***新婚編***第二十五話 後宮の夜<Part2> ***

『なんて素敵にジャパネスク~二次小説*新婚編』





このお話には「吉野君」が出てきます。
原作とは違う形で登場しますので、原作のイメージを壊したくない方はお読みになるのをお控え下さい。





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***新婚編***第二十五話 後宮の夜<Part2> ***








「た、高彬・・・」

どうしてここに高彬が?

そりゃあ、あたしのピンチを救ってくれるのは、これ以上うってつけの人はいないけど。

だけど、どうしてここに高彬がいるのかが判らない。

膝を付いたままの姿勢で、穴が開くほど高彬の顔を見上げていると言うのに、でも、高彬はあたしの顔なんか見ちゃいなかった。

「・・・帥の宮どの・・・」

呻くように言い、そのまま相手の男の顔を凝視している。

そっか・・・、やっぱりこの男、帥の宮なんだ。

視線を高彬から移すと、帥の宮は薄っすらとした笑いを浮かべ

「おお、痛い。この腕を離してはくれませんかね、右近少将どの」

詠ずるように言った。

高彬は腕を放しながらも警戒した声で

「どうして帥の宮どのが・・・・こちらに?」

「これはまた無粋なことを、少将どの。夜半に男が女人に逢いに行くと言ったら、それは恋人の元を訪ねるということでしょう」

夜目にも高彬の顔色が変わるのが見て取れ、そんな高彬の様子を楽しむかのような間合いの後

「しかし、私はどうやら部屋を間違えてしまったようだ。この者は見知らぬ女房です。いやはや、後宮はどこもかしこも似たような部屋ばかりで困りものです。では、私はこれで・・・」

「お待ちを、帥の宮どの」

背を向け、そのまま立ち去ろうとしていた帥の宮を、高彬のするどい声が引き留めた。

「私の妻を、この者呼ばわりするのは止めていただきたい」

帥の宮の動きがピタリと止まり、ゆっくりと振り返る。

「ほぉ・・・、それではこちらが右近少将の愛妻の名の誉れ高い、えぇと、確か・・・こがね、しろかね、瑠璃色の水・・・。おぉ、そうだ、瑠璃姫でしたか」

白々しく驚いて見せる帥の宮に、だけど、高彬も負けてはいなかった。

「私の妻だと知った上で、この部屋に忍んできたものだとばかり思っておりましたが」

一歩も引かない声で言うと

「まさか」

帥の宮はまたしても白々しく目を見開いて見せた。

「右近少将どのの北の方ともあろう方が、よもや後宮の女房部屋にいるとは思いますまい」

「なるほど。仰る通りですね。ですが、帥の宮どのともあろうお方が、恋人の部屋を間違えるとは、私にはまた思えないのですが」

「ほぉ」

高彬の切り返しは思っても見ないものだったのか、帥の宮は眉を上げ、次いでくっくっと笑い声を漏らした。

「ではお聞きしましょう。なにゆえ瑠璃姫が後宮に?何やら謎めいておりますが」

「私が呼んだのですよ。承香殿女御と私の妻はいわば義姉妹ですからね。ぜひにも会いたいと女御に言われましてね。それを謎とは大げさな」

「・・・・・」

宮と武官、遊び人と堅物、男と男、双方、無言の睨みあいの末、先に目を逸らしたのは帥の宮の方だった。

「まぁ、ここで言い争いをしていても始まらない。恋人が待っていますので、私はこれで。失礼いたしますよ、・・・瑠璃姫」

あたしに向かいこの上ない雅な会釈をすると、さやさやと衣擦れの音と共に帥の宮は立ち去って行った。



********



完全に帥の宮の姿が見えなくなった途端

「瑠璃さん!」

武官から夫に戻った高彬は、いつもの声であたしの名を呼んだ。

もちろんこれ以上はないというくらいに怒気を含んでいる。

後ろ手に荒々しく戸を引くと、まだ膝を付いたままのあたしの手首を掴み、そのまま部屋の奥へと連れて行く。

「ちょ、ちょっと、痛いってば」

ムッとして抗議するとすぐに手を離してくれたけど、でも怒っているのはありありだった。

「どうして瑠璃さんが、ここにいるんだよ」

「それはあたしの台詞よ。どうしてここに高彬がいるのよ」

「どうしてって。・・・ここはぼくの仕事場なんだから、いたっておかしくないだろう」

「そう言う意味じゃなくて」

言いながら、あたしは確信していた。

小萩に違いないのよ。

きっと高彬の怒りを怖れて、主人であるあたしの言い付けを破って───

「小萩じゃないよ」

「え。どうしてあたしの考えてることが判ったの」

びっくりして言うと

「顔見れば判るよ。瑠璃さんの考えてることくらい」

高彬は肩をすくめて見せた。

「小萩じゃなきゃ、一体どうして・・・」

「瑠璃さん。見損なわれては困る。ここはぼくの仕事場だよ。どこからでも情報は入るんだ」

「・・・・」

ぴしゃりと言われ、あたしは黙りこんだ。






<第二十六話に続く>


(←お礼画像&SS付きです)

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Secre

ベリーさま

ベリーさん、こんにちは。

>帥の宮vs高彬!新鮮でした!

我らが高彬、負けていませんよー!

帥の宮vs高彬!新鮮でした!

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんばんは。

瑠璃のピンチを救ったのは高彬でしたが、でも、高彬はご立腹だったのです~。
(「奥様は魔女」風に。あ、Mさん、「奥様は魔女」知ってます?年代が違います?)
ソッチー、殴られちゃえば良かったのに(笑)
確かに「ぼくの仕事場」と高彬が改めて言うと、なんか神聖な響きがありますね!

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