社会人・恋人編<42>

「若君!」

思っても見ない場所で、思っても見ない呼ばれ方をされ、ぎょっとして振り返ると───

ボストンバックを下げた政文が立っていた。






─Up to you !Ⅱ─<第42話>






「馬鹿!こっち来いよ」

顔見知りの受付の女性社員が驚いたような顔をしているのを横目に、政文をロビーの脇に引っ張って行く。

「この場所で、その名前で呼ぶ奴があるか」

「でも、ぼくにとって若君は若君で・・・」

「おかしいだろ、若君なんて」

「じゃあ、合コンの席で何て呼んだらいいんですか?」

「・・・」

「よお、高彬!なんて呼び捨てするわけにも行きませんし、かと言って高ちゃんとか、高くん、なんて言うのもちょっと・・」

「止めてくれよ、気持ち悪い。・・わかった。おまえはぼくのことは呼ぶな。用があっても我慢してくれ」

「・・はぁ」

「それより、どうして会社になんか来たんだ。合コンやる店、教えておいただろう。時間になったら直に店に行ってくれたらいいんだよ。東京駅からなら店行く方が近いじゃないか」

政文は恨めしそうな顔でぼくを見て、ちょっときつく言い過ぎたかな、もしかしたら政文にもぼくの仕事場を見ておきたいなんて親心みたいなものがあったのかも知れないしな・・・、と思っていると

「どうせなら合コン前に、東京の美容院でセットしてもらおうと思ったんです」

「・・・」

「それで、若君は普段、どこに行っているのか教えてもらおうかと思って・・・」

「そんなの電話かメールで聞けば済むことじゃないか」

「いえ、どうせなら、この荷物も預かってもらおうかと思ったんです。こんな大きい荷物持って東京の街歩いたら、お上りさんかと思われそうで」

「ぼくはおまえのコインロッカーか!」

「あ、上手いこと言いますね、若君」

ポンと手なんか叩いている。

「判ったから。荷物預かるから早く行ってくれよ。こっちは仕事が詰まってるんだ」

しっしと政文を追い払い、席に戻ると、ぼくの手にあるボストンバッグに気付いた瑠璃さんは目を丸くした。

「何よ、高彬。家出?」

肩をすくめて見せ、そのまま仕事に取り掛かると、それ以上、瑠璃さんは何も聞いてこなかった。

瑠璃さんも定時までに仕事を終わらせようとしているに違いない。

今日、と言うか、今晩、水無瀬主催の合コンが開催されるのだ。

時間を気にせず存分に楽しもうと言う趣旨で、金曜の今日に決めたらしい。

瑠璃さんを参加させて欲しいと水無瀬に伝えたら

「しっかり繋がれてるのねぇ、・・首輪」

首元を指さされ、ニヤニヤされてしまった。

「まぁ、いいわよ。私も藤原さんとお近づきになりたいし。それに何より、頭数は多い方がいいわ。枯れ木も山の賑わいってやつよ」

枯れ木だなんて瑠璃さんに失礼じゃないか、と思ったけど、ここでまた瑠璃さんを擁護するようなことを言って水無瀬に犬扱いされるのも嫌なので黙っておいた。

昼休みもそこそこに業務をこなしたお蔭で、瑠璃さんもぼくも定時には上がることが出来て、軽く目配せして別々に会社を出る。

瑠璃さんは同行する人と待ち合わせしてるとかで、ぼくの方が先に店に着いたようだった。

銀座通りを一本入ったところに会場となる店はあり、ガラス扉から中を覘くともうすでに何人かは集まっているようで、水無瀬の後姿も見える。

テーブルの奥の方の席に座って女性と談笑してる男の姿を見たぼくは、危うく声を上げそうになってしまった。

────鷹男チーフじゃないか!

どうしてあの人が合コンになんか・・・

「何してるのよ、藤原くん。入ったら?」

ぼくに気付いてドアを開けてきた水無瀬を店の外に連れ出す。

「どうして鷹男チーフがいるんだよ」

問い詰めると

「鷹男チーフってこういうことに耳聡いって言うのかしらね、アンテナを張ってるって言うか。どうしてだかバレちゃって参加することになっちゃったの」

「・・・とか言って、水無瀬が耳に入れたんじゃないのか?」

「あら、判る?」

水無瀬はふふん、と笑った。

「鷹男チーフと藤原くんの対決も見たかったの。藤原くんって鷹男チーフの前だとつんけんしちゃって見てて面白いんだもの」

「・・・」

「それに何よりもね、鷹男チーフ、『俺が出たら女性陣全員の飲食代を払ってやる』なんて言うのよ。これはもう出てもらうしかないでしょ」

「・・・」

思わず舌打ちが出る。

あの人なら言いそうなことだよ。

「取りあえず、瑠璃さんの分だけはぼくが出すから」

ムッとして言うと、水無瀬はまたしてもニヤニヤと笑い、そうして

「さ、入りましょ。そろそろ始めるわよ」

ガラス扉を開けた。

その後も続々と人が集まり、男7女7の総勢14名の合コンは幕を開けたのだった。






…To be continued…


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ベリーさま

ベリーさん、こんばんは。

> どんな宴になるのか今から楽しみですね!

幹事があの煌姫ですしね~。
また読んでくださいね~。

どんな宴になるのか今から楽しみですね!
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