***第二十七話 初恋のときめき、再び<Part2>***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』




          注)このお話は連続ものです。
            カテゴリー「二次小説」よりお入りいただき
            第一話からお読みくださいませ。



          ***********************************************




*** 第二十七話 初恋のときめき、再び<Part?>***






「瑠璃さん、この際だから言わせてもらうけどさ・・・」

高彬は言葉を続けた。

「瑠璃さんは少し行動に気を付けた方がいいよ。瑠璃さんは前後の見境なく突っ走って突飛なことをするところがあるからね。今までも瑠璃さんはいろんなことをしているんだよ。お忍びをしたり、ひょっこり右大臣邸に現れたり」

「・・・・」

「それも瑠璃さんらしいな、と思ってぼくも何も言わなかったんだけど、こんな風に命の危険にさらされるようなことがあったとなると、そうも言ってられなくなる。わかるね?」

「う、うん・・・。あの、高彬・・・」

「なんだい」

「ひ、単を着てもいいかしら?」

口ごもりつつ言うと、さすがに高彬も「あ・・」と言って赤くなり、こほんと咳払いをして着せてくれた。

それでも着せ終わると

「そもそも貴族の姫がひとりで山道を歩くということはおかしなことだよ。違う?」

厳めしい顔で言い募ってくる。

「違わない・・・」

「だろ。もうひとりでふらふらと出歩くようなことをしてはだめだ。わかったね」

「でも、高彬・・・・」

「でも、じゃないだろ。瑠璃さんは言い出したら聞かないところがある。童の頃からそうだ。小萩や家の者が言っても、おそらく聞かないんだと思う。そこは瑠璃さんのいけないところだ」

「・・・・・」

「今回のことで、どれだけ内大臣さまや母君さまがお心を痛めていらっしゃるか・・・・。姫らしくなれ、とか、そういうことを言うつもりはないけど、でも、これからは少し気を付けなければいけないよ。わかったね」

「う、うん・・・、わかったわ」

気迫に押されて思わずそう返事をすると、高彬は満足そうに頷いて、ようやく笑顔を見せた。

笑顔を見せたのはいいんだけど・・・

あーあ、すっかり甘いムードがなくなっちゃったわ。

高彬があたしの身を案じるあまりに、言ってるってことはわかるんだけど。

どうして、このタイミングでお説教なのかしら。

かと言って「さっきの続きはどうなったの」と聞くのもはしたないし・・。

そういえば、自分のこと、朴念仁だとか何とか言ってなかったっけ。

肩をむき出しにした女を前にお説教だもの。確かに、これじゃあ・・・・

あたしは気付かれないように小さくため息をついた。





         *************************************





翌日、朝の支度を済ませた高彬が、あたしの部屋にやってきた。

昨日のことがあり、つんとすましていると、高彬がにじり寄ってきた。

「なによ」

「怒ってる?」

「別に」

「えぇっとさ、その・・・昨日はすまなかったね。瑠璃さんの怪我を見て、その・・・度を失ってしまったんだ」

「・・・・」

「あんなところで、口うるさいこと言ってしまって・・・・ほんと、面目ないよ」

「・・・・」

「せっかく瑠璃さんがソノ気になってくれてたのに・・・」

「なってないわよ!ソノ気になんて。変なこと言わないで。ソノ気になってたのは、高彬の方でしょ」

「確かにぼくは、すっかりソノ気になってたけど・・・」

ぼそぼそと言ったかと思うと、ふと顔をあげ

「ところで、瑠璃さん。ソノ気ってどの気?」

「・・・・!・・・・だ、だから、つまり・・・」

「つまり?」

「ソノ気は・・・・・ソノ気よ」

「だから、どんな気?」

「だから・・・」

口を開きかけて、高彬と目が合い、ふたりして吹きだしちゃった。

そのまま軽く接吻をして、唇を離してにっこりとする。

高彬に頬を包まれ、今度は長い接吻をしていると

「・・・だめだ。これ以上してたら、ソノ気になってしまう」

真面目な顔で言う高彬がおかしくて、また笑ってしまう。

「高彬って・・・本当に真面目なのね」

思わず言うと、高彬は頷き

「うん。だから、真面目に接吻をして・・・」

言いながら軽く唇を合わせ

「真面目にソノ気になる」

あたしを抱き寄せた。

「真面目って大変なのね」

高彬の匂いに包まれ、笑いながらそう言うと

「瑠璃さんの怪我がすっかり治ったら、その時は・・・真面目に瑠璃さんを押し倒すから」

聞こえなかった振りをして黙っていると

「こら、瑠璃さん。聞こえてるんだろ。真面目に返事しないか」

わざと怒った風な声で言ってきた。

「・・・うん」

小さく頷くと、高彬の腕にさらに力が加わった。




          
           **************************************





「高彬さまからのお文が届きましたわ」

衣擦れの音がしたと思ったら、小萩が嬉しそうに部屋に入ってきた。

高彬が京に戻ってから、はや一月が過ぎている。

桜はすっかり散り、日に日に日射しは強くなり、少しずつだけど確実に季節は移っていた。

あたしの怪我は大分、良くなったのだけど、記憶の方は戻る気配がさっぱりなかった。

どうにかしたい気持ちはあるのだけど、いかんせん、こればかりはどうにもならない。

でも、ありがたいことに、あたしは以前のままの人たちに囲まれて過ごせているし、生活に困ることもないわけで。

もし記憶が戻らなくても、それはそれでしょうがないかな、と言う気もするのよね。

そりゃあ、思い出が全部なくなってしまうのは哀しい。でも、女御さまにも言ったけど、また一から作っていけばいいんだしさ。

女御さまかぁ。

ふと、女御さまを思い出した。

さすが気品があり、お美しい方だったわ。

後宮に遊びにいらっっしゃい、なんて言って下さったけど、ほんとかしら?

高彬には、行かないようにと釘をさされたけど、でも、正直、興味がある。

高彬の言う通り、後宮なんて簡単に行けるとこではないんだし、でも、だからこそ、こういうチャンスを逃したくないって気もする。

いくらあたしが内大臣家の姫だっていっても、おいそれと行ける所じゃないんだし・・・。

一回くらい、行ってみてもいいんじゃないかしら?

「ねぇ、小萩。おまえ、後宮に行くこと、どう思う?」

「まぁ、姫さま。高彬さまに行ってはいけないときつく言われておりますでしょう?姫さまが後宮になど行かれたら、小萩がお叱りを受けてしまいますわ」

文をあたしに手渡しながら、小萩はびっくりしたように言った。

そうなのだ。

高彬は京に戻る日、小萩を呼びつけて

「小萩。今までのように瑠璃さんを自由にさせてはいけないよ。ほっとくと瑠璃さんは何をするかわからないからね。後宮などもってのほかだ。当分、お忍びも禁止だし、外に出る時は必ず、お付きの者を付けるんだ。頼んだよ、小萩」

と、くどくどとしつこいくらいに言っていたのだ。

「真面目過ぎるのよぉ・・・高彬は」

「何をおっしゃりますの。すべて姫さまのことを大事に思ってのお言葉ではありませんか。今まで、姫さまは小萩がお止めするのも聞かずに、数々の突飛なことをなさっているのですもの。こんな大怪我をなさったのは、姫さまがこれからはお慎み遊ばされて過ごすようにとの、御仏の思し召しに違いありませんわ」

まるで真面目でお堅い高彬が乗り移ったかのように、言い募ってくる。

怪我をしたことを、御仏の思し召しって言われてもねぇ。

「高彬さまは本当に姫さまのことを大切に思って下さっているのだと、今回のことで、小萩はしみじみと思いましたわ。京に戻られてからも、まめまめしくお文を下さって。こんなにお優しい殿方は、京中探しても、きっとどこにもいらっしゃいませんわ」

小萩は感じ入るように言う。

「うん・・・」

それはそう思うので、あたしも素直に頷いちゃった。

「ですから、姫さま。高彬さまのお言い付けを守って、お過ごし下さいませ。後宮などには決して行かれてはなりませんわ。さ、姫さま。もうじき京からの迎えの者が参りますわ。そろそろご準備遊ばされませんと」

「うん、わかったわ」

返事をすると、小萩は退っていった。

そう。体調も良くなったので、あたしは京に帰ることになったのだ。

記憶が戻らないとはいえ、いつまでも吉野にいるわけにはいかないし。

高彬からのお文には、仕事の都合で迎えに行けなくてごめんなさいと言う謝罪と、道中の無事を願う言葉がしたためられていた。

『瑠璃さんの怪我がすっかり治ったら、その時は・・・真面目に瑠璃さんを押し倒すから』

ふいに高彬の言葉を思い出し、あたしはひとりで赤くなってしまったのだった・・・。


 
                  <第二十八話に続く>

〜あとがき〜

こんにちは!瑞月です。

積極的な高彬をお楽しみ頂いている方が案外多くて、嬉しい限りです(笑)

でも、そこはやっぱり堅物の高彬。

せっかくのチャンスを自分でつぶしてしまいました。

肩をむき出しにした瑠璃を前に、説教する高彬・・・

どこまで朴念仁なんでしょう。

「高彬。あんた、このままだと、一生、瑠璃を抱けないよ」

とでも、言ってやりたいもんですね(笑)

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コメントの投稿

Secre

本当に高彬ったら…^^;

連日の更新、ありがとうございます!

高彬ったら、何やってるんでしょう。
自分でチャンスをつぶしてまで、
言わずにはおられなかったんでしょうね。
今までの積もり積もった思いがなぜこのタイミングに…^^;
記憶をなくした瑠璃さんが、ちょっとしおらしいから、余計に止まんなかったんでしょうね。

まだまだ道のりは長そうですね(笑)

自分でやっちゃいましたね~♪

怪我を見てそのままにする高彬ではないですもんね♪
でも何かこの展開に笑ってしまい☆
でも許せちゃいます~♪
それに先が読めなくて凄く楽しいです

こっちは兵庫県で台風来るんですが
家の中の子供たちの声のほうがでかく・・・
自分の時間浸っときます♪

>Neneさま

ほんと、高彬ったら・・・(笑)
でも、高彬ってそういうとこありそうですよねぇ。
どんなに積極的でも朴念仁な高彬デス。

>masaさま

台風、どうですか?
こちら(東京)は、風はすごく強いのですが、雨は降っていません。

高彬、やっぱりまじめで堅物なんですよね。
今頃、すごく後悔してると思いますけど(笑)
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Author:瑞月
瑞月(みずき)です。

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