社会人・恋人編<2>

人で賑わう京都の河原町の一角が映し出された画面には、良く見ると中央辺りに人がしゃがみ込んでいる。

ガヤガヤと言う喧噪に紛れて聞こえてくるのは

「誰か・・・止めてー!藤原高彬って言うの!あたしの・・・・好きな人なのーーーー!」

まぎれもない瑠璃さんの声で───







─Up to you !Ⅱ─<第2話>






「・・・・」

何なんだよ、この映像は。

無言で水無瀬を見ると

(まだ続きがあるから見なさい)

とばかりに顎をしゃくった。

映像は続き、次いで画面右から男が現れたと思ったらそれはぼくで、何てことはない、要はこの映像はあの日の───つまりは瑠璃さんが「世紀の大告白」が呼んでいる、あの京都での出来事なのだった。

「誰か通りすがりの人が回してたビデオにでもたまたま映り込んじゃったのかな・・・」

呟くと、斜め後ろから大げさなため息が聞こえてきた。

「藤原くんってバカじゃないの」

「バカって・・」

ムッとして振り向くと

「いい?こんな何もないところでピンポイントで、こんな絵を撮るわけないでしょう」

「そうかな。繁華街のど真ん中だしあり得ないことでは・・・」

「いいから黙って先まで見なさいよ。最後まで見たらそんな呑気なこと言えなくなるから」

映像は続き、声は聞き取れないまでも、やがて瑠璃さんとぼくは抱き合い始め、何とも顔が赤らんでしまう。

後ろで水無瀬が鼻を鳴らし(リア充・・・)とか何とか呟いている。

ぼくが瑠璃さんを抱き上げ歩き出したところで映像は終わり、やれやれ終わったか・・と思っていたら、画面が切り替わり、今度はいきなり道路が映り始めた。

あれ?と思って見ていたら、瑠璃さんと行った展望台辺りの道で、やがて前方に路駐するクルマが見えてきた。

カメラはあれよあれよと言う間にそのクルマに近付き、と思ったらその車中には接近する二人の姿があり───

(えっ?)

ぎょっとして画面に顔を近づけると、それはキスをする瑠璃さんとぼくの姿で、どうやらこの映像を撮ったのは対向車だったようで、あっと言う間にぼくたちのクルマは画面から消えて行った。

「・・・・・・」

唖然と見ていると、次の映像が流れ始めた。

打って変わっていかにも「夜の街」と言った感じの映像で、良く見ると、お子さまが行ってはいけないところと言うか、大人の社交場と言うか、まぁ、つまりはネオン溢れるホテル街なのだった。

暗闇の中を寄り添って歩く男女の後姿を映像は捉えており、この先、2人がホテルに入っていくのを十分に示唆するように仕向けられたところで終わっている。

「・・・・」

「どう?ご感想は」

腕を組んだ水無瀬に上から見下ろされ、ぼくも(うーむ)と腕を組んだ。

感想と言われたら「びっくりした」の一言しかなく、正直それ以上の言葉は出てこない。

「びっくりしたよ・・・」

ありのままの気持ちを吐露すると、水無瀬はイライラしたように舌打ちをした。

「あのねぇ、藤原くん。まだピンと来てないみたいだから教えてあげるけど、これってネットに上がってるのよ。しかも3日で再生回数3000よ」

「それって、そんなにすごい数なのか?」

「素人がアップした動画にしたらね」

「・・・・」

「しかも、これ、どう見たってあなたたち二人って判るじゃない」

「うん」

「うんって・・・。抱き合って、キスして、そうしてホテルにまで行って、その映像が流されているのよ!」

「いや、ホテルには行ってない。あの後姿はぼくたちじゃない」

「でも、見た人はそう思うわ」

「・・・だろうな」

「・・・・・」

しばらく黙り込み何事かを考えていた水無瀬は

「この際だからはっきり聞くけど、藤原くん、藤原さんと付き合ってるの?」

「・・・とりあえず、ノーコメントだ」

瑠璃さんに口止めされているからそう答えてみたものの、この映像を見せられた後に言う言葉にしては、あまりに白々しく、案の定、水無瀬は

「とりあえず、ね。判ったわ」

と眉をあげて見せた。

「じゃあ、あなたたちが付き合ってると仮定して話をしましょう」

「・・・・」

「ねぇ藤原くん。あなた、どうも自分がモテてるって自覚がないみたいだけど、この動画が社内で噂にでもなったりしたら、藤原さんはかなりマズい立場になるのではないかしら?」

「・・・・」

ぼくは黙って水無瀬を見返した。



********



席に戻ると瑠璃さんは出社していて、何となく目交ぜをして小さく頷き合う。

瑠璃さんは口パクで

(おはよ)

なんて言っている。

───可愛いなぁ・・・

こうして会社で見てみると、瑠璃さんと付き合ってると言う事が、一瞬、信じられなくなることがある。

ぼくの部屋でご飯食べたり、キスしたり、抱き合ったり・・・・

隣から、スッとメモが差し出された。

『今日、家寄っていい?ちょっと話があるの』

いいよ、と頷きかけたところで

「藤原。ちょっといいか。ミーティングルーム」

上司に声を掛けられた。

「はい」

メモを胸ポケットにしまいながら席を立ち

「打ち合わせの件、了解。瑠璃さんの都合のいい時間で決めておいて」

事務的に言うと、瑠璃さんは

「はい」

と頷いた。





…To be continued…



(←お礼画像&SS付きです)

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ベリーさん、こんにちは。

煌姫は最強キャラですよね!
もし煌姫がジャパネスクの主役だったら、もうどの脇役もいらなさそうですよね。
一人で何でもやってしまいそう・・・(^-^;

現代版の煌姫、好きです💕
どの世にも対応できるスーパーウーマンですねえ!(^^)
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