<原作オマージュ>8~原作一巻より 

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』




注)このお話は原作のあるシーンを高彬目線で書いていますのでネタバレとなっています。
原作未読の方はご注意ください。
          
          




***<原作オマージュ>8~原作一巻より***








翌朝、雨の音で目が覚めた。

梅雨期と言う事もあって、ここのところぐずついた空模様が続いているのだ。

ぼんやりと寝床で雨音を聞いていたぼくは、あることに気が付いて(あっ)と声を上げそうになった。

ずっと参内してなかったからうっかりしていたけれど、そういえばもう五月だ。

五月と言えば忌み月で、それにぼくは潔斎中の身でもある。

こんな時にたとえ非公式とは言え、大納言さまをお訪ねしていいものだろうか・・・。

ご不興は買いたくないしなぁ。

少し考えて、やはりご訪問は取りやめておくことにした。

二の姫との縁談の話はもうずいぶん前から上がっていたことなのだ。

昨夜、お祖母さまに言われたとは言え、今すぐどうのと言う話じゃないだろうし、大納言さまにご相談するのは、もう少し自分で善後策を考えてからにしよう。

そう思って寝返りを打ったところで、部屋の外からパタパタと言う足音が聞こえ

「高彬さま。お目覚めでございますか?」

切羽詰まったような大江の声がした。

「何」

「それが、北の方さまが高彬さまにお話があるとのことで・・」

「母上が?・・わかった。後程、伺うと伝えてくれ」

「いえ、それが、今すぐ北の方さまがこちらにお見えになるとのことで・・・」

「・・・・」

なんだろう。

すごく嫌な予感がする。



*********



「高彬さん。この母は心を決めました。兵部卿宮家の二の姫とのご縁談、たとえ高彬さんが気が乗らないと言われても、このお話、進めることに致します」

大江と入れ違いのように現れた母上は、部屋に入ってくるなり、開口一番にそう言った。

「母上!」

「大尼君さまのご遺言なのですよ」

「遺言って・・・まだ亡くなってはいませんよ」

ぎょっとして言うと

「二の姫ならば正室として、わたくしの高彬さんにふさわしい姫君です。兵部卿宮家でもこの話に乗り気になっているのです。まごまごしていたら、他の婿君をお迎えしてしまうかもしれないのですよ」

「構いませんよ」

いや、むしろ願ったり叶ったりだ。ぜひ、そうしてもらいたいと思う。

「二の姫にはぜひ他の方を婿として選んで欲しいと思って・・・」

「いいですわね、高彬さん。二の姫との縁談、この母が全て取り仕切りますからね」

「母上!」

ぼくの言葉なんか耳に入っていないのか、母上はそう言い切ると毅然と立ち上がり、裳裾を翻して出て行ってしまった。

あまりと言えばあまりの話の展開にしばらく思考が停止してしまっていたけれど、ふいに我に返り、部屋の中をウロウロしてしまう。

どうしよう。

昨夜、少し想像してたことが本当に起きてしまった・・・

あの母上の勢いだったら、すぐにでも兵部卿宮家に連絡を付けてしまうかも知れない。

「・・・・」

やっぱり大納言さまに相談しよう。

もう一刻の猶予もないんだ。

忌み月だ、潔斎だ、などと悠長なことを言ってる場合じゃない。

手早く外出用の直衣に着替えると、取るものも取りあえず三条邸に向かった。



*********



早馬を走らせ、先触れを出す。

せめてもの礼は尽くしておきたい。

降り続く雨でぬかるんだ道に、思うように車が進まず気持ちだけが上滑りしてしまう。

三条邸への道のりがこんなに遠く感じたのは初めてかも知れない。

いっそ車を降りて走って行こうか・・・

そんな風に本気で思い始めた頃、車はようやく三条邸の門をくぐった。

薄く開けた物見窓から、融と小萩の姿が見える。

先触れを受け、出迎えてくれていたようだった。

「やぁ、高彬。久しぶりだね、最近、参内もしてなかったから心配しちゃったよ」

ニコニコと話しながら近づいてきた融はぼくの顔を見ると、ふいに表情を曇らせた。

「どうしたの、高彬。何か顔色が・・・」

「まずいことになった。進退極まった・・・」

「え?何・・・」

「・・・小萩」

融に説明している時間も惜しく思われ、小萩に声を掛ける。

「いらっしゃませ、高彬さま。姫さまのお部屋にご案内いたしますわ」

「今日は瑠璃さんじゃないんだ」

「・・・・え」

「いや、瑠璃さんなんだけど、瑠璃さんじゃないんだ」

「はぁ。姫さまだけど、姫さまじゃない・・・」

怪訝そうに首を傾げる小萩に向かい

「実は今日は、大納言さまに内々で急ぎのご相談したいことがあってお伺いしたんだ。大納言さまにお目通りは叶うだろうか」

そう言うと、何か感ずることがあったのか小萩は神妙な顔で頷き、そのまま足早に渡殿を歩いていった。







<原作オマージュ9 へ続く>


(←お礼画像&SS付きです)

コメントの投稿

Secre

非公開さま(Uさま)

Uさん、こんにちは。
そうですよね、高彬は長雨を「鬱陶しい」って言っちゃうんですよね・・。
思えば、この辺りから上手く行かないムードは漂っていましたよねぇ。
そりゃいきなり「初夜」ですものね(笑)
初心者の高彬にはかなりハードル高いですよね。
「ウブ」な2人、本当に可愛いですよね(≧▽≦)

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんにちは。

はい、次回はついに「男3人での密談」です!
いったい瑠璃パパはどんな風に初夜へと導いていったのか(笑)
ほんと、人選ミス感は否めない高彬ですが、でも、それにすっかり乗ってる瑠璃パパもすごいもんですよね。
肝心の瑠璃を抜きにして大切なことが決まっている・・・!
確かに枕箱のひとつやふたつ投げられても仕方ないと思えてきました(笑)

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

瑞月

Author:瑞月
瑞月(みずき)です。

ランキングバナー

にほんブログ村

ランキングに参加しています。
楽しんでいただけましたら
クリックで応援をお願い致します。
1日1クリック有効です。
初めにお読みください
**当ブログの簡単な説明です**
当ブログは「なんて素敵にジャパネスク」の二次小説を掲載しております。 二次小説と言う言葉を知らない方や苦手な方は閲覧ご注意ください。 また読後のクレームはお受けできません。 「ごあいさつ<最初にお読みください>」も合わせてご一読下さい。
カテゴリ
別館
乳姉妹ブログ
日記ブログ
掲示板
なんて素敵にサイト様 
最新記事
ご訪問ありがとう(H23.11.28-)
**オンラインカウンター**
現在の閲覧者数:
コメントありがとうございます
お礼SSや「他己紹介」があります。
web拍手 by FC2
** あれこれ投票所 **
お好きなジャンルをお選びください。 投票は何度でも可能です。
*** あれこれ投票所2 ***
メールフォーム(ご用の方はこちらから)

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
月別アーカイブ