社会人・恋人編<31>

「動画について、何か情報は得られましたか?」

席に着くなり、守弥は単刀直入に切り出してきた。

あたしは静かに頭を振り───






─Up to you !Ⅱ─side R <第31話>






「あの動画を投稿した人、もしかしたらって思う人がいたんだけど、どうやら違ったみたいだったわ」

テーブルに端末を置きながら言うと、守弥の口の端に皮肉な笑みが浮かんだ。

「もとより期待はしておりませんでしたけどね。むしろ私はまだ、あなたを疑っているくらいなんですから」

その口調には

(おまえみたいな小娘に何を調べられるものか)

とでも言うようなあからさまな侮蔑があり、しかも、まだあたしを疑っていると言う言葉にムッとくる。

「あなたが少し時間を欲しいと言うので東京滞在を伸ばしたと言うのに、とんだ時間の無駄遣いでした」

「あら、そう。それは申し訳ないことをしたわね」

一度、謝っておいてから

「あては外れたけど、ちょっと面白い情報を耳にしたんだけどね。教えてあげようかと思ってたんだけど、よすわ」

足払いをくわせる。

「面白い情報?」

「高彬のことなんだけどねぇ・・・」

「若君の?」

守弥の表情が動いたことをしっかり確認してから

「ま、でも、時間を無駄に使わせるのも悪いものね、端末も返したことだし帰るわ」

ふんっ、なめるんじゃないわよ。

席を立とうとすると

「瑠璃さま」

守弥が慌てたように腰を浮かせた。

「・・・・」

じろりと睨んでやると

「ぜひお聞かせいただけないでしょうか。若君のことでしたらどんな些細なことでも、この守弥、知っておきたいのです。お願い致します」

「・・・・」

この守弥が、一体どの守弥なのかは知らないけど、取りあえず頭を下げたんだし、まぁ、教えてやってもいいかな。

「社内にね、高彬を良く思わない人達がいるんですって。色々、高彬の不利になるような噂を流したりしてるらしいわ」

座り直し、鷹男から聞いた情報を話すと、守弥の頬がピクリと動いた。

「若君を良く思わない?不利益な噂を流す?」

「らしいわよ。それで、もしかしたらこの動画もその人達の仕業なんじゃないかって」

「・・・・」

守弥が奇妙な顔をしてることに気が付いて

「何よ、誰かあてでもあるの?」

「あてがあると言うほどではないのですが・・・、ただ我が藤原家は千年以上続く旧家。加えて経済界にも影響力を持つ実業家でもあります。逆恨みに近い感情を持たれることもございます」

「今までにも何かあったとか?」

「いえ、まぁ・・・、それと今回の動画が関係があるかわかりませんが」

あたしの質問を微妙にかわすと

「何はともあれ、若君を良く思っていないなどど聞いたら黙っているわけには行きませんね。若君の敵は私の敵。少し私も調べて見ます」

「そう言えば、高彬が守弥と連絡がつかないって言ってたわよ」

ふと思い出して言うと

「いざとなれば、若君が頼るのは私なのです」

守弥は満足そうに言い、そうして嬉しくて仕方がないと言う感じで一人で頷いている。

別に頼ってるとか、そう言う感じじゃなく、ただ連絡が取れないってだけのことを言ってた気がするけんだけど、面倒だから黙っておいた。

それにしても、高彬のこととなると妙なテンションになっちゃって、この人、高彬に妙な感情でもあるんじゃないかしら・・・


******


昼休みの終わる2分前にセキュリティゲートをくぐり、エレベーターに乗り込む。

25階のボタンを押し掛けて、ふと、総務部に書類を取りに行く用があったことを思い出し、26階のボタンを押した。

「えーと、すみません、藤原ですけど・・・」

総務部のカウンターで誰にともなく言うと、一番近くにいた女性が(あら)と言う顔をし、ツカツカと近づいてきた。

「藤原瑠璃さんね」

どうしてあたしの名前を知ってるの?と思いつつ、その女性のネームプレートを見ると

『水無瀬煌』

とある。

知り合いだったかしら?

スタイル良いし美人だし、1度見たら忘れないと思うんだけどな。

「私、藤原くんの同期なの。で、お噂はかねがね」

ぐっと顔を近づけ小声で言われ、ドキマギしてしまう。

それくらい美人なんだもの。

「う、噂って・・・」

まさか高彬、付き合ってること話したとか?!誰にも言わないでって言っておいたのに・・・!

果たして、その思いが顔に出たのか

「彼が話したわけじゃないわよ。わたしが上手ーく聞き出したの」

にっこりと笑う。

その笑顔たるや、薔薇の華やかさと菖蒲の艶やかさを併せ持つ感じで、思わず見惚れてしまうほどだった。

「え、えーと、書類を取りに・・・」

何だか色々動揺してしまい、しどろもどろに言うと

「あぁ、じゃあ、担当はお公家さまだから、あの人に聞いてみて」

奥に座る、一人の男性社員を指さした。

「お公家さま?」

「そう」

水無瀬煌は含み笑いをし

「これが名前よ」

座席表を指差し、とんとんと叩いた。

そこには社員のフルネームが書かれており、その男性社員のところには「定井 仁」と書かれてある。

定井仁、さだい、じん・・・

「左大臣?」

「そ、だから、お公家さま」

目が合って、あたしたちは何となく笑い合ったのだった。







…To be continued…


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Secre

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんにちは。

瑠璃と煌姫、出会いましたよ~。
煌姫大好きなので、ぜひ、これからも絡んでもらいたいと思っています!

鷹男も守弥も「残念なイケメン」(笑)
社会人編はこの設定で、突き進みそうです~。

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ありちゃんさま

ありちゃんさん、こんにちは。

> さだいじん に吹き出しちゃいました。(笑)

サダイ・ジーンと言う海外の方にしようかと思い、止めました!

> 息子は「べん」さんだったりするんでしょうか?(笑)

海外の方なら、サダイ・ベンさんもアリでしたかね~(笑)

思わず。

瑞月さん おはようございます。

さだいじん に吹き出しちゃいました。(笑)
息子は「べん」さんだったりするんでしょうか?(笑)

守弥 やっぱり、うざい。( ´Д`)
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