***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>12

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)原作の設定を大きく逸脱した部分を含むお話です。閲覧は自己責任でお願いいたします。
               
        






***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>12 ***






黙ったまま視線が絡みあい、やがて瑠璃さんは静かに目を逸らした。

それでも、相変わらず真っ赤な顔のまま

「絶対、あたしの方が先なのに・・」

なんて呟いている。

その強情っぱりな感じは、いかにも負けず嫌いの瑠璃さんらしいものではあるのだけど・・・

それにしても、瑠璃さんがぼくのことを好きだったなんて。

なまじ片想い期間が長かっただけに、にわかには信じ難く、でも、こうして他ならぬ瑠璃さん自身の口から発せられた言葉なんだし、まぁ、そういうことなんだろうか・・・

いやはや、何と言うか・・・

ぼくはぼくで、瑠璃さんには歯牙にもかけてもらえてないと思ってたわけで、つくづく、人生と言うのは勘違いと思い込みで出来ていると思わざるを得ない。

ふと、桜の花びらが敷き詰められた地面に目を落とすと、折れた桜の小枝が目に入った。

まだ桜の花を付けており、風か何かで折れてしまったのだろう。

枝を拾い上げ

「これ・・」

と瑠璃さんに差し出す。

「いつか本物の『蓬莱の玉の枝』を贈るから。だから、今はこれで・・・。他の人がもし『龍の首の珠』や『仏の御石の鉢』を瑠璃さんに持ってきて妻問いをしてきても、断って欲しいんだ」

「・・・」

「瑠璃さん。ぼくの妻になってくれ」

しばらく何も言わずに桜の枝を見ていた瑠璃さんは

「綺麗・・」

そう言いながら手を伸ばして来た。

桜の枝を持つと

「まるで本物の『蓬莱の玉の枝』みたい・・」

吐息交じりの小さな声で言い、愛おしげに桜の枝を眺めている。

蓬莱山の山頂にあり、根が銀、茎が金、実が真珠で出来ていると言われている伝説の<蓬莱の玉の枝>───

月の光を受けた桜の枝は、確かに金銀に光り輝いて見え、花びらは発光する真珠のようだった。

じっと桜の枝を見つめる瑠璃さんを見ながら、ぼくは小さく息を吐いた。

いくら瑠璃さんがぼくを好きだと言ってくれても、瑠璃さんが送ったと言う文のことが気になっていた。

もしも、あの中の誰かが瑠璃さんが望むものをどんな形にしろ調達してしまったら、瑠璃さんは<それを持って来てくれたら結婚します>と書いているわけで、皆、百戦錬磨の人たちばかりだから、どんな手を使われるかわかったものではないのだ。

だから、気が早いと思われるかも知れないけど、ここで求愛の承諾をもらっておきたかった。

「瑠璃さん、あのさ・・・」

再度、結婚の申し込みをしようと口を開くと

「あのね、高彬」

瑠璃さんがぼくの言葉を遮り話しはじめた。

「あたし、この間の文に『龍の首の珠』や『仏の御石の鉢』を持ってきたら結婚します、なんて書かなかったのよ」

「え」

───書かなかった?

でも、皆「無理な要求を突きつけられた」とか「いくらなんでも無理難題が過ぎる」とか言ってなかったか?

「・・・」

うん、言ってたよな。

その時のことを思い出していると

「文にはね、こう書いたの。『生涯、妻は私一人だけと誓ってくれるのなら結婚します』って」

「・・・」

「そしたら、それきり誰からも文が来なくなったのよ」

「・・・」

生涯、妻は自分一人・・

確かに現代の結婚形態からすれば、それは常識外れな要求で・・・

そうか。だから、無理難題、か・・・。

「男なんて結局、みんな、こんなもんなのよ。しつこく、あたしに求愛の文を送りつけるくせに、他の人にも手は出すつもりなんだから」

「ぼくは違うよ、瑠璃さん」

「・・・」

「瑠璃さん以外、妻は持たない。約束する」

瑠璃さんの目をまっすぐに見て言った。





<続>


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Secre

ベリーさま

ベリーさん、こんばんは。
> 原作で高彬が初夜がダメになった時、瑠璃に紅の単衣を渡したときは、「かっこいい〜 おしゃれ〜」と思ったものです。瑠璃さんも喜んでましたよね!こんな粋なことが素でできるなんて、本当にカッコいい。

そうそう、あの場面はかっこよかったですよね!
「見送りはいいよ」とかも。

> 男高彬を瑠璃さんに感じてもらいましょうよ!うふふ (いやいやそうゆう意味でなくて)

いやいや、「そういう意味で」感じてもらいましょうよ!

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんばんは。

>『折れた桜の小枝』を『蓬莱の玉の枝』に見立てるなんて、高彬ってば粋ですね~。(((*≧艸≦)

そうですよね。
とっさに思い付いたのでしょうが、瑠璃は嬉しかったと思います。

おっしゃる通り、2人の感覚は現代に近いんですよね。
更に2人揃って恋愛に堅気。
原作で瑠璃は、色んな殿方にもててますが、でも、軽々しいことは一切してませんしね。
本当に純真なんですよ。
2人が恋の駆け引きをするようなタイプだったら、きっとこんなにも好きになってはいないと思います。
(鷹男は恋の駆け引きをするタイプですよね)

桜の枝、なんだか婚約指輪の代わりですか (^ ^) 雅ですね〜 🌸
原作で高彬が初夜がダメになった時、瑠璃に紅の単衣を渡したときは、「かっこいい〜 おしゃれ〜」と思ったものです。瑠璃さんも喜んでましたよね!こんな粋なことが素でできるなんて、本当にカッコいい。

どんどん押しの方向でグイグイ行ってもらいましょうよ。筒井筒から一歩抜け出した、男高彬を瑠璃さんに感じてもらいましょうよ!うふふ (いやいやそうゆう意味でなくて)
公休なんで思いっきり吉野でいい思いして欲しいです!!!!

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