***新婚編***第二十四話 後宮の夜 ***

『なんて素敵にジャパネスク~二次小説*新婚編』





このお話には「吉野君」が出てきます。
原作とは違う形で登場しますので、原作のイメージを壊したくない方はお読みになるのをお控え下さい。





         ***********************************************





***新婚編***第二十四話 後宮の夜 ***








少しの間、ぼんやりとその公達と見つめ合う形になっていたあたしは、だけど次の瞬間、慌てて袖で顔を隠した。

───だ、誰っ?こんな夜に・・・

目の前の男は何も言わずに、袖越しにじっとあたしを見ている気配がある。

本当に誰なのかしら・・・

まさか・・・・吉野君・・・・?

さっき女御さまが言っていた「美々しい」と言う条件には合う顔立ちではあったけど・・・・

男がじりっと半歩近づき、あたしは半歩後ずさる。

「・・・・」

暑さのせいなのか緊張のせいなのか判らないけど、胸元を一筋の汗が伝い落ちた。

だけど、もしこの男が吉野君だとしたら、どうしてあたしがここにいると判ったのかしら。

あたしが今日、ここに来ていることは、女御さまとごく少数の女官しか知らないはずよ。

混乱する頭であれこれ考えていると、更に男がじりっと近づいてきて、あたしは後ずさりながらもごくりと唾を飲み込んだ。

これってもしかしたら、ものすごく危険な状況なんじゃないかしら・・・?

いくらあたしがはねっ返りと言ったって、さすがに男の力には敵うはずないもの。

この際、この男の正体を突き止めるより、まずは身の安全を確保する方が先かも知れない。

男が身動きする気配があり、もうこうなったら大声でも出して人を呼ぶしかないと思った次の瞬間

「───瑠璃姫、ですね」

男が言葉を発した。

「ずっと、・・・・懸想しておりましたよ」

低く穏やかな声だった。

こんな時だけど、あたしは吉野君の声を思い出そうと、頭をフル回転させた。

吉野君ってどんな声だったかしら?

吉野で二人歓声を上げて遊び回っていた頃───

「・・・・・・」

あたしは心の中で頭を振った。

だめよ、あんな童の頃の声、例え思い出したって当てになんかならないわ。

高彬だって、最初に会った時は今みたいな声じゃなかった。

今よりもっと高くて透き通った声をしていたもの。

高彬のことを考えた途端、混乱する気持ちが少しずつ収まってきて、ふいにいいアイデアが浮かんできた。

この男が吉野君かどうかを確かめる方法が、───ひとつ、あるわ。

あたしはいったん、息を整えると

「あたしに懸想していると言うのは、本当なのかしら?」

袖で顔を隠したまま言った。

落ち着いて言ったつもりだったのに、少しだけ声が震えてしまう。

「本当ですよ」

男は答え、少し笑ったようだった。

「それでは・・・・」

あたしはごくり、と唾を飲み込んだ。

「それでは、もし・・・・、もし官位を授かることが出来たなら、どうしますか?」

「・・・・・」

もし、この男が吉野君ならば───

お迎えに行ってもいいですか、と答えるはずだわ。

吉野君なら判るはずの、ううん、吉野君にしか判らないはずの符牒・・・

男は何事かを考えるかのように長いこと黙り込んでおり、そうしてふっと息を吐き出すと

「これ以上の官位、ですか。まぁ、私は今の官位で十分ですよ。ずっと淋しい暮らしをしていましたのでね」

どこか自嘲気味に呟いた。

「・・・・・」

───この男は吉野君じゃない。

あたしは確信した。

それに、そうよ。

すっかり慌てて気付かなかったけど、この男から漂ってくる匂いは、あの文に焚き染められていたものではないわ。

と言う事は・・・

女御さまの話が本当だとすると、この男は───

男は更に間合いを詰めてくると、いきなりあたしの腕を掴んだ。

(あっ)と身体をよじって振りほどこうとした瞬間、遠くから乱れた足音が聞こえたてきた。

足音は渡殿の角を曲がり、そうして見る見る近づいてきたかと思ったら、暗闇の中、物も言わずに男の腕を掴みあたしから引き離した。

いきなり掴まれていた腕をほどかれバランスを崩したあたしはよろけて膝を付いてしまう。

目線の先には、今までの男の物とは違う指貫が見えており、徐々に視線を上げて行くと───

そこには、部屋から漏れる灯台の明かりに照らされた、強ばった表情の───

我が夫、高彬の顔があった。






<第二十五話に続く>


(←お礼画像&SS付きです)

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Secre

ベリーさま

> でたな帥の宮(!)

出ましたよ、ソッチー(笑)

> よかった黄金の接吻を奪われなくて!!

ほんとですよ。一度ならず二度までも・・・なんて許されることではありません。

> どうなるんでしょうか、楽しみです(*≧∀≦*)
> 小萩にチクられたんだな。。。爆

ふふふ。この辺り、次回の更新で明らかになりまーす。
また読んでくださいね(*^-^*)

でたな帥の宮(!)
よかった黄金の接吻を奪われなくて!!
ドキドキ!そして、待ってました、高彬!
どうなるんでしょうか、楽しみです(*≧∀≦*)
小萩にチクられたんだな。。。爆

茜さま

茜さん、こんにちは。

> 部屋を訪ねて来たのは誰なのか楽しみに待っていました(^^)帥の宮だったのですね。

はい、ソッチーでした。

> そこに高彬登場でひとりニヤニヤしてました( 〃▽〃)瑠璃のピンチ?に登場ってだけでキュンとしてしまいます~

でも、瑠璃は無断で後宮に来てますからねぇ。

>原作で帥の宮と瑠璃が対面したときここに高彬が来たらなぁとよく思ってました。

そうですよね、私もそう思ってました!
母上の風邪はうそなんだよーって。

>続きのお話ワクワクして待ってます(*^^*)

ありがとうございます(^^)/また読んでくださいね~。

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんにちは。

ドキドキしていただきありがとうございます!
康緒の登場は以外でしたか?(呼び捨て)
はたして高彬の愛染明王降臨となるのか───?!
次の更新は、ちょっと「変化球」で行きますよ~(^_-)-☆

高彬登場で胸キュンです~

こんにちは、瑞月さん(^-^)/

部屋を訪ねて来たのは誰なのか楽しみに待っていました(^^)帥の宮だったのですね。

そこに高彬登場でひとりニヤニヤしてました( 〃▽〃)瑠璃のピンチ?に登場ってだけでキュンとしてしまいます~原作で帥の宮と瑠璃が対面したときここに高彬が来たらなぁとよく思ってました。なので嬉しいです(≧▽≦)

ああっでもお話はそんな(浮かれた)状況じゃないんですよね。続きのお話ワクワクして待ってます(*^^*)

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