***第二十九話 京での再会<Part2>***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』




          注)このお話は連続ものです。
            カテゴリー「二次小説」よりお入りいただき
            第一話からお読みくださいませ。



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*** 第二十九話 京での再会<Part2>***






「高彬、待って。待って・・・」

何とか高彬の接吻から逃れ、身体をよじってみたのだけど、高彬に押さえ込まれていてまったく動かない。

「高彬。お願い、待って」

少し強く言うと、高彬の動きが止まった。

高彬が冷静なうちに、自分で押さえが効くうちに、言わなきゃ。

「・・・・いや?」

顔を上げた高彬が、うるんだままの目で言う。

「い、いやなわけじゃない・・・けど・・・」

「じゃあ、・・・もう・・・待てないよ」

首元に顔をうずめながら、どこか甘えるような声で言ってきた。

あたしは、ともすれば流されそうになる心を叱り付けて

「いやなわけじゃないのよ。でもね・・・・」

「でも?」

「やっぱり・・・きちんとした手順で結婚したいかなぁって・・・。記憶を失う前のあたしは、そう思ってたみたいだし・・・」

「・・・・」

顔を上げた高彬の表情が少し動いた。

「それに・・・あの・・誰か来るかも・・しれないし・・・」

小さな声で付け加えると、高彬はじっとあたしを見て、ふっとため息をついた。

怒っちゃったのかしら、と思っていると、高彬はあたしの上から身体をずらし、肩肘を付き、小さく笑いながら言った。

「そういえば、前にもそんな風に言われたことがあったな」

「前にも?」

「うん、やっぱりその時も、瑠璃さんは誰かが来ることを心配してた」

「どんな状況だったの?」

「あの時は、確か牛車の中で・・・あ、いや・・・」

「牛車の中?!」

思わず大きな声が出てしまう。

「い、いや、あの時はいろいろと、事情が・・・」

睨みつけると、しどろもどろになって口ごもった。

「牛車の中でなんて・・・・いやに決まってるじゃない」

記憶を失っていたって、それくらいわかるわよ。

ムスッとして言うと、高彬は

「ほんと・・・後悔してるよ。でも・・・・あの時は瑠璃さんもいけないんだ」

ちらりと恨みがましい目であたしを見る。

「なぜよ」

「なぜって、瑠璃さんは覚えてないだろうけど、ひょっこり白梅院に現れて、一緒に寝させてくれと言ってぼくを誘惑したり・・」

「うそっ」

「本当だよ。隣で瑠璃さんに寝られるぼくの身にもなって欲しいよ。生きてきた中で、あんなに辛いことはなかったよ」

「大げさね」

「大げさじゃないさ。瑠璃さんには男の気持ちがわからないからね」

憮然とした表情で言う。

「あたしは女ですからね。それで牛車の中で高彬はどうしたの?」

「そりゃ、やめたよ。いやだって言われたらやめるしかないだろ。今まで何度お預けを喰らったことか」

ますます恨みがましい目で見てくる。

「そんな状況でやろうとする高彬が悪いのよ。自業自得だわ」

つんと言ってやると、高彬は笑った。

「まぁ、確かにその通りだね。ちゃんと結婚の日まで待つことにするよ」

片手であたしの髪をなぜながら

「ぼくも明日から、また宿直や物忌みが続いてしばらくこちらに来れないけど、佳き日を選んでなるべく早くに結婚しよう。ちゃんとした手順でね」

そう言う高彬の顔は優しくて、あたしは自分の気持ちをわかったもらえたことが嬉しくて、思わず高彬の首に抱きついちゃった。

「ほら、またそうやって誘惑する」

メッとあたしをにらむと、高彬は笑って、あたしを抱きしめてきた。

接吻をされ、そっと目を閉じると

「ひ、姫さま!少将さま!」

ぎょっとしたような小萩の声が聞こえ、あたしたちはふたり同時にがばと起き上がった。






         ****************************************





亥の刻。(午後十時)

寝所を整えた小萩が、今しがた下っていき、あたしは部屋にひとりきりになった。

夜具に身を横たえながら、ついつい大きなため息が出てしまう。

あの後、小萩は真っ赤になって

「お、おやつをお持ちしました」

とおずおずと高坏を置いて、転がるように部屋を出て行ったのだけど、あたしはあたしであんな姿を小萩に見られたので頭に血が上っちゃっていて、とてものこと、おやつどころではなかった。

いくら腹心の女房とは言え、あんな姿を見られるのは恥ずかしいわよー。

高彬にいたっては、顔と言わず首筋まで真っ赤になっていて、今にも火が出るんじゃないかと思うほどだった。

そんなに赤くなるんなら、あんな昼日中に、あんなことしなきゃいいのに。

男ってよくわからないわ。

しかもふたりして、小萩がやってくる気配に気が付かなかったんだからすごい。

あたしはまだともかくとして、毎日、宮廷で腹の探り合いをしたり、ちょっとした気配に耳をそばだてているはずの高彬が、どうして気が付かなかったのかしら。

そういってやると、高彬は

「集中してたから・・」

とかなんとか、もごもごと言いわけがましいことを言っていたけど、もう!

あんなことまで、真面目に集中しなくたっていいのに。

高彬はほどなくして帰っていったんだけど、当然、あたしと小萩はそのあとも顔を合わせなきゃいけないわけで、何と言うか、お互い「見てはいけないものを見てしまった者」と「見られちゃいけないものを見られてしまった者」という、変な緊張感が今までただよっていたのだ。

小萩が下っていき、なんだかどっと疲れが出たわ。

でも、良かった・・・あれ以上のことをしていなくて。

人が来る、と言ったあたしの言葉に、高彬は「大丈夫」なんて言ってたけど、全っ然、大丈夫じゃなかったじゃないの!

ああいう場面での殿方の判断基準って、いったいどうなっているのかしら。

希望的観測でものを言ってるとしか思えないわ。

もうもう、絶対に、ああいう場面での高彬の「大丈夫」は信じないんだから。

そんなことを考えながら、あたしは眠りに落ちていき、どれくらい眠っていたのか、ふと目を覚ました。

何かの気配・・・・それに、ほのかに何かの匂いがする・・・

誰か・・・いる?

夜具の中で動かずにじっと様子をうかがっていると、はらりと帷(かたびら)が揺れて、几帳の陰からぬっと人影が現れた。

間違いないっ、誰かがこの部屋にいるんだわ!

あっと思った時には、誰かが覆いかぶさってきて、あたしを押さえつけていた。

やだっ、誰?

顔は見えないけど高彬じゃないことは、匂いでわかる。高彬はもっと柔らかい匂いだもの。

声をあげようとした時には、もう手で口をふさがれていた。

「瑠璃姫、お静かに。やはり、恋心抑えがたく、こうして忍びこんできてしまいました」

男はあたしの耳元でささやいたのだった・・・。



              <第三十話に続く>

〜あとがき〜

こんにちは!瑞月です。

集中って、高彬・・・(笑)

何に関しても、真面目に頑張る、さすがは有能な高彬ですね。

読んでいただきありがとうございました。

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