***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>9

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)原作の設定を大きく逸脱した部分を含むお話です。閲覧は自己責任でお願いいたします。
               
        






***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>9 ***






瑠璃さんがゆっくりとぼくの方を向き、その目は大きく開かれている。

「好きだったんだ。ずっと」

「・・・」

「だから・・・、妻になってくれないか」

さっきより強い風が吹き、瑠璃さんの髪を揺らす。

花びらの舞う中、瞬きもせずにぼくを見ていた瑠璃さんの唇がかすかに動いた気がした。

「・・いわ・・」

「何、瑠璃さん、よく聞こえない・・」

近づいて行くと瑠璃さんは後ずさりし

「ひどい・・」

「え」

「ひどいわ」

頭を横に振り、一歩二歩と後ずさると、突然クルッと背を向け駆け出した。

「瑠璃さん!」

瑠璃さんに背を向けられたショックで、少しの間、立ち尽くしていたぼくもすぐに後を追う。

「・・あっ・・!」

小さな叫び声と同時に、一瞬、瑠璃さんの姿が掻き消え、どうやら瑠璃さんは張り出した桜の根っこに躓いてしまったらしい。

「大丈夫?瑠璃さん。暗闇で走ったりするから・・」

駆け寄って抱え起こそうとすると

「・・・やめて!」

勢いよく手を振りほどかれてしまった。

「瑠璃さん・・・」

「一人で立てるから」

茫然とするぼくの前で瑠璃さんはゆっくりと立ち上がり、手に付いた汚れを払っている。

俯いたまま何度も何度も執拗なほどに瑠璃さんは手を払っていて、そんなに汚れたわけではないだろうに・・・と、顔を覗き込んだ途端、ぼくはハッとしてしまった。

瑠璃さんは目に涙をいっぱい溜めていたのだ。

唇を引き結び、涙が零れないように瞬きもせずに───

「瑠璃さん・・」

まるでぼくの声が合図だったかのように大粒の涙がポロリと流れ、瑠璃さんは慌てたように桜の木の向こうに隠れてしまった。

「瑠璃さん」

回り込もうとしたら

「来ないで!」

太い幹から袂が動いているのがチラチラと見え、もしかしたら涙を拭っているのかも知れない。

やがて少し落ち着いたのか、桜の木に背中を預けるような気配がした。

回り込みたいのは山々だけど、また瑠璃さんに拒絶の言葉を言われるのが怖かった。

ぼくは、それほどまでに嫌われているのだろうか・・

ぼくの文を見て、瑠璃さんは『ひどい』と言ったと言う。

そして、また今も・・

何か瑠璃さんに失礼なことを言ってしまったのだろうか。

御簾越しには気さくに話してくれるし、嫌われてるわけではなさそうだと思っていたのは、ぼくの都合のいい思い込みだったのだろうか。

「・・・・」

心がシンと冷えていくようだった。

「瑠璃さん・・・」

桜の木の向こうにいる瑠璃さんに向かって話しかける。

「瑠璃さんは、以前にぼくの文を見た時も『ひどい』と言ったと聞いたよ。そして、今も・・。何かぼくが瑠璃さんが嫌がるようなことを言ったりしたんだと思う。色々、・・ごめん。情けないけど、ぼく、そういう事に疎いみたいで。ほんと、・・ごめん」

瑠璃さんからは何の返事もなかった。

「良かったら、教えてくれないか。ぼくが何をしたのか。それで何がどうなるってわけでもないけど、でも、きちんと理由を聞けば、もっとちゃんと謝れるから」

風も止み、無音の世界の中、花びらが舞っている。

月の明りを受けてキラキラと───

音もなく地面に降り積もっていく。

「あたし・・」

やがて瑠璃さんの小さな声が聞こえ、ぼくも桜の木に背を預け、聞く体勢を取った。

どんなことを言われても、静かに受け止めようと心に思う。

「あたし・・・、ずっと好きだった人がいるの・・」

「・・・・」

固く目を瞑った。






<続>


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Secre

ベリーさま

ベリーさん、こんにちは。

> こんなにまっすぐに気持ちを伝えてるのに瑠璃にはずっと好きな人がいただなんて、衝撃の告白です!

そうですよね、一体、瑠璃の好きな人は誰なのか・・・

> 「妻になってくれないか」だなんて、なるなるなる〜!って答えます〜涙

私だって即答ですよ~

> 瑞月さん、もうほーんとに秋篠さんがどこで誰と桜みてようとどうでもいい〜ですよー もう、他、論外。笑

論外(笑)
ベリーさんも「かぐや姫」なんですね。←竹を割ったような性格 。

> お互いがどっかで繋がってるはずなんです!いじらしい二人。瑠璃は月に去っていくのでしょうか、どうか高彬の恋心が報われますように!

はい、ベリーさんの祈りは届くはずです!

> ひとりでは、ねむれない♬(しつこいですかw)

私、最近、気付くと鼻唄でこの歌、歌ってます・・(笑)

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんにちは。

私も書いててせつなかったです……
何が「ひどい」のでしょうね。
でもでも、ハッピーエンドですから、大船に乗ったつもりで(?)お付き合いいただければと思います!

あーん、泣けてきますよ〜 切ないですよ〜

こんなにまっすぐに気持ちを伝えてるのに瑠璃にはずっと好きな人がいただなんて、衝撃の告白です!
「妻になってくれないか」だなんて、なるなるなる〜!って答えます〜涙
こんなに優しい人、他にいないのに。

瑞月さん、もうほーんとに秋篠さんがどこで誰と桜みてようとどうでもいい〜ですよー もう、他、論外。笑

この花びら散る桜に背もたれた二人、絵になりますね。ふと人妻編最終巻の表紙の高彬が浮かびました(確か青っぽい衣装を二人とも着てた気がする。。。)

お互いがどっかで繋がってるはずなんです!いじらしい二人。瑠璃は月に去っていくのでしょうか、どうか高彬の恋心が報われますように!
ひとりでは、ねむれない♬(しつこいですかw)

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