社会人・恋人編<19>

※多少、性的な描写があります、苦手な方は閲覧ご注意ください。




「瑠璃さん・・・」

びっくりして見返すと、真っ赤な顔のまま唇を引き結び、瑠璃さんもぼくを見返してきた。






─Up to you !Ⅱ─<第19話>






「瑠璃さん、それって、どう言う・・」

突然と言えば突然の申し出に、思わずたじろいでいると、瑠璃さんはシーツを巻きつけたままの恰好で、ぼくの方に近づいてきた。

相変わらず、顔は真っ赤である。

「だから・・・、言葉通りの意味よ。高彬、今、言ったじゃない。色々知って、それで本当の恋人同士になっていくって」

「うん」

「昨日、高彬はあたしのこと、その・・・、色々、知ったんでしょ?」

「うん、それは、まぁ・・」

隅から隅まで。

「だから、あたしも高彬のこと、色々、知らなくちゃと思って。だからシャワー浴びるなら、ちょうどいいかと思ったの」

何がどうちょうどいいのかはわからなかったけど、その口調から、瑠璃さんの並々ならぬ決意みたいなものが伝わってくる。

ありがたい申し出ではあるけれど、でも・・・

「いや、でもね、瑠璃さん」

ぼくは慎重に切り出した。

「その・・・、男は単純と言うか、作りが複雑でないと言うか・・・、つまり、そんなに張り切って知ってもらわなくても大丈夫って言うかさ。それに、ほら、もうじきチェックアウトの時間だろ。万が一、変なところで時間切れとかになっちゃうと、そっちの方がぼくとしては困ると言うか・・・」

そう、そこがひとつ、大きな問題なのだ。

「だから、そこは手短かに」

「・・・・」

手短か・・・

「いや、手短かと言われても・・・」

「だって、あたしばっかり悪いもの。あんなに、色々・・・」

瑠璃さんはそこまで言って口ごもり、恥ずかしそうに目を伏せた。

「・・・・」

ここにきて、ぼくには何となく瑠璃さんの真意が読めてきた。

きっと、これは瑠璃さんなりの<お返し>なのだ。<お礼>と言うのか。

「・・・ねぇ、瑠璃さん。もしかしたらさ、このまま帰るのは『女の沽券に関わる』とか思ってる?」

試しに顔を覗き込みながら聞いてみると、案の定、瑠璃さんはハっとしたように顔を上げた。

その顔があまりに判りやすくて、ふつふつと笑いがこみあげてくる。

つまりはこうだ。

瑠璃さんは、昨夜のことをきっちりと何かの形で返したいと───

きっと、そう思っているのだ。

<沽券>とか<義理>とか<恩義>とか、いかにも瑠璃さんなら思いそうなことだった。

引き結んだ唇も、並々ならぬ決意も、そう解釈すれば辻褄が合う。

「・・・・」

吹き出しそうになり、ぐっと堪えた。

笑ったら瑠璃さんに失礼だ。

まったく瑠璃さんは───

何て面白いんだろう。

それと同時に、何とも言えない幸福な気分になってくる。

瑠璃さんは気付いてるかどうかは分からないけど、<お礼>をしたいと思っていると言う事は、少なくとも昨夜、瑠璃さんはぼくに<いいことをしてもらった>と思っているということに違いないのだ。

寝起きのベッドの中で、あんなに恥ずかしがっていたのは、案外、その気持ちの裏返しだったのかも知れない。

「ねぇ、瑠璃さん。瑠璃さんってさ、もしかしたら前世は武士だった?沽券とか義理とかって言葉、好きだろ」

からかうように言ってやると、何を言われているのか判らなかったのか、一瞬ポカンとしたものの、それでも(うーん)と考えた後

「そうね。武士だったかどうかは分からないけど、間違っても<姫さま>なんて呼ばれるタイプの人間でなかったような気がするわ」

そう言って、一人で納得したようにコクコクと頷いたりしている。

あぁ、瑠璃さんは可愛いなぁ。

もう一泊して瑠璃さんからたっぷりと<お返し>をしてもらおうか、とチラリと思ったりもしたけど、でも明日から仕事だし、ぼくはともかく、瑠璃さんが今日と同じ服で出社なんてしたら、鷹男チーフに何てからかわれるか判ったもんじゃない。

変な想像なんかされたくない。

やっぱりここは、素直にチェックアウトするのが賢明だろう。

瑠璃さんの、その気持ちがわかれば男としては十分だ。

「瑠璃さん」

ぼくはシーツから出る細い肩に手を置いた。

「ぼくのことはそんなに慌てて知ってもらわなくても大丈夫だよ」

「・・・・」

「今だって、もう十分、気持ちいいんだから」

「・・・・」

じっとぼくを見つめる瑠璃さんに小さくキスをする。

「瑠璃さんの気持ち良さそうな顔とか見てると、それだけで気持ちいいし・・・」

「・・・・・」

ふっと恥ずかしそうに瑠璃さんは目を伏せ、そんな瑠璃さんを見てると、何だかだんだんと妖しい気持ちになってくる。

自分の言葉に煽られて、こう言うのを墓穴を掘ると言うのではないだろうか・・・

ぼくの内心の葛藤など知る由もない瑠璃さんは

「わかったわ。出られる準備しておくから、高彬はシャワー浴びてきて」

こっくりと頷き、ぼくの手から離れて行きかけ───

「ごめん、瑠璃さん。やっぱり」

ぼくは慌てて、引き寄せた。

「・・・え」

まん丸いで目でぼくを見ていた瑠璃さんは、少しして事情を察したようだった。

「・・・やっぱり、何?」

いつもの調子が戻ってきたのか、からかうような口調で聞いてくる。

「その・・・。手短でもいいので・・」

わざと畏まって言うと、瑠璃さんはたっぷりとぼくを見た後に

「わかったわ。武士の情けよ」

そう言って笑ったのだった。





…To be continued…


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<読者さま選>

すみません、言ってることが難し過ぎて、何が言いたいんだか私にはちょっと・・(^-^;


*********

「特選ジャパネスク名(迷)言集」募集中です!
これは、と思う言葉がありましたら、どしどしお寄せ下さいませ。
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また、私の一言コメント(突っ込み)を付けてのご紹介となりますので、ご了承ください。

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Secre

ありちゃんさま

ありちゃんさん、こんばんは。

> 高彬ってば、「手短でも」ってあーた!
> 「この前は手短だったから・・・今度は本格的に・・・」とか言いだすんじゃないでしょうね。

いいそうですよね、高彬。
ショートバージョンとロングバージョン、各種、楽しみそうです(笑)

> 果たして瑠璃さんは何をしてくれるのかなぁ。^m^

↑これ、高彬もまったく同じことを思ってそうです。(一瞬、高彬の言葉かと思いました!)

ふふふ 引っ張りますね。

瑞月さん こんにちは~。

ああ、もう、どんどん引っ張って!

高彬ってば、「手短でも」ってあーた!
「この前は手短だったから・・・今度は本格的に・・・」とか言いだすんじゃないでしょうね。
ま、でも、それも有りかな・・・。ムフフフ。

らぶらぶ、ポカポカ、嬉しい限り。
果たして瑠璃さんは何をしてくれるのかなぁ。^m^

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんにちは。

そうですよね~、やっぱり次回は瑠璃が「頑張る」番ですよねぇ(笑)
恩には恩で返す。武士ですから。
チェックアウト!
何だか、不吉な言葉ですよねぇ・・・、高彬にとって。
男として非常に困る事態にならないことを祈りましょう!(でも、困る高彬も面白そうだったりして)

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