社会人・恋人編<4>

帰宅ラッシュの電車内は混雑していて、あたしたちは反対側のドアの辺りに乗り込んだ。

ドアに寄りかかると、向かい合う形で高彬は立ち、突っ張るように片手をドアに付いている。

高彬の後ろにはぎゅうぎゅう詰めの人がいて───

「・・・」

混雑から、あたしを守ってくれてるんだ・・・

そう気が付いて、下から高彬を見上げると、高彬もあたしを見ていたみたいで目が合った。

(大丈夫?)

なんて口パクで聞いてくる。

うん、と頷いて目を伏せると、目線の先には高彬のネクタイがあった。

まるで人前で抱き合っているみたい・・・

かぁっと身体が熱くなった気がして、気付かれないようにあたしはそっと息を吐いた。






─Up to you !Ⅱ─side R <第4話>






高彬の部屋で一緒に食事を作って食べると言うのは、いつの間にか定着したパターンだった。

最初は、付き合ってることを内緒にしていたいから、二人で外食してるところを誰かに見られないようにって理由だった。

だけどねぇ、やってみたらすごく楽しかったのよ、一緒に食事を作るって。

まぁ、そうは言ってもあたしは助手みたいなものなんだけど。

「瑠璃さん、これ混ぜて」

「はーい」

はい、とボウルを渡されたその瞬間、捲ったワイシャツの袖から出る高彬の腕にドキっとしてしまう。

気取られないように慌ててボウルを受け取り、無言でひたすら混ぜまくる。

うーん、何なんだろう・・・、この感じ。おかしいわ。

あたしたちは正式に付き合っているのに、さっきの電車の中のことと言い、どうしてこんなにドキドキするのかしら・・・

食事を終え、リビングのソファで寛ぐうち、自然とそういう流れになって行く。

おしゃべりをして、笑い合って、そうしてキスをして───

「シャワー、浴びておいでよ」

「・・・うん」

シャワーを浴び、きっちりと服を着込んで洗面所から出て行くと、高彬は小さく笑った。

どうせすぐに脱ぐんだからバスタオルでも巻いて出てくればいいのに、って言うのが高彬の前々からの提案なんだけど。

「前向きに検討します」ってことで、答えは保留にしてもらっている。

高彬がシャワーを浴びている間、先に寝室に入ったあたしは、ベッドの前で何となく立ち尽くしてしまった。

別にね、ベッドがあるのはいいの、それは。

だけど、初めて見た時から気になっていたのは、その大きさで・・・

ダブルベッドなのよ。一人で寝るには広すぎるくらいのダブルベッド。

そりゃあね、広いベッドで伸び伸び寝たいって人もいるだろうから、独身の高彬がダブルベッドを使ってたって変じゃないとは思うんだけど。

「・・・・」

あたしは高彬がいないのを良いことに盛大にため息をついた。

ずっと気になって、でも聞けずにいること。

もしかしたら、このベッドって前の彼女のために買ったものなんじゃないのかしら。

あたしは高彬が「初めて」であることを告白してしまったけど、でも、高彬のその辺りの事情って聞いたことがないもの。

モテるんだから、当然、彼女の一人や二人、ううん、下手したら三人や四人、いやいや五人や六人、いたっておかしくないし、しかもそれが会社の人である可能性だってあるわけで・・・

高彬はそういう事、率先して話してくれるタイプじゃない。

聞けば話してくれるのかもしれないけど、でも、そういうこと聞くのって、何ていうか嫌なのよ。

あたしの方が年上って言うのもあるし、そんな過去の恋愛経験を気にするのって女の沽券に関わるって言うか。

あれこれ考えていたせいか、高彬が入ってきたことに気が付かなくて

「・・・瑠璃さん」

ふいに後ろから抱きしめられてしまった。






…To be continued…




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Secre

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんばんは。

もちろん高彬も瑠璃のことは大好きですが、瑠璃もどんどん高彬に恋しちゃってるような状況です(*^-^*)
私の高彬に料理、教えてもらいたいです。
気が散って(高彬に見惚れて)怪我しそうですけど(^-^;
高彬の恋愛遍歴。どうなってるんでしょうねぇ・・・
ほんと、知りたいような知りたくないような、やっぱり知りたいような(笑)

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