社会人・恋人編<44>

「えぇと、私は万里小萩と申します。ほんの一週間ほど前に京都から東京に引っ越して参りました。仕事は家事手伝いと申しますか、お世話係りと申しますか・・・。未熟者ではありますが、皆さま、よろしくお願い致します」

へぇ、京都から越してきたばかりなのか・・・

緊張のせいなのか、多少声が裏返っていたけれど、押さえるところを押さえた話し方で、瑠璃さんの知り合いと言う事を差し引いても、なかなかに好感の持てる自己紹介だ。

自己紹介は続き───






─Up to you !Ⅱ─<第44話>






「では、最後はあたくしね」

優雅な仕草で水無瀬は立ち上がると、手にしたスプーンをマイクのように見たて話しはじめた。

「改めまして。あたくしの名前は水無瀬煌。煌めきの『煌』よ。今まで、芸能界、モデル、幾多のスカウトの声をかいくぐって参りました。あまり言いたくないことですけど、あたくし、昔はクラスの中で浮いてる存在でしたの。きっと美し過ぎたのね」

「・・・」

いや、浮いてる理由は他にあったんじゃないかな・・・

「だから長いこと、友人はおろか、親友なんて出来ないと諦めておりましたのよ。でも、今日と言う今日、運命を感じる出会いがありましたわ」

テーブルのあちこちで、どよめきがあがった。

性格はともかく見た目は美人だから、水無瀬を狙っていた男もいるのだろう。

「それは・・・あなたよ。藤原瑠璃さん!」

「へ?あたし?」

水無瀬から指をさされた瑠璃さんは、またしても自分の顔を指さし、そうしてポカンとしている。

「そうよ、あなたを見て、この人とならあたくしは気が合う、遠縁の姉くらいの仲にはなれそうだ、と確信したの」

「・・・」

「どうかしら?藤原さん。あたくしと親友になるか、このまま一生赤の他人のままでいるか、どちらか選んで下さらない?」

「し、親友か、他人・・・」

さすがの瑠璃さんも極端過ぎる選択肢に呆然と呟き、必死に目配せして「よせ、よせ、他人でいろ」と合図を送った甲斐もむなしく

「じゃあ、親友で・・・」

瑠璃さんは、「お願いします!」と差し出された一輪のバラを受け取るがごとく、水無瀬の申し入れを受けてしまった。

瑠璃さんが合コンに参加すると決まってから、悪いムシが付かないかを心配したことはあったけれど、まさか、水無瀬がこんな風にしゃしゃり出てくるとは思いもしなかった・・・!



******



水無瀬の号令により行われたシャッフルタイムで座席が入れ替わると、ぼくの隣には瑠璃さんの知り合いの女性───

万里小萩と名乗った女性が座った。

「あのぅ、つかぬことをお尋ねしますが・・・」

「はい」

「藤原高彬さまとおっしゃられましたっけ?」

「はい・・」

「瑠璃さまが大変お世話になっております」

「は?!」

「瑠璃さまからお噂はかねがね・・・」

「・・・・」

どの辺りの<お噂>まで耳に入っているのか判らず返事に窮していると

「あら、わたくしったら・・。一人でベラベラと」

そう言うと女性は背筋を伸ばし

「申し遅れましたわ、高彬さま。わたくし、長いこと瑠璃さまのお世話係りをしておりますの。それで、この度、京都の瑠璃さまのご実家から東京に出て参りました。小萩と申します」

「小萩さん」

「いえ、小萩、で結構ですわ。瑠璃さまにもそう呼ばれておりますもの」

「しかし、初対面のぼくが・・・」

そう言うと小萩さんは(うふふ)と含み笑いをし

「わたくしは初めてのような気がしておりませんのよ。だって瑠璃さまから色々とお話は伺っておりましたもの」

「え・・・」

「今回、わたくしが東京に呼ばれた理由、何だかお分かりになります?」

そんなこと判るはずもないから頭を横に振ると

「お料理をマスターしたいそうなのですわ、瑠璃さまは」

「料理・・・」

「えぇ、どなたか、作って差し上げたい方がいるとか、いないとか・・・」

そう言って横目でぼくのことを見て、何となくだけど小萩の目にはからかいの色が浮かんでいるようで、知らずに顔が火照ってくる。

そうか、瑠璃さんがぼくに料理を・・・

そう言えば、いつだったか瑠璃さんはデパ地下であれこれ買い込んできたことがあったっけ。

その時ぼくは手料理を用意してたはずで、確か、あの日は瑠璃さんと恋人になった日じゃなかったっけ・・・

一人、回想に耽っていると

「ひぃ、ふぅ、みぃ・・」

と言う、何とも古典的な数の数え方が聞こえ、小萩が参加人数を数えている。

「男性が一人、足らないようでございますわねぇ・・」

「・・・」

言われて見ると、総勢14名で男女半々のはずが、男は6人しかいない。

急に来れなくなったか、後からの参加なのか・・・

と思っていたその時、ちょうど店のドアが開いて男が入ってきて、物馴れた仕草でテーブルの空いてる席に座った。

あれ、あの人って・・・






…To be continued…


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Secre

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんにちは。

はい、宴もたけなわです~。
小萩に良い人、現れて欲しいですよね!
後から入ってきた男性、一体誰でしょう~?(Mさんの候補も気になります!特に噛ませ犬の方!)

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