***短編***  ~Official<2> ~ ***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)ミニ連載中のお話です。お仕事モードの高彬。数回で完結予定です。
               
        






***短編*** ~ Official<2> ~ ***







「いってらっしゃいませ。若君」

政文を初めとする数人の従者に見送られ門をくぐり大内裏に入る。

車はこの後、官人用の車寄せへと向かい、退出までそこで待機することとなる。

宿直だったり、最初から遅くなることが判っている時は、いったん戻らせることもあるけれど、今日はそのどちらでもなく、おそらく夕刻には上がれるはずで、その後は三条邸に行くことになっている。

右近衛府まで歩いて行く途中、何人かの顔見知りの官人とすれ違う。

この時間は皆、足早にそれぞれの殿舎に向かっているため、よほどのことがない限り、立ち止まって話しこんだりはしない。

目礼だけで済ませる者もいるし、会釈が必要な相手もいる。

「よぅ」なん、気軽に片手を上げて、それで済む奴もいる。

もちろん最敬礼が必要な相手もいるけれど、案外、その身分の方はこの時間にはまだ参内しないものなのだ。

右近衛府に入り渡殿を歩いて行くと、向こうから藤原忠行がやってきて、ぼくの顔を見ると足早に近づいてきて、ぎこちなく頭を下げた。

「お、おはようございます、少将どの」

忠行の役職は将監で、ぼくの直属の部下に当たる人物である。

この春の叙位で従五位下となり将監になったばかりの新人将監で、確かぼくより歳は3つ上のはずだ。

官位と年齢が逆になるいわゆる「ねじれ現象」と言うのは宮廷ではよくあることで、ぼくは気しないようにしている。

いや、気にしていたらやっていけないのだ。

ぼくにだって、いつかは年下の上司が出来るかも知れず、まぁ、仕事と言うのはそう言うものだろうと割り切っている。

「何かあったのか?」

忠行の様子がおかしかったので聞いてみると

「はい。実は・・・その・・・」

と何とも歯切れの悪い言葉が返ってきた。

「なんだ、どうした」

「いえ、それが、その・・」

しどろもどろになっていて、とてものこと情報が伝わってこない。

どうやら、上司であるぼくの前で緊張しているらしいと判り

「とにかく落ち着け。いったん言う事を頭でまとめろ」

肩に手を掛けると、忠行はひとつ息を整えた。

そうして

「昨夜、まとめた書類が今朝来たら、紛失しておりました」

「書類が?」

確かに昨日、将曹たちに提出させた書類を忠行にまとめさせている。

武官と言えども、そこは有職故実の宮廷社会、全てのことを書類として残しているのだ。

その書類が紛失したと言うのだろうか?

「はい、でもすぐに書類は出てきたのです」

「・・・・なら良かったじゃないか」

「ですが、その・・・出てきたところが、左近衛府でして・・」

「左近衛府?」

ばくは眉をひそめた。

左近衛府と言ったら大内裏内では正反対の位置にある殿舎である。

「どうしてそんなところから出てきたんだ」

「申し訳ございません」

忠行は平伏せんばかりの勢いで頭を下げた。

「おい待てよ。何もおまえを責めているわけじゃない。どうして右近衛府の書類が、左近衛府から出てきたのかと聞いているんだ」

「・・・判りません」

忠行は首を振りながら言い、そうしてどこか思案気な顔をして見せた。

何かを言おうかどうしようか迷っているようにも見える。

「何だ、気になることがあるなら言ってみろ」

促すと

「実は、衛士たちの間では祟りなんじゃないかと、もっぱらの噂でして・・」

「祟り・・・?」

内心、舌打ちをする。まだ言っているのか。

「祟りって、例のアレか」

「はい」

忠行は真面目な顔で頷き、ぼくは(うーむ)と腕組みをした。






<続く>


(←お礼画像&SS付きです)

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