***新婚編***第二十二話 再びの後宮へ ***

『なんて素敵にジャパネスク~二次小説*新婚編』





このお話には「吉野君」が出てきます。
原作とは違う形で登場しますので、原作のイメージを壊したくない方はお読みになるのをお控え下さい。





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***新婚編***第二十二話 再びの後宮へ ***








早苗と入れ替わりでやってきた小萩に、文を書く用意をさせるとあたしはさらさらと筆を走らせた。

きっとまだ女御さまからの内密の文遣いのものが、あたしの返事をもらうべく待っているはずよ。

急いで書き終えて

「これ、今届いたお文のお返事ね」

と手渡すと、小萩は心得顔で部屋を出て行った。

ほんと、こういう時、あれこれ説明しなくても阿吽の呼吸で動いてくれる小萩は助かるわ。

今度、父さまに言ってお手当あげてもらわなくっちゃ。

すぐに戻ってきた小萩は

「姫さま、あのお使者どのは、かなりご身分の高い方からの御遣いの方だとお見受けしましたけど・・」

となかなかするどいことを言ってきた。

「・・・実はね、あれは高彬の姉上さまからの御遣いなのよ」

声を潜めて言うと

「まぁ・・!承香殿女御さまの・・・!」

小萩は目を剥いた。

まぁ、無理もないわよね、後宮にお住いの方なんて、小萩にとっては雲の上の存在だものね。

「その女御さまが何ゆえ姫さまにお文など・・・。まさかと思いますが、姫さま、また後宮に行かれるなどと・・」

「うん、そのまさかなの」

へへ、と舌を出すと、小萩は更に目を剥いた。

「とんでもございませんわ。また少将さまに何て言われるか」

「大丈夫よ。今回は高彬には内緒で行くから」

「内緒だなんて、そんな恐ろしいことを・・・。また小萩が少将さまにお叱りを受けてしまいますわ」

結婚前、記憶を取り戻したあたしが勝手に後宮に行った時のこと、小萩ったらまだ覚えているのね。

「あのね、小萩。今回は忘れ物を取りに行くだけなの。ほら、見て」

あたしは女御さまからのお文を差し出した。

嘘を付くならまず身内から、よ。

この際、小萩にもこの嘘を付き通してしまおう。

その方が、小萩だって万が一の時、都合がいいはずだものね。

あたしって、女房思いのいい主人だわー。

「扇・・?姫さま、扇なんてお忘れになりましたの?」

「え?あ、・・・えーとね、実はそうなのよ。おまえには言ってなかったんだけど、実は・・・えーと、前に煌姫から扇をもらってたのよ」

「はぁ、煌姫さま、ですか・・・」

「そう。ほら、あたしの記憶が戻ったのって煌姫のお蔭でしょう?それで急速に仲良くなって、そしたら、煌姫に『友情の証に』なんて言われちゃってねぇ」

「まぁ」

「あたしも誰にも言ってなかったんだけどさ、それをどうやら忘れてきちゃったみたいなの。せっかくの友情の証なのに、そのままにしとくわけにもいかないじゃない?」

「それはもちろんでございますわ。あの煌姫さまが姫さまに扇を贈っていたなんて、にわかには信じがたいお話ですが、でも、そういう事なら小萩もむやみに後宮行きを反対するわけにも行きませんわね」

にわかには信じがたいも何も、まったくの作り話なんだけど、でも、あたしは大きく頷いた。

「と言うわけで、明日には内緒で後宮に行くから、そのつもりでね」

小萩は頷き、お衣裳を整えるべく、慌ただしく部屋を出て行った。



*******



七月のじりじりと照り付ける陽射しが、承香殿の正殿に差し込んでいる。

慣れない正装で暑くて仕方ないんだけど、でも、まさか内裏で、しかも女御さまの御前で楽な袿姿でくつろぐわけにも行かなくて、あたしはそっと懐紙で額の汗を拭った。

もうじき女御さまがいらっしゃるはず。

・・と思っていたら、御簾の向こうで人の気配があり

「瑠璃さま」

涼やかでお優しい女御さまの声が聞こえてきた。

「良く来てくださいましたね。扇は・・・預かっておりますよ」

どこか笑いを含んだ口調で、どうやら女御さまも回りの女官に「嘘」をつかれているみたい。

「ありがとうございます。大切な扇なので、その・・・助かりましたわ。あたしったらそそっかしくって」

話を合わせると、女御さまは小さく笑われ

「おまえたちはもうお退がり。瑠璃さま、こちらへいらっしゃいな」

女官たちが下がったのを見届けると、あたしはするりと簾中に収まった。

「お元気そうね、瑠璃さま」

「はい、女御さまも」

「さっき、高彬が来ましたよ」

「え」

「ふふふ。大丈夫、ただの挨拶よ。たまには顔を見せにいらっしゃいとわたくしがしつこく言っているの。でないと平気で数か月も来ないのですもの。他の公達は好んでここ後宮に来ると言うのに、本当におかしな子」

「・・・・・」

あたしは小さく息を吸った。

この流れだと聞きやすいんじゃないかしら?

「あのぅ、時に女御さま。ちょっとお訊ねしたいことがあるのですが・・・」

「何ですの、瑠璃姫」

「この間、あたしが後宮に来た時、帝がおいでになられましたでしょう?」

「えぇ」

「その時に一緒に来ていた公達なんですけど」

「・・・えぇ、数人いらしていましたね」

「そのぅ、ズバリお聞きしますけど、左大弁ってどんな方ですの?」

「まぁ!瑠璃姫」

女御さまは驚かれたように目を開かれた。





<第二十三話に続く>


(←お礼画像&SS付きです)

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