社会人・恋人編<52>

「瑠璃さん」

高彬に背中を撫ぜられて、薄っすらと目を開ける。

「携帯、鳴ってるみたいだけど・・」

「・・・」

確かにリビングから、携帯の着信音が聞こえてきて───





─Up to you !Ⅱ─side R <第52話>





「・・今、・・・何時?」

重い瞼を開けて聞いてみると

「・・1時半、過ぎだよ」

サイドテーブルのデジタル時計を持ち上げる気配がして、高彬が低い声で言ってきた。

1時半───

こんな時間に誰かしら・・・・

「出なくていいの?」

「・・・う・・うん・・」

曖昧に返事をする。

出たいんだけど、身体が動かない。

・・と、思ったら呼び出し音が鳴り止んだので、あたしはホッとして目を閉じた。

もうね、あたしはクタクタなのよ。

十分過ぎるくらいに絆を深められ、これ以上、深めたらさすがに深めすぎでしょ・・ってところで、ようやく高彬は納得して解放してくれたんだけど。

時計見たわけじゃないからはっきりはわからないけど、多分、ベッドに連れ込まれたのが11時過ぎで、ついさっきウトウトし始めたばかりだから───

2時間!

2時間も絆、深めてたんだ・・・

そりゃあ、クタクタになるはずよ。

一週間仕事して、そうでなくてもお疲れの金曜日なんだもの。

その帰りに慣れない合コンに出て、さらにフルコースで絆深められたりしたら、身体がもたないわよ。

アスリートじゃないんだし・・

すぅーと眠りに入り掛けた瞬間、また着信音が聞こえてきた。

「・・また鳴ってるよ」

「・・うん・・、高彬、携帯、持って・・きて・・」

クタクタになったのは高彬のせいなんだし、そう言うと

「いいよ」

果たして、高彬はすばやく下着だけ身に着けると、身軽な動作でリビングに消えて行った。

絆深めた後の、その足取りの軽そうなことと言ったら!

それにしても、体力の差をまざまざと見せつけられた気分だわ・・・

「・・『小萩』ってなってるけど」

戻ってきた高彬は、鳴り響く携帯の画面を見ながら言い

(しまった・・!)

あたしは高彬の手から携帯をひったくった。

小萩に電話するの忘れてたわ!

遅くなるとは言ったけど、さすがにこの時間になって心配が高じたに違いなかった。

あー、どうしよう。

泊まるなんて言ったら、どこにですか?って聞かれるに決まってるし、かと言って今から帰るって言うのも大変だし・・

えい、ままよ!

迷ってても仕方ないから、あたしは通話ボタンを押した。

『あ、瑠璃さま?』

「小萩、どうしたの」

高彬に向かい「しぃ」と指を立てながら、なるべくしゃんと聞こえるように言う。

『瑠璃さま。明日、私の友人を家に招いてもよろしいでしょうか?』

色々、聞かれるだろうなぁ、と覚悟した途端、小萩が思ってもみないことを言いだした。

「友だち?・・別にいいけど、こっちに友だちなんているの?」

何となく不思議に思って聞くと

『いいえ、京都の友だちなのですわ。その方が明日、いえ、もう今日ですわね、東京に来たいって。今しがたまで電話でおしゃべりしておりましたの』

「ふぅん」

どうやら小萩は小萩で、今の今まで、その友だちとやらと楽しく電話で盛り上がってたみたいで、あたしの行動について何も聞いてこないのはありがたかった。

「いいわよ。あたしは明日の・・・昼頃には帰るから」

高彬も黙ってコクコクと頷き、携帯を切ると、あたしはまたしても毛布に包まった。

明日の朝まで、もう一眠り・・・と思ってたら、高彬の手が伸びてきて、あたしの胸に触れ出したので

「いやよ」

慌ててベッドの端まで逃げる。

「今日はもう寝たい・・」

「瑠璃さんは寝てていいから」

「寝られないわよ」

「じゃあ、起きてるしかないね」

にっこりと笑いながら言う。

「絆、十分に深まったじゃない」

「ぼくとしては、まだまだだね」

「そんなぁ・・」

結局───

次にあたしが眠りに就いたのは、多分、3時過ぎで、朝なんだか夜なんだかわからない時間になってしまったのだった・・・



*****



「・・・ん・・」

携帯の着信音で目を覚ます。

今度の音は高彬の携帯だった。

同時に気が付いた高彬は、サイドテーブルに手を伸ばし、画面を確認すると少し嫌そうな顔をしてから、通話ボタン押す。

「・・あぁ。・・何?」

「うん、いや、それは・・」

何を言ってるのか内容までは聞こえないけど、電話の相手は何事かを捲し立てているみたいで、指で眉間を押さえながら目を閉じて聞いていた高彬は

「わかった。今日、これからそっち行くから」

そう言って電話を切った。

そうして深いため息を付いている。

「どうしたの?誰からだったの?」

あまりに高彬が疲れてるように見えたので心配になって聞くと

「・・お袋からだよ」

「お母様?」

「うん。・・この間、由良が東京に来ただろ?」

「えぇ」

「どうやら由良のやつ、親に黙ってこっちに来てたみたいなんだよ。それで、それだけでもお袋はカンカンなのに、帰りの新幹線で男と一緒だったらしいとどこかから聞いたらしくてさ・」

「帰りの新幹線って・・。融のこと・・?」

高彬は頷くと

「駆け落ちだの、傷物だのと、実家は大騒ぎらしい」

「・・・」

「電話で話しててもお袋は興奮してるし、後ろから由良の泣き声みたいなのは聞こえてくるしで・・・。ちょっとこれから京都に行ってくるよ」

そう言うと、高彬はもう一度、ため息をついたのだった。






…To be continued…


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Secre

非公開さま(Mさま)

Mさん、おはようございます。

「体力のある」高彬に、反応していただきありがとうございます。

> そして、やはり『下着』!!(笑)
> 私が想像することを見越してましたね!?

仰る通りなんですよ、Mさん。
実はこの部分、最初は
「果たして、高彬は身軽な動作でリビングに消えて行った。」
だけだったんです。
でも、読み返した時に
(あ、これだと大切なことが書いていない。またMさんを思いわずらわせることになってしまうかも知れない。こんなことでMさんのお気持ちを搔き乱して良いものであろうか、いや、良いわけがない(反語))
と思いましてね(笑)
それで
「すばやく下着だけ身に着けると」
の一文を書き加えたんです。

私はボクサータイプのイメージです。(プラスの方にも下着のコメントいただきました!)

小萩の友人は今日にも判明しますので、またお時間があったらお立ち寄りくださいませ。

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