社会人・恋人編<11>

エレベーターから出てきた鷹男チーフは、窓際に立っていたぼくに気が付くときびきびとした動作で近づいてきた。

「何だ藤原、おまえ、まさか俺たちが食事中、心配でずっとここでこうして立ってたのか?」

にやにやと笑いながら言い、少し遅れてやってきた瑠璃さんを振り向くと───






─Up to you !Ⅱ─<第11話>






「残念だけど、ここでお別れだね、瑠璃ちゃん。本当だったら送って行くつもりだったんだけど、こいつがでしゃばるから」

親指で指さされ、思わずムッとくる。

「でしゃばってるのは今上先輩の方じゃないですか。それに、ずっと立っていたわけじゃありませんよ。たまたま電話が来ただけです」

「へぇ・・。コレ、か」

小指を立てられ

「まさか。あなたじゃあるまいし」

鼻を鳴らしてやると、鷹男チーフは大声で笑いだした。

「・・・本当におまえはからかい甲斐のある奴だな。すぐ顔に出る」

なかなか笑いが収まらないのか、くっくと喉の奥で笑いながら

「いやぁ、俺はおまえのそういうところが大好きだよ、高彬」

ぼくの肩に腕を回してくる。

すかさず外してやると

「よし、瑠璃ちゃんの送り迎えをしたおまえにお駄賃をやろう」

そう言ってぼくに何かを投げて寄越してきた。

咄嗟に片手でキャッチすると、鷹男チーフは

「じゃあな、藤原。・・瑠璃ちゃんも、また会社で」

ぼくと瑠璃さんに一言ずつ声を掛け、後ろ手に手を振りながらロビーを突っ切り、そのまま正面玄関から出て行った。

悔しいけど、去り際もサマになっている。

しばらく二人してぼんやりと正面玄関を見ていたのだけど、ふと投げてきたものが気になって手の中を見るとルームキーがあった。

いや、受け取った瞬間、そうじゃないかとは思ったんだけど・・・

「あぁー、それは・・!」

ぼくの手の中のルームキーに気付いた瑠璃さんが、頓狂な声を上げた。

「さっき、鷹男に見せられたやつ!」

「えっ」

見せられた?

「見せられたって、瑠璃さん・・。まさか・・・」

「そう。この後、どう?て言われたのよ。こうやって」

ぼくの手からキーを取りあげた瑠璃さんは、ぼくの目の前でルームキーを振って見せ、それはまさしくぼくが想像した通りの仕草で、ぼくはくらくらと眩暈がしそうになってしまった。

やっぱりぼくの心配は杞憂じゃなかったんだ!

「で、瑠璃さんは何て答えたの」

「もちろん断ったわよ。下に高彬、待ってるしって言って。そんなにしつこくは誘われなかったけど」

くそー、鷹男チーフめ、やっぱり瑠璃さんをあわよくばホテルの一室に連れ込む気だったんだ。

しかも、予め部屋を取っておいたなんて、なんて用意周到なんだ。

そうか、送りにきたぼくを見て、計画がとん挫したのか・・・

だけど、ダメ元で誘ってみた、と、そういうことか。

「・・・・」

やっぱり送ってきたことは無駄じゃなかったんだ。

ホッと安堵の溜め息をついていると、ふと瑠璃さんがじっとルームキーを凝視してることに気が付いた。

「・・・何?瑠璃さん」

「これって・・・」

「うん」

「この部屋に泊まれるってことなのかしら」

「・・・・」

そりゃまぁ、そういう事だろうけど・・・

「何、瑠璃さん。泊まりたいの?」

ぼくは慎重に切り出した。

「うーん。まぁ、夜景もキレイだったし・・・。話題のホテルだし、まぁ、泊まって見たいかなぁ、と言う気もするんだけど・・・。だけど・・」

「だけど?」

「鷹男が取ってた部屋って言うのも何だかねぇ」

瑠璃さんがぶつぶつと呟き、ぼくは瑠璃さんの手からルームキーを取りあげると、そのままフロントに向かった。

ルームキーを差し出し、まずはキャンセルしてもらい、違う部屋を、しかも鷹男チーフの部屋より高層階の部屋を取る。

瑠璃さんのところに戻って

「さぁ、上がろう」

そう言って瑠璃さんの前でルームキーを振って見せると、瑠璃さんは

「え?」

と驚いたようにまん丸い目をぼくに向けてきた。

ぼくがいつか想像したのと同じ顔で、ぼくに向けられたものだと思うと嬉しくなってくる。

瑠璃さんはドレスコードに引っ掛からないように普段よりもドレスアップしてるし、ぼくも有事に備えて(!)いつでもレストランに入れるようにスーツを着ている。

いつもはぼくの部屋で過ごすことが多いんだから、たまにはこういうデートもいいだろう。

「まずはラウンジで少し飲もうよ」

高層階へと上がる二人きりのエレベーターの中、いつもより少しだけ大胆な気持ちになっていたぼくは、瑠璃さんにキスをしたのだった。






…To be continued…


自称「いつもより少しだけ大胆な気持ちになっている」高彬オオカミ、赤ずきん瑠璃ちゃんの運命はいかに───?!
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Secre

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんにちは。

下心全開の高彬オオカミ・・・(笑)
鷹男には目一杯、楯突いてもらいたいと思っています。
身分関係ないですしね、何よりもスペックは高彬の方が高いはずです!(力説)

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