***新婚編***第三話 雨よりも優しく、秘密のふたり***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説*新婚編』




          
        


***新婚編***第三話 雨よりも優しく、秘密のふたり***







「もう少し、ふたりで・・・過ごそうよ」

高彬に、至近距離で囁くように言われて、あたしはますます赤くなってしまった。

「ね」

黙っていると、高彬は目をのぞきこむようにして相槌を求めてきた。

「・・・うん」

ようやく返事をすると、高彬は小さな接吻をしてきた。

唇を離し、にっこりと笑う。

あーあ、懐妊と勘違いしたこと、もっと怒ってやろうと思ってたのに、なんだか怒れなくなっちゃったわ。

こういうのを惚れた弱みって言うのかしら・・・。

ぼんやりとそんなことを思っていたら、高彬にふいに抱き寄せられてしまった。

「瑠璃さん・・・」

甘えた声でつぶやき、もう一度、接吻をしてそのまま首筋に唇を這わせる。

あらら・・・この展開は・・・

「高彬、だめよ。まだ陽があるわ」

身体をよじって言ってみたけど、高彬はてんで聞く気がないみたい。

「もうっ。誰か来るってば」

強引に身体を離すと、高彬は不服そうな声をだした。

「大丈夫だよ」

「またそんなこと言って。もうじき、きっと小萩が来るわ」

背筋を伸ばして言うと、高彬は何か言いかけたのをやめて、少しだけ頬をふくらませた。

結婚する前の高彬は、年下と馬鹿にされるのをものすごく嫌って、こんな風に子どもじみたしぐさを見せることってなかった。

でも、最近ではふたりきりの時に、ふっと垣間見せるときがある。

結婚した今となっては、こんなところもかわゆく思えてしまうから不思議。ふふふ。

あー、ほんと、困るなー。最近のあたしって締まりがなくて。

もっと、しゃんとしなくっちゃ。

そんなことを思っていたら、ぱたぱたという足音と衣擦れの音が聞こえてきて、小萩がおやつをのせた高坏を掲げて持ってきた。

ほらね、と高彬に目配せをすると、高彬は小萩に気づかれない程度に小さく肩をすくめてみせた。

「少将さま、こちらは常陸の荘園に特別に作らせた団喜でございますの。姫さまが食べ過ぎた団喜はこれですわ」

もう、余計なこと言って。

「そんなに美味しい団喜なら、いただくのが楽しみだ。ありがとう」

そう答える高彬は、もうすっかり「右近少将」の顔に戻っている。

さっきまで、甘えて拗ねていたくせに。うふふ。

高彬は真面目な堅物と回りからは思われていて、もちろんその通りなんだけど、でも、それだけじゃない顔をあたしは知ってるの。

こういうのって悪くない気分だわ。

拗ねたり甘えたり、普段は真面目で優しい高彬が、寝所で時おり見せる思いがけない強引な一面とか、それにそれに・・・・

「姫さまったらいやですわ。何をおひとりでお笑いですの。お顔も少しばかり赤いようですわよ」

小萩の声につられるように、高彬があたしを向きかえり、ふたりに顔を見られたあたしは、真っ赤になってうつむいてしまった・・・・。







          ************************************************






当然、高彬は泊まっていくことになり、寝所を整えた女房らが下がり、小萩もついさっき

「では、明日の朝、格子をあげに参りますわ。お夜りあそばしませ」

と手をついて口上をのべ、退出していった。

夜になり、しとしとと降り出した雨が屋根を打ち、その優しい音が、静かな部屋の中に響き渡る。

すでに高彬は小袖姿となり、夜具の上に身を横たえている。

「瑠璃さんもこっちにおいでよ」

「う、うん」

あー、この瞬間の恥ずかしさってどうにかならないものかしら。いつになっても慣れないわ。

殿方には、この手の恥ずかしさってないのかしら。

「さあ、瑠璃さん、早く」

急かすような高彬の声が聞こえ、やがて、しびれを切らしたのか、立ち上がりこちらにやってきた。

あっという間にあたしは抱き上げられ、寝所に連れていかれてしまった。

高彬が覆いかぶさってきたかと思ったら、そのまま接吻をされてしまい、しかもするりと単まで脱がされてしまっているではないの。

高彬ったら、いつのまにこんな早業を・・・

いやいや、そんなことに感心してる場合じゃないわ。

「ま、待ってよ、高彬。そんな急に・・・」

恥ずかしくてなんとか押しとどめると

「急じゃないさ。ずっと待ってたんだから」

なんて言いながら、早やあたしの身体に手を這わせている。

なんだか今日の高彬は普段よりも急いてるみたい・・・

そうか、この間は結局、コトまで至らなかったんだっけ・・・だから高彬、じれてるのね。

いやいや、こんなこと納得してる場合じゃないわ。

「ねぇ、ちょっと待って・・・高彬」

高彬の手を押さえると

「待たない」

高彬は顔もあげずにそっけなく言い、あたしの手を払いのけると、すばやく自分の小袖を脱ぎ捨て、裸の胸を押し当ててきた。

首筋に唇を這わせ、片手であたしの髪をかきわける。

耳に接吻をされ、ぞくりと震えてしまった。

高彬の手があたしの身体をひとつひとつなぞっていき、あたしの口から吐息がもれるたびに、高彬はそれを聞き逃さずに、丁寧に執拗に手を這わせてくる。

まるで、まるで、あたしの反応を確かめるかのように。

高彬の指の動きは的確で、あたしはどんどん翻弄されていき、でも恥ずかしいという気持ちもどこかに残っていて、それがまた、あたしの思考能力を停止させていく・・・。

やがて、高彬が思い切ったように体勢を変え、一気に身体を進めてきた。

「・・瑠璃さん・・・」

こういう時にしか聞けない、少しかすれた、せつなげな高彬の声。

高彬が動くたびに、慣れ親しんだあの感覚が高まっていく。

「・・・・いや・・・だめ・・」

逃げるように身をよじると、高彬は封じ込めるかのようにさらに動きを早めてくる。

「・・・・・!」

感覚がどんどん研ぎ澄まされていき、あたしは夢中で高彬にしがみついた。

高彬の荒い息と、あたしの吐く息が重なり合い、やがて何もわからなくなっていき、気がついたら、あたしは高彬の腕の中で横たわっていた。

「瑠璃さん・・・」

高彬が髪をなぜてきたんだけど、なんだか口を開くのも億劫で、あたしは目をつむったまま黙って頷いた。

薄く目を開けると高彬の顔が目に入り、ふと見ると、幾筋かのほつれ毛が、額や首に絡まっている。

手を伸ばして触れると、目が合いにっこりと笑い合った。

「瑠璃さん」

「・・・なあに」

「今日は・・・ちょっと、乱暴だった・・・かな」

あたしの顔色をうかがうように、言いにくそうに言う。

ふふふ。高彬ってば、そんなこと気にしているのね。かわゆいわ。

「そうよ。待ってって言ってるのに、待ってくれないんだもの」

わざと怒って見せると、高彬はますます気まずそうな顔になり、頭なんてかいている。

「ああいう場面で待つっていうのは、男にとっては大変なんだよ・・・その・・・いろいろ都合があってさ・・・」

「知らないわよ。あたしは男じゃありませんからね」

「ほら、この間、その・・・出来なかっただろ・・・だから・・・」

しどろもどろに言い始めるのをさえぎって

「それは誰かさんが、変な勘違いしたからでしょ。あたしのせいじゃないわ」

つんと言ってやると、高彬も反撃してきた。

「もともとは瑠璃さんの団喜の食べすぎが原因だろ。この、食いしん坊めっ」

そういって鼻をつままれてしまったので、あたしも負けじと高彬の鼻をつまんでやった。

「だって、あたしは色気より食い気だもの」

「じゃあ、ぼくより団喜を選ぶのか」

「そりゃあそうよ。高彬じゃ、お腹いっぱいにならないもの」

「でも、団喜じゃ気持ちよくはならないだろ」

「・・・!」

や、やぁねぇ・・・高彬ったら・・・

言い返せなくなり黙りこむと、高彬は顔を近づけて声をひそめ

「さっき・・・気持ちよかった・・・?」

なんて聞いてきた。

ば、馬鹿・・・そ、そんなこと、言えるわけ、な、ないじゃない・・・

かぁ〜と赤くなりながらさらに黙り込むと、高彬はもっと近づいて顔をのぞきこんできた。

あぁ、恥ずかしいわ・・・

それでも・・・・こくり、と小さく頷いてみる。

高彬はちょっと目を見開いて、ゆっくりと抱きしめてきた。

目をつむり、そのまま高彬に身体を預けているのは心地いいわ。

このまま眠ってしまいそう・・・

「瑠璃さんは、もう眠い?」

高彬が遠慮がちに聞いてきた。

「・・・え、なぜ」

「もう一回・・・だめ?」

えぇぇぇっ〜?!

「も、も、もういいわよ・・・今日は。高彬だって・・明日、仕事でしょ。寝ておかなきゃ・・・」

もごもごと言うと

「車の中で寝るよ。・・・今度は乱暴にしないからさ・・」

言い終わらないうちに、手は早くもあたしの身体を伝い、すっかりソノ気になっちゃったみたい。

あたしは小さくため息をついた。

殿方を、かわゆいなんて思っちゃだめね。

・・・これだもの。




<第四話に続く>



〜あとがき〜

こんにちは、瑞月です。

ふたりの新婚甘々の寝所を書いてみました。

強引なようで、やっぱり瑠璃の顔色を見ちゃう高彬と、恋のヨロコビを知ったはずなのに、やっぱり恥ずかしい瑠璃。

ふたりの寝不足は当分、続きそうですね〜。

読んでいただきありがとうございました。


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Secre

さりいさま

さりいさんのコメントのおかげで、私も久しぶりに読み返してみました。

高彬ってかなり「男」ですよね。決断も早そうなイメージありますし。
ここぞってところで見せる男の部分って素敵ですよね~。

カッコいい・・・

こんにちは。
新婚編のこちらのエピソード、大好きです。

何がいいかって、高彬の

「待たない」

ですよ!か、か、カッコいい!!!オトコ高彬全開ですね。(ついでに私はこの台詞を聞いたら全壊です・・・汗)

強引になったかと思ったら、瑠璃のことをあれこれ気遣う優しさ、また瑠璃に甘えたり拗ねたり、色々な表情を見せてくれる高彬が、本当に素敵すぎます。

でも、前半で瑠璃が1人ニヤニヤ(?!)していたシーンも、かなり好きです(笑)

他の方へのコメント返しにあった瑞月さんの

>原作の中でも、高彬の強引なところ、ときどきありますよね。瑠璃に命令するような口調でいうところ。
そういうところ、好きなんですよ~!

私も激しく同意します(笑)

Unknown

新婚編も楽しく読んでます!
この時代の夜の生活とはどんなものなのかなぁと思っていましたが、高彬と瑠璃姫のような感じなのですかね!
瑠璃姫のいつまでたっても恥ずかしいという気持ちが可愛いですね☆

更新頑張って下さい♪

かわいい~

何かいいなぁ~♪って浸ってしまいました
あはは~
高彬なんかちょっと強引でいいな
事件も、ヤキモチやくややこしいことも無く
こんな2人をずっと見ていたい~☆

Unknown

甘々なのに、まったりとして平和ですね。
このまま続くわけがないでしょうから、誰が乱入してくるか、つい期待してしまいます。

甘々☆万歳

めくるめいっちゃう、ふ・た・りですか!?
きゃぁ~vvv

す、すみません(汗)
いつもは、こっそりと拝見して「ふふふっv」と潤わせていただいていたのですが
二人の甘甘っぷりに、思わず!書き込みしてしまいました。

初夜編・番外編・新婚編とも、楽しく(怪しく?)拝読させていただいています。
こんなに甘~いお話にお目にかかれて…もう「絶えて 惜しまん」かも。。。v

新婚編の続きも、楽しみにしています♪
これからも、頑張ってください(^^)

PS.私も、二人の『今までになく、仲良しになった』詳しい経緯を
妄想しては、1人で恥ずかしくなっていたクチです(恥)

Unknown

何なんですか~
この甘甘は(笑)
二人のラブラブ度にキュン死にしました(≧∇≦)

まだ恥じらいがある瑠璃が自ら高彬を誘えるようになるのも遠くない話ですよね(^∀^)ノ

>返信

皆さま、コメントありがとうございます。

>だるまさん

あの時代の夜の生活が実際、どんなものだったのかはわかりませんが、でも、新婚ってどの時代でもあんなもんかな~と・・・(笑)

瑠璃のウブなところ、ほんと可愛いですよね!

>masaさん

原作の中でも、高彬の強引なところ、ときどきありますよね。瑠璃に命令するような口調でいうところ。
そういうところ、好きなんですよ~!

>kaoruさん

乱入ですか?!・・・ふふふ。
ご期待に添えるかどうかわかりませんが・・・いろいろ思案中です(笑)

>くろこまさん

わたしはどっぷりと甘々派なんです!
(と言うか、陰謀とか事件を書く頭も力もないだけなんですが・・・)
たっぷり甘々を楽しんじゃいましょう~!

>まこさん

キュン死ですか(笑)
いやいや、まだまだ。これからですよ(笑)

瑠璃から誘われたりしたら、高彬がキュン死しちゃいそうですねー。



Unknown

こんにちは。
この連休中、一気にお話を読ませていただきました!!もう、もう、もう、もう!!高彬ったらぁ。
「僕で我慢しなよ」から、すっかり大人になられて。嬉しい限りでございます。
やっぱり、高彬が好きです。
コミック、引越しの時に譲っちゃったんですよね。大人買いしちゃおうかなぁ。

>るるみさん

そうなんです、高彬もすっかり大人になったんです(笑)
高彬って、かっこよかったり可愛かったり・・・。
本当に良いですよね~。
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