「・・・」

「高彬どののお人柄は、良くわかっておる。ぜひ瑠璃を頼みたい。瑠璃からはわしが説得しよう」

「いえ、あの・・」

すでに合意は取れていると言い掛けて、口をつぐんだ。

それを言うとしたら、吉野でのモロモロを言わなければならず・・・

いや、いいのか。気持ちは通じ合っているとだけ言っておけば・・・

「あの・・」

言い掛けた途端

「大臣さまに申し上げます。源定之さまがお見えでございます。いかがなさいましょうか」

いつ来たのか、廂に女房がやってきて手を付き口上を述べた。

「おう、定之どのか。・・・悪いがな、そう言うわけでな、高彬どの」

「内大臣さま、あの・・」

「何、心配はいらん。必ずや瑠璃を説得するからの。この内大臣に任せてもらいたい」

うんうん、と内大臣さまは頷かれ、そのまま部屋を出て行かれた。

「・・・」

まぁ、仕方ないか。

説得も何も、瑠璃さんは同意してくれてるんだし。

出された白湯を一口飲んで立ち上がり、三条邸を後にした。





<続>


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Secre

ベリーさま

ベリーさん、こんにちは。

> お疲れではお疲れでも、幸せなお疲れだったに違いない!

それはそうですよね。まだまだお若いですし~(笑)

> 融の性格って大臣様からも来てるんですね〜(^ ^)

内大臣の人の良さそうなところは融に行ってますよね。

> 改まって申し込みする高彬の姿、惚れ惚れしますね!ウフ!

はい!かっこいいですよね。
でも、実は藍さんのあの絵がチラついてしまい、(そっか~、高彬の直衣の下はあんな感じなのね~)なんて思ってしまって、惚れ惚れよりもニヤニヤしてしまっています。

非公開さま(Kさま)

Kさま、こんにちは。

すぐに行動を起こす高彬です。
全部、読めたのですね、良かったです!

お疲れではお疲れでも、幸せなお疲れだったに違いない!
融の性格って大臣様からも来てるんですね〜(^ ^)
改まって申し込みする高彬の姿、惚れ惚れしますね!ウフ!

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