社会人・恋人編<46>

「あ、はぁ・・・まぁ・・」

隣の席の男はあたしが話しかけると、一瞬、怪訝そうな表情を浮かべ、でも、すぐにパッと表情を輝かせた。

「いやぁ、一辺で名前を覚えてもらえるなんて感激ですよ。ぼく、影が薄いって良く言われるんです。印象に残らないって言うか」

どうやらこの政文と言う男、あたしが<ターゲット>であることに気が付いてないみたいで───





─Up to you !Ⅱ─side R <第46話>





高彬が「腰の定まらない奴だ」とか何とか言ってたけど、確かにあたしの顔をもう忘れてるようじゃ切れ者ってわけではないのかも知れない。

写真見せられただけで、あたしの名前だって知らないんだろうし。

「あたしってね、記憶力がいいのよ」

「へぇ、そうなんですか。羨ましいですね、ぼくってどうも忘れっぽいって言うか、人の顔とか名前思えるのが苦手なんです」

「・・・例えば、一度、写真で見た顔を忘れちゃうとか?」

「そうです、そうです」

「例えば、<この顔の女性を見張れ>とか言われたのに、その人の顔を忘れちゃうとか?」

「いや~、まったくその通りですよ。いつだったかね、写真を渡されて、この女性を・・・って。え?・・・えぇ?!えぇぇ?!」

政文の顔に見る見る驚愕の色が浮かび、イスから転げ落ちそうなくらいに仰け反っている。

「いや、あの。いや・・・」

あたしと、遠くに座る高彬を交互に見て、そうして

「若君、若君!」

と手を振り、一瞬、ちらっと高彬はこっちを見たはずなのに<若君って誰のことですか>って顔で無視を決め込んでいる。

そりゃあ、この場で<若君>って呼ばれたら返事しないでしょ、普通。

「あの、その・・」

高彬に無視されて、ここは一人で乗り切るしかないと思ったのか、政文は窺うような目つきであたしを覗き込んできた。

「もしや、あなたは・・・」

「そうよ。<見張れ>と言われた女よ」

「・・・・」

「驚いた?」

「そりゃあ、もう」

どんなお咎めがあるかと、おどおどと上目づかいで見てくる政文に向かい、あたしは寛容に笑って見せた。

「あたしとしては、別にあなたに文句があるわけじゃないの。守弥に言われてあたしを見張ったってことまで知ってるし」

「守弥さんのことまで知ってるんですか?!」

「そうよ。この合コンも、あなたのために高彬が開いたってこともね」

「・・・・」

政文は唇を尖らせながらしばらく何事かを考え込み

「あのぅ、ぼくは一体、どうしたら・・」

「別にどうもしなくていいの。ただ、あたしはね、見張られるとかそういう事が好きじゃないのよ。あなただって、されたら嫌でしょう?」

「はぁ。まぁ・・・」

「だから、もうそういう事はして欲しくないの。たとえ守弥に命じられてもね」

「でも・・・」

「何?」

「若君には、守弥さんを見張れって。何かあったら逐一報告しろって」

「・・・・」

あたしは小さく息を吐いた。

まったく高彬も・・・。

「あなたが守弥の言いなりにあたしを見張ったりしなけば、高彬だってそんなこと言わないはずよ」

「はぁ」

今一つ、反応の薄い政文にあたしはもう一段、畳みかけた。

「実はね、あまり詳しいことは言えなんだけど、あたしたち、今、ちょっとした謎解きをしてるのよ」

「あたしたち、とは」

「あたしと高彬よ」

「・・・・」

「だから、はっきり言って、見張られたり、逐一、守弥に報告されたりすると面倒なのよ。守弥って高彬第一主義な人でしょ?今、あたしたちが追ってる謎は、高彬のためになることかも知れないの。だから、邪魔して欲しくないって言うか・・・」

「はぁ」

あたしが熱弁を奮っていると言うのに政文の反応は悪くて、どうしたものか、と思っていると、ふと視線を感じた。

見ると、小萩が小さく手を振っている。

手を振り返しておいて、さて、話しの続きをと思って政文を見ると、じぃっと小萩のことを見ている。

「あの・・・」

「何?」

あたしは聞き返した。

「あの女性と、その・・・えぇと・・・」

「藤原よ、藤原瑠璃」

「藤原さんは知り合いですか?」

「知り合いどころか子どもの頃から知ってるわ。今も東京で一緒に住んでるし。一週間前からだけどね、小萩も・・・」

「藤原瑠璃さま!」

「な、何よ、いきなり」

「ぼく、もう見張ったりしません。謎解きの邪魔もしません」

「・・・そ、それはありがたいわ・・」

「だから、小萩さんの連絡先、教えてください」

「はぁ?」

「ぼく、第一印象で決めてたんです。この人しかいないって」

「・・・・」

「お願いします!」

「・・・・」

これって小萩に一目惚れしたってこと?

えぇーーー?!






…To be continued…


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ベリーさま

ベリーさん、こんにちは。

> ガンバレ政文!ガンバレ小萩!

2人への声援、ありがとうございます!

> ちょっと頼りげな政文、小萩が気に入ってくれるとイイなあ

そこが問題なんですよねぇ。

> もう一人将人っていませんでした?偽唯惠事件で聞いたような聞かなかった様な。

いましたよ(笑)将人。
確か高彬の家来(?)の中では一番、若いと言う設定だった気がします。
(守弥が「若君と同じくらいの年齢」と言っていたと思います。あれ?ってことは政文は高彬より年上??)

> 若君と呼ばれ無視し続ける高彬にちょっとかっこよさを覚えた私はアブナイですか?苦笑

アブナクないと思います!(きっぱり)

> さてここに本当にアブナイ男守弥が乱入するんでしょうか!?現代版での煌守バトル見て見たいです!!笑

守弥もここまま大人しくはしてないでしょうね!

ガンバレ政文!ガンバレ小萩!
ちょっと頼りげな政文、小萩が気に入ってくれるとイイなあ
もう一人将人っていませんでした?偽唯惠事件で聞いたような聞かなかった様な。
若君と呼ばれ無視し続ける高彬にちょっとかっこよさを覚えた私はアブナイですか?苦笑
さてここに本当にアブナイ男守弥が乱入するんでしょうか!?現代版での煌守バトル見て見たいです!!笑
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