***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>10

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)原作の設定を大きく逸脱した部分を含むお話です。閲覧は自己責任でお願いいたします。
               
        






***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>10 ***






「ずっと好きだった人がいるの・・」

「・・・」

「気付いたら、好きになってたの」

「うん、そうか・・」

何か返事をしなくちゃいかない気がして、声を振り絞った。

好きな人に、せめて無様な姿だけは見せたくないと思う。

「でも・・・、振られちゃったのよ」

「そうか・・」

ポツポツと話す瑠璃さんの言葉を聞きながら、ぼくの知らない所で瑠璃さんは恋をし、そうしてその恋を失っていたと言う事実に衝撃を受ける気持ちとはまた別に

(それと、ぼくへ言った『ひどい』がどう関係があるのだろう)

と言う思いが募っていく。

それにしても、瑠璃さんの好きな人と言うのは誰なんだろう・・

基本的に邸に籠ってばかりの女性に、そう多くの出会いがあるとは思えないし───

瑠璃さんが出掛けると言ったら、年に1回か2回、ここ吉野に来ていたくらいで・・

「・・・」

そうなのか?

吉野滞在中に、何か出会いがあったのか?

だから、こうして思い出の吉野に来ているのか・・?

それとも、帝や秋篠中将・・・なのだろうか?

ぼくが知らないだけで、あの中の誰かがとっくに瑠璃さんと通じていたのだろうか・・

頭の中を目まぐるしく思考が行き交い

「瑠璃さん」

ぼくは背中越しの瑠璃さんに声を掛けた。

「なぁに」

「その・・・、良かったら瑠璃さんの好きな人、教えてもらえないか」

知ってどうなるものでもないけど、でも、このまま引き下がるのは嫌だった。

瑠璃さんに振られるのだとしても、それくらい知りたかったし、聞いてもいいんじゃないかと思う。

瑠璃さんは黙ったままだったけど

「宮廷人?」

構わず質問をする。

かなり長い沈黙の後

「・・・そうよ」

耳を澄ましてようやく聞き取れるくらいの声で、瑠璃さんが返事をした。

宮廷人か。

となると、やっぱりあの中の誰かが・・・

「その人ね、武官なの」

「・・・」

武官と言ったら───

秋篠中将、か。

知って良かったと言う気持ちと、知りたくなかったと言う気持ち、半々だった。

秋篠中将は信頼のおける上司ではあるけれど、だけど・・・

「それでね、その人、筒井筒なの」

「・・・」

「童の頃からよく遊んでた」

「・・・」

秋篠中将と瑠璃さんが筒井筒?

いや、そんな話、聞いたことないけど・・・

「融と3人でいつも遊んでたわ」

「・・・え」

「吉野で遊んだこともあるし」

「・・・」

それって・・・・

今の瑠璃さんの話からすると、瑠璃さんの好きな人と言うのはぼくと言う事になるけど、でも、ぼくは瑠璃さんを振った覚えなんかないし、いや、そもそも瑠璃さんに好きだと言ってもらったこともないし・・・

いや、だけど、武官で筒井筒と言ったらぼくだけで・・・

ぐるぐると考えが駆け巡り、たまらず桜の木を回り込んだ。

「瑠璃さん。それって・・・」

「・・・」

まっすぐな目で瑠璃さんはぼくを見てきた。






<続>


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Secre

ベリーさま

ベリーさん、こんばんは。

> え?え?瑠璃さん?いつ振られたの、いつ振ったの?

そうですよね。一体、いつ瑠璃は振られたのか。

> 高彬の吉野マジックにハラハラしてますよ

どんなマジックが出るのか?!
もう数話、お付き合いくださいませ~。

> うーむ、実はお皿洗いながら、私も口ずさんでしまいます。意外と忘れない曲ですよね〜汗

はい。何気に名曲なんだと思います!

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんばんは。

やっぱり、もし振られるとしても、好きな人のことは聞きたいですよね。
高彬、勇気を出しました!
「キス」だけじゃあねぇ・・(笑)プラスアルファが欲しいですよねぇぇぇ。

え?え?瑠璃さん?いつ振られたの、いつ振ったの?
武官で筒井筒の人なんて、君しかいないじゃないか!
高彬の吉野マジックにハラハラしてますよ

うーむ、実はお皿洗いながら、私も口ずさんでしまいます。意外と忘れない曲ですよね〜汗

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