拍手お礼SS<12>

*** 拍手お礼SSの寄せ集めです ***





「瑠璃×高彬<教師編1>」





子どもたちの笑いさざめく声が、廊下にまで聞こえてきている。

教室のドアを勢いよく開けると、「わー!」とか「きゃー!」とかの叫び声が上げながら、子どもたちが慌てて自分の席に戻っていった。

「おはよう。今は朝読書の時間だろ。皆、ちゃんと本を読んでたか?」

出来るだけ厳しい顔でクラス中を見回しながら言うと

「はーい、読んでました~」

と、何とも朗らかな声が返って来た。

「ちっとも読んでなかっただろう。廊下にまで皆の声が聞こえてたぞ」

メッと怖い顔を作るも、皆、ニヤニヤと笑い、中には目配せし合ってる子もいたりで、誰ひとりとして反省してる様子はない。

───まったく。

ギャングエイジとは良く言ったもんだよ。

このクラスは3年から受け持っているけど、まぁ、その元気なことといったらない。

男子はお調子者が揃っていて賑やかだし、女子は大人びていると言うのか、ませてると言うのか・・・

いくら時代が違うとは言え、やはり注意すべきところは注意しなければならないだろう。

ふいに教師としての使命感が沸いてきて

「いいか、みんな。良く聞けよ。勉強は誰のためにするのかと言うと・・・」

と言いかけたところで、ガラッとドアが開く音がした。

「あ、瑠璃先生だ!」

目敏く見つけた男子児童が大声を上げ、皆が一斉に振り返る。

そこには、産休に入った代わりの先生として、1か月前から2組の担任をしている藤原瑠璃先生が立っていた。

───なぜだかドキリとする。

「・・・高橋君、来てない?」

ぼくの顔を見て言い、首を横に振ると、そのままドアをピシャリと閉め戻っていった。

文字通りあっと言う間の出来事で、すぐに中断していた説教に戻ろうとしたところで

「やだ、藤原先生、顔赤~い」

一番前に座るリーダー格の女子が声を上げ、皆がドッと笑った。

「藤原先生~、瑠璃先生のことが好きなんでしょう~?」

「瑠璃先生に話しかけられると、いっつも顔が赤くなってるもんね~」

「告っちゃえよ~」

「俺ら、応援するよ~」

子どもたちが口々にはやし立ててくる。

「何言ってるんだ。授業始めるぞ。1時間目は国語だ」

威厳を保とうと言ってみたものの、子どもたちは相変わらずニヤニヤとしている。

結局、その日は一日中、子どもたちの含み笑いに晒され続け、学校の門をくぐった時にはぐったりと疲れていた。

「藤原先生!」

後ろから声を掛けられて振り向くと、藤原───瑠璃先生が走り寄ってきた。

「駅までご一緒してもいい?クラス担任になったの初めてで、色々、教えて欲しいこともあるし」

駅までの道を肩を並べて歩きながら、クラスのこと、勉強の教え方、子どもとの接し方、保護者への対応の仕方など、聞かれるままにあれこれ話した。

真剣な表情で熱心に聞きいる横顔にドキドキしてしまう。

ぼくはやはり子どもたちが言うように、好きなのだろうか?

瑠璃先生、いや───瑠璃さんのことが。

翌朝、教室に入って行くと、昨日とは打って変わって子どもたちは静かに着席していた。

珍しいこともあるもんだな、と首を捻りつつ、ふと黒板に目をやると───

そこには赤いチョークで昔懐かしい相合傘が書かれており、その下には「藤原先生・瑠璃先生」の名前が並んでいる。

ご丁寧にイラストまであり、男女の後姿と「駅まで初デート!」の文字が添えられていた。

「昨日、塾の帰りに見ました~」

「良かったね!先生」

「案外、お似合いに見えたよ」

「もう結婚しちゃえ!」

「おまえらなぁ・・・」

口を開いたところで、ガラリと後ろのドアが開いた。

「高橋君、来て・・」

言いかけて黒板に気付いた瑠璃さんは、そのまま目をまん丸く見開きフリーズしてしまった。

「あ、いや、これは、こいつらが勝手に・・・」

急いで黒板消しで消そうにも、慌ててしまって上手く消せない。

瑠璃さんの驚いた顔、はやし立てる子どもたちの声、朝の授業の始まりを告げるチャイムの音───

相合傘を必死に消しながらも、ぼくの胸はやけにざわめいて仕方ないのだった。





~Fin~






「瑠璃×高彬<教師編3>**放課後**





月に一度、子どもたちの身体測定がある。

成長期とは良く言ったもので、一か月で2センチ伸びる男子がいるかと思えば、2キロ近くも増えて大騒ぎする女子がいたりする。

放課後、子どもたちが下校し静まり返った廊下を保健室へと向かう。

健康カードを受け取りに行くためだ。

ノックをして入ってみたものの養護教諭はおらず、もしかしたら机の上にでも健康カードがあるかと探していると、ふとカーテンの向こうで何かの気配がした。

カーテンの向こうには、具合が悪くなった子どもが横になるためのベットがあるのだが、そこから寝返りを打つような、そんな音が聞こえたのだ。

おかしいな、この時間、子どもが寝てるってことはないはずなんだけど・・

そっとカーテンを開けると───

瑠璃さんが寝ていた。

「・・・・・」

どうしてここに瑠璃さんが?

そういや、さっきから職員室で姿を見かけないな、とは思っていたんだけど。

瑠璃さんはスヤスヤと気持ちよさそうに眠っており、気が付いたらぼくは顔を近づけるようにして瑠璃さんの寝顔を眺めてしまっていた。

閉じた目を縁取る睫毛、柔らかそうな頬、形の良い唇・・・・

可愛いな。

思えば、ここまでまじまじと瑠璃さんの顔を見たのは初めてだった。

まぁ、ここまで顔を近づけるのは、恋人同士か歯科医くらいなものだろう。

───パチリ。

と、まるでそんな音でもしそうな感じで、唐突に瑠璃さんが目を開いた。

「・・・うわっ」

「きゃっ」

奇しくも二人の声が重なり

「いや、違うんだ・・」

「お願い、勘違いしないで。さぼってたわけじゃないの!」

弁解しかけるぼくの言葉をさえぎって、瑠璃さんは大慌てで言った。

「その・・・、寝心地を・・、ベッドの寝心地を確かめようと思ったの。子どもたちが寝るに相応しいベッドかなぁ・・なんて思って。はは・・は」

「寝心地・・」

「そう、それでちょっと横になってみたら、気付いたら寝ていて・・・」

上目づかいに瑠璃さんが言い、そのあまりの気まずそうな表情にぼくは吹きだしてしまった。

「お願い、学年主任には言わないで」

「言わないよ」

笑いながら言うと瑠璃さんはホッとしたように胸に手を当て、そうして

「良かったら藤原先生も寝てみない?なかなかの寝心地よ」

ベッドから抜け出して、ぼくに勧めてきた。

「いや、遠慮しとくよ」

瑠璃さんの温もりが残るベッドに横になると言うのは十分に魅力的な提案だったけど、放課後の保健室に2人きりでその状況になるのはあまりに危険だった。

いや、もちろんぼくだけの危険だけど。

ぼくが断ったのを気を悪くした風もなく、瑠璃さんは笑って頷いた。

「ねぇ、瑠璃先生。黙っておく代わりと言ったらなんだけどさ」

保健室から出て行こうと引き戸に手をかけた瑠璃さんに後ろから声を掛ける。

「今度・・・、一緒に食事なんてどうかな」

瑠璃さんは振り向き、数秒ぼくの顔を見た後に

「いいわよ」

にっこりと笑った。




~Fin~


(「教師編2」としてプールの授業の話があったのですが、間違えて削除してしまったようです。思い出しながら、もう一度、書いて見ます)





拍手SS、楽しんでいただけましたら応援のクリックをお願いいたします。
↓↓
にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ

吉野君 「剃りました(合掌)」
高 彬 「あ、いや、瑠璃さんに聞いたんだけど・・」


(←お礼画像&SS付きです)

コメントの投稿

Secre

プロフィール

瑞月

Author:瑞月
瑞月(みずき)です。

ランキングバナー

にほんブログ村

ランキングに参加しています。
楽しんでいただけましたら
クリックで応援をお願い致します。
1日1クリック有効です。
初めにお読みください
**当ブログの簡単な説明です**
当ブログは「なんて素敵にジャパネスク」の二次小説を掲載しております。 二次小説と言う言葉を知らない方や苦手な方は閲覧ご注意ください。 また読後のクレームはお受けできません。 「ごあいさつ<最初にお読みください>」も合わせてご一読下さい。
カテゴリ
別館
乳姉妹ブログ
日記ブログ
掲示板
なんて素敵にサイト様 
最新記事
ご訪問ありがとう(H23.11.28-)
**オンラインカウンター**
現在の閲覧者数:
コメントありがとうございます
お礼SSや「他己紹介」があります。
web拍手 by FC2
** あれこれ投票所 **
お好きなジャンルをお選びください。 投票は何度でも可能です。
*** あれこれ投票所2 ***
メールフォーム(ご用の方はこちらから)

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
月別アーカイブ