社会人・恋人編<39>

仕事を終え会社を飛び出すと、あたしは待ち合わせの最寄り駅に向かった。

まだ高彬は来ていなくて、焦れ焦れしてしまう。

もう、何なのよ、大事な話って。

週末に小萩が東京に越してくるから、今日は早く帰って部屋の片付けをしておきたかったのに───






─Up to you !Ⅱ─side R <第39話>





朝、『大事な話がある』と思わせぶりなことを言っておきながら、仕事中、何度聞いても高彬は

「夜に話すから」

の一点張りで教えてくれなかった。

あたしもいい加減せっかちな人間だから、気になって気になって仕事どころじゃなくて、こうして急いで駆け付けたんだけど。

電車がホームに到着する音がして、少しすると高彬が現れた。

「遅い!」

この一言でいつもだったら素直に頭を下げるのに、どうしてだか今日は不機嫌そうな顔をしている。

変なの、と思いつつ、黙って歩き出した高彬に付いて行き、結局、何も話さないままにマンションに着いてしまった。

リビングに入り、いつものようにソファに腰を下ろそうとすると

「こっちに座って」

ダイニングテーブルを指さされてしまう。

言われた通りにイスに座ると、高彬は向かい側に座り、そうして腕を組んだ。

「・・・・」

何なのかしら。

いつもだったらソファに並んで腰掛けるのに、何よ、この今にも面接でも始まりそうな雰囲気は・・・

スーツの上着だって部屋に入ったらすぐに脱ぐのに、今日は着たままだし・・・

こんな雰囲気の中で、あたしだけくつろぐってわけにも行かないから、取りあえず背もたれを使わず姿勢よく座っていると

「瑠璃さん」

おもむろに高彬が口を開いた。

「はい」

知らずにあたしの返事も堅くなる。

高彬は腕組みを解くと、今度はテーブルの上で手を組んだ。

「明日のランチ、外に食べに行こうか」

「・・・は?・・ランチ・・?」

この重々しい雰囲気と言ってる内容があまりにそぐわなくて聞き返すと、高彬はゆっくりと頷き

「そう、ランチだ」

「・・いいけど、別に・・・。あのぅ、話しってそれ・・・?」

「会社の駅の向こう側にある喫茶店なんかどうかな」

「・・・・・」

「瑠璃さん、行ったことあるかい?」

「・・・・」

「駅前なんだけど、反対側と言う事もあってか、会社の人もあまり使わないから、穴場と言えば穴場なんだ。内緒で誰かに会うのはもってこいの場所だね」

「・・・・・」

あたしはゆっくりと息を吸い込んだ。

なるほどね・・・。

ふぅーん・・・

そういうこと。

高彬はどうしてだか、昨日、あたしがあの喫茶店で守弥に会ったこと、知ってるんだわ。

「瑠璃さんは行ったことないかもしれないけど、ぼくは前に使ったことがあってね。今はどんな感じになってるのか・・」

「もう。言いたいことがあるなら、ネチネチ言ってないではっきり言ってよ。知ってるんでしょ、あたしが昨日、その喫茶店に行ったこと」

むぅとして言ってやると、高彬は一瞬、目を見開いて、そうしてじっとあたしの目を見てくる。

負けじと睨み返してやりながら

「話があったから、あの店で会ってただけよ。ところで、どうして高彬は知ってるのよ」

まさか高彬があたしの後を付けてきたとは思いたくないし、不思議に思って聞くと、高彬は胸ポケットから何かを取りだし、それをテーブルの上に置いた。

身を乗り出して見てみると、何のことはない、昨日の喫茶店でのあたしが映っている写真で、向かいに座る守弥の背中は半分くらいが映っている。

何なの、この写真。誰が撮ったのよ。

「何これ、まさかあんたが・・」

「ぼくに盗撮の趣味はないよ」

高彬は肩をすくめ

「この写真を誰が撮ったのかは気になるところだけど、まぁ、それはいったん置いといてだ。誰なんだよ、このオトコ」

「誰って・・守弥よ」

「はぁ?!守弥だって?!」

高彬はイスから立ち上がらんばかりに驚き

「そうよ。・・って、あんた、相手が誰とも知らずに怒ってたの?」

なんだ。

てっきり、自分だけ仲間外れにされたから怒ってるんだと思ってたんだけど・・・

「ど、ど、どうして、瑠璃さんが守弥となんか・・・」

「・・・」

(うーむ)

と今度はあたしが腕組みをする番だった。

これはもう、動画のこと、話すしかないかしらね・・






…To be continued…


武士編の2人を横目に、謎に迫って行く本編の瑠璃と高彬にもクリックで応援をお願いいたします。
↓↓




(←お礼画像&SS付きです)

コメントの投稿

Secre

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんばんは。

そうですよね~、この二人が協力してってなかったですもんね!
謎と言うほどの謎は、私の筆力では書けないのですが、高彬のかっこよさ(のみ)を追及して、お話を進めて行こうと思っています!
よろしくお付き合いくださいませ~~(^^)/

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

瑞月

Author:瑞月
瑞月(みずき)です。

ランキングバナー

にほんブログ村

ランキングに参加しています。
楽しんでいただけましたら
クリックで応援をお願い致します。
1日1クリック有効です。
初めにお読みください
**当ブログの簡単な説明です**
当ブログは「なんて素敵にジャパネスク」の二次小説を掲載しております。 二次小説と言う言葉を知らない方や苦手な方は閲覧ご注意ください。 また読後のクレームはお受けできません。 「ごあいさつ<最初にお読みください>」も合わせてご一読下さい。
カテゴリ
別館
乳姉妹ブログ
日記ブログ
掲示板
なんて素敵にサイト様 
最新記事
ご訪問ありがとう(H23.11.28-)
**オンラインカウンター**
現在の閲覧者数:
コメントありがとうございます
お礼SSや「他己紹介」があります。
web拍手 by FC2
** あれこれ投票所 **
お好きなジャンルをお選びください。 投票は何度でも可能です。
*** あれこれ投票所2 ***
メールフォーム(ご用の方はこちらから)

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
月別アーカイブ