***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>14

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)原作の設定を大きく逸脱した部分を含むお話です。閲覧は自己責任でお願いいたします。
               
        






***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>14 ***






岩に腰掛けてぼくたちは色々な話をした。

昔、遊んだ時の思い出話、会えずにいた時の過ごし方や思い───

話せば話すほど、いかにぼくたちがお互いに誤解とすれ違いを繰り返していたのかが露呈するだけだったけど、でも、どれも楽しい答え合わせだった。

「少し前、高彬が兵部卿宮家の二の姫と結婚するって噂を耳にしたけど」

「あぁ、そんなこともあったな。お祖母さまが持ってきた縁談でね。でもお断りしたよ」

「二の姫って言ったら音に聞こえた才色兼備な姫じゃないの。よくそんな縁談、断ったわね」

瑠璃さんが驚いたように言い

「うん、まぁ・・・、これっばかりはね」

ぼくは曖昧に返事をした。

二の姫との縁談を断ったと知った同僚からも、さんざん言われた言葉だった。

でも、どんな絶世の美女だろうが、才色兼備だろうが、気持ちが動かないんだから仕方がない。

条件と美貌だけで、妻を選べる人もいるのかも知れないけど、ぼくは違う。

「そう言う瑠璃さんこそ、帝や秋篠中将に求愛されて、よく心が動かなかったね」

「うーん、そうねぇ・・」

小首を傾げながら瑠璃さんは言い、少し考える素振りのあと

「ほんと、人を好きになる気持ちって不思議よねぇ。どんな権力者や条件の良い人に言い寄られて何とも思わないんだもの。この人を好きになろう、って決めてなれるもんじゃないのよね。きっと好きに<なる>んじゃなくて<なっちゃう>の。もう、この人じゃなきゃダメって感じになるんだから」

一気に言ってから、慌てたように

「い、一般論よ、一般論」

と付け加えた。

聞きようによっては、かなり熱い告白だったことに今さらながら気が付いたらしい。

「ぼくもそう思うよ。ほんと、星の数ほど女の人はいるけどさ、でも、好な人はたった一人なんだ。いっそ他の誰かを好きになれれば楽なのにと思う事はたくさんあったけど、でも、自分の気持ちは自分が一番よく分かるからね。人を好きになる気持ちって制御不能なんだよな。自分の気持ちなのに、自分ではどうにもならない。まさしく嵐の中でもみくちゃにされてるような気分なんだ。・・・・まぁ、これも一般論だけど」

「・・うん。一般論よね」

「そう、一般論だ」

「・・・誰からの求愛も受けなくて良かったわ。・・一般論だけど」

「ぼくも縁談を全部断って良かったよ。これもまぁ、一般論だけど」

そっと横目で目が合って、2人して吹き出した。

ひとしきり笑ったあと、どちらからともなく指先を絡め合い、だんだんとしっかりと握りしめた。

小さな手だった。

女の人ってこんなにも小さくて柔らかい手をしているのだろうか。

月を見上げながら、指先だけで感触を確かめているうち、あやしい気持ちになってくる。

「・・山荘まで送るよ」

岩から立ち上がり、瑠璃さんの手を取った。

このまま、ここでいいムードに浸っていたら、自制心が持つ自信がない。

繋いでいた馬を引き、まずぼくが騎馬し、瑠璃さんを抱き上げる。

騎馬は初めてと言う事で、瑠璃さんは物珍しそうにまずは馬の背を撫ぜ、そうして辺りを見回した。

「結構、高いのね」

「うん。景色が変わるだろ」

ゆっくりと歩き出すと

「あ、待って。向こうを回って」

瑠璃さんから注文が入り、指さしたところは桜の枝が大きく張り出したところで、桜の花を間近で見られる場所だった。

馬を回し、ちょうどいい所で止まると

「・・・綺麗」

瑠璃さんは目線と同じ高さにある桜の花房に顔を近づけ目を瞑った。

瑠璃さんの横顔の向こうには月が掛かり、気が付いたらぼくは瑠璃さんを抱きしめていた。

顎に手を掛け接吻をする。

叶うものならこのまま瑠璃さんを離したくなかった。

攫えるものなら攫いたい。

奪えるものなら奪いたい───

「瑠璃さん───」

だけど、ぼくの口から次に出た言葉は

「もう、行こうか」

そんな礼儀正しくも意気地のない言葉だった。

瑠璃さんがコクリと頷き、馬の歩を進める。

篝火を目当てに山荘に着き、馬から下りると、瑠璃さんは

「もう着いちゃった・・」

少し残念そうな顔をした。

瑠璃さんが月を見上げ、釣られてぼくも上を見ると、月の回りには不思議な陰影を付けた雲があり、ぼくたちは少しの間、黙って夜空を見ていたのだった。





<続>


奪えるものなら奪いたい───
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Secre

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんにちは。

>高彬~~~!
>もう、やっちゃって~~~っ。(笑)

このシチュは何か起こっていい、いや、起こらなきいけないパターンですよね!
高彬、がんばって瑠璃をリードしてあげてーー!

ベリーさま

ベリーさん、こんにちは。

> どんどん奪っとこう!いっとこ!
> 背中押しまくりです(^^)

ありがとうございます~。背中押されまくりました!

> 静かな山荘で月明かりの下、桜が散っているんですよ もうこれはGOサイン!!

しかも2人はずっとお互いを好きだったんですもんね!

管理人のみ閲覧できます

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どんどん奪っとこう!いっとこ!
背中押しまくりです(^^)
パワー届いてますか!? 馬上のキスも思わずってところがステキ♡
静かな山荘で月明かりの下、桜が散っているんですよ もうこれはGOサイン!!
ロマンチック以外の何者でもないです!
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