社会人・恋人編<1>

誰だって学校や仕事が休みになる週末は楽しみなはずで、もちろんぼくだってご多分に漏れずそうなのだけど、だけど、ここ最近の楽しみ指数は他の追随を許さない程に高い。

まぁ、つまり、ぼくの今までの人生でこんなにも週末が楽しみだったことはないというわけだ。

なぜなら、それは───

ぼくは隣に眠る瑠璃さんをそっと見た。






─Up to you !Ⅱ─<第1話>






カーテンから漏れる光が、うつぶせに眠る瑠璃さんの肩に当たっている。

手を伸ばして触ったとたん

「クシュンっ」

小さく瑠璃さんがくしゃみをして、そうして薄っすらと目を開けた。

「寒い?」

思わず聞くと、ううんと瑠璃さんは頭を振り、それでも恥ずかしそうに毛布を引き上げたりしている。

瑠璃さんとぼくは裸のままで、つまりは昨夜、「恋人の時間」を過ごした後、そのまま眠ってしまったと言うわけだ。

毛布ごと瑠璃さんを抱き寄せると、器用に毛布だけ剥ぎ取り瑠璃さんの素肌と密着させる。

まったくもって瑠璃さんの肌は滑らかで、そうして身体は柔らかで、何度、身体を合わせてもその感動は薄まらない。

恋人の特権とばかりに肌に手を這わせていると、するりと瑠璃さんに逃げられてしまった。

「喉乾いちゃった。お水飲んでくる」

ぼくから逃れたはいいものの裸で立ち上がるのを躊躇しているのか、毛布に包まったまま瑠璃さんはベッドの縁に座り思案顔をしている。

何しろ瑠璃さんの服らしい服は、昨夜、リビングでぼくが脱がせてしまっているのだ。

どうするかな、と見ていたら、瑠璃さんはベッドの脇に放りだされていたぼくのワイシャツに目を付けて、拾い上げるとさっと袖を通した。

2、3個、ボタンを留めて、長い袖をいくつか折っている。

やれやれ、これで万全とばかりにすっくと立ち上がると、キワドイ長さのワイシャツの裾から素足を惜しげもなく晒しながら瑠璃さんは部屋を出て行き───

「・・・・・」

一人残されたベッドの中、ぼくは盛大なため息をついた。

なまじっか裸よりも、オトコ心をそそる恰好だと言う事を、瑠璃さんは判っているのかな・・・

待とうか、追おうか思案すること数秒、結局、追う事にしたぼくは、瑠璃さんに責任を取ってもらうべくリビングへと向かった。



*******



こんなに明るいリビングでは絶対にイヤだと言う瑠璃さんの主張を尊重し、寝室で「恋人の時間」を過ごしたぼくたちが、今日、最初の食事を摂ったのは、もう昼近く、11時を回ろうかと言う時間だった。

「すっかり朝ごはんが遅くなっちゃったね」

昨夜、会社帰りに一緒に寄ったスーパーで買ったクロワッサンを齧りながら言うと

「誰のせいだと思ってるのよ」

瑠璃さんに睨まれ

「ぼくのせいです」

素直に認めると、瑠璃さんは吹きだした。

二人の笑い声がリビングに響き、それだけで何てことないはずの土曜日が、最高の休日となる。

瑠璃さんが泊まるのは決まって週末で、瑠璃さんに言わせると

「そこはケジメを付けたい」

と言う事なのだ。

平日に泊まりだすとキリがなくなるし、同じ服で出社することにもなる。

何着か服をぼくのマンションに置いておけばいいのに、と提案したら

「ほらほら、そうやってケジメがなくなっていくのよ」

とのことで、まぁ、瑠璃さんの言わんとしていることも判らなくもないので、ぼくも無理強いはしていない。

まぁ、瑠璃さん流に言うなら「女の沽券に関わる」と言ったところなのかも知れない。

もうひとつ、瑠璃さんから

「付き合ってることは会社では内緒にしたい」

と言われ、理由は

「まだNY支店から来たばかりの今のこの状態で、女子社員に睨まれたくない」

からだそうで、ぼくと付き合うことによって女子社員に睨まれるなんてことあるわけない、と思うのだけど、まぁ、瑠璃さんがそういうのなら、とぼくもそれに合わせている。

だけど、いくつかの瑠璃さんの条件を飲む代わりに、ぼくからも条件を出した。

それは鷹男チーフだけは、ぼくたちが付き合っていると言う事を、そのまま思わせておく───と言うか、今となっては本当に付き合っているんだけど───と言う事だった。

また鷹男チーフに瑠璃さんを送っていくなんて言われたら堪らない。

そうでなくても手の早い人なんだから。

瑠璃さんもそれについては了承してくれて、あの日から、つまりは恋人になってからのこの1か月、ぼくたちはとても楽しい毎日を送っているのである。



********



月曜の朝、席に付くとまだ隣の瑠璃さんは来ておらず、さては寝坊かな、昨日、ちょっと長電話しちゃったからなぁ・・・と思っていたら

「藤原くん」

後ろから声を掛けられた。

振り返ると、水無瀬が立っている。

「ちょっと」

こっち、と顎をしゃくって歩きだし、水無瀬のこういう態度には慣れっこだけど、一体、朝っぱら何だろうと後を付いて行くと、誰も使っていないミーティングルームに入って行った。

立ち上がっているノート型パソコンが一台、ブラインドを下ろした薄暗い部屋で光っている。

水無瀬は黙って、座れとイスを指さした。

「なんだよ、一体・・・」

不審に思いながらも言われた通りにパソコンの前に座ると、水無瀬は横から操作をして、ひとつの画面を呼び出した。

いわゆる動画投稿サイトで、水無瀬がスタートボタンを押すと、いかにも素人が撮ったと思われる画像が流れだした。

画質も悪いし、画面もブレていて・・・・

だけど、ぼくはそんなことも気にならないくらいに、その画像に釘付けになってしまった。

どこかで見た場所だなと思っていたら、人で賑わう京都の河原町で、そこに映っているのは・・・・・

瑠璃さんとぼく───?!





…To be continued…



瑞月です。

いつもご訪問いただきありがとうございます。

社会人編がお好きだと言って下さった皆さま、お待たせいたしました。

社会人・恋人編<─Up to you !Ⅱ─>、連載スタート致しました。

「恋人編」では、鷹男の横やりや、守弥の動向、そして忍び寄る魔の手(?)などを、テンポ良く進めていくつもりです。

「新婚編」「恋人編」、そして「オマージュ」、その他色々・・と、順繰りに更新していく予定です。

全部のお話を楽しんでいただければ一番嬉しいのですが、気になるジャンルだけをお読みいただくなど、皆さんのお好きにお楽しみいただければと思います。

(拍手からコメント下さった皆さん、ありがとうございます(*^-^*))



(←お礼画像&SS付きです)

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Secre

ベリーさま

> "どうやったら気分がいいか"って。バカ受けです。
> 妄想している瑞月さんが嬉しそう。

ふふふ。そりゃあ楽しいですよ!
鷹男をギャフン!と言わせなくっちゃ~(笑)

> 堂々と瑠璃と高彬のこれでもかってくらいのディープキス、鷹男の目の前でやらせてあげてください!笑

おぉぉ、ディープキスですか!いいですねぇ。
でも鷹男、そういうの見たら、かえって燃えたりして?!(笑)

No title

"どうやったら気分がいいか"って。バカ受けです。
妄想している瑞月さんが嬉しそう。
堂々と瑠璃と高彬のこれでもかってくらいのディープキス、鷹男の目の前でやらせてあげてください!笑

ベリーさま

ベリーさん、こんにちは。

> こちらも再開ですね!!

はい、再開いたしました~(*^-^*)

> そして若君オンリーの男。

守弥ですね(笑)このまま引っ込みそうもないですしね。

>ぜひ鷹男とガチで勝負させてやってください。そこは超たのしみです!えへへ

絶対、高彬に勝って欲しいですよね!
いえ、勝つのは決まってるんですけどね、どう勝ったら一番(私が)気分がいいか考え中です(笑)

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんにちは。

はい、社会人編も始まりました~(^^)/
付き合って一か月目のらぶらぶ月間を過ごしていた二人ですが、そろそろ「魔の手」に忍び寄ってもらおうかな?と。(笑)
『彼シャツ』はロマンですよねぇ!(高彬の)
瑠璃ったら無意識に高彬のスイッチを押すのが得意なんだから。
(高彬が押されやすいって噂もありますけど)
明るいリビングなんて嫌に決まってますよね。どんな責任を取らされたんでしょうね。ふふふ・・(謎の笑い)
煌姫はこの先も、あのキャラですよ~!(笑)

こちらも再開ですね!!
大告白した瑠璃、これからどんな陰謀(笑)や邪魔者が現れるんでしょうか!
そして若君オンリーの男。こちらのお話もまたたのしみです。ぜひ鷹男とガチで勝負させてやってください。そこは超たのしみです!えへへ

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