***第二十五話 予期せぬ訪問者<Part2>

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』




          注)このお話は連続ものです。
            カテゴリー「二次小説」よりお入りいただき
            第一話からお読みくださいませ。



          ***********************************************




*** 第二十五話 予期せぬ訪問者<Part?> ***





女御さまは、あたしの手を取り微笑まれたかと思うと

「高彬、あなた、良い方と巡り合えましたね」

高彬に向かって言った。

高彬はうっすらと赤くなったものの、まだ怒りがおさまらないのか

「ですが、姉上。お忍びなどということを・・・」

言いかける高彬の声を無視して女御さまは、ふと心配そうに

「瑠璃さまのご記憶が失いということは、あなた方の結婚は・・・?」

とつぶやかれた。

あたしと高彬は目が合い、ふたりして赤くなってしまった。

「あ、あの・・・女御さま・・。あ、あたしたち、やっぱり結婚するのですわ。その・・・記憶が失くなっても、・・・結婚の約束をしたのですわ」

しどろもどろになって説明すると、女御さまはぱっと笑まれ、そうしてはらりと扇を開かれると

「おほほほ。高彬も成長したのですね。お堅いおまえが瑠璃さまをしっかり口説いているというわけですのね」

楽しそうにおっしゃる。

「姉上!」

高彬は真っ赤になって言ったかと思うと、そっぽをむいてしまった。

女御さまは

「瑠璃さま、京に戻られたら、ぜひ後宮にも遊びに来て下さいな。後宮は毎日過ごすには退屈なところですが、時々遊びに来るには楽しいところですのよ」

あたしの手を取りながらおっしゃった。

「姉上。畏れ多くも帝のいらっしゃる後宮をそのように・・・。しかも後宮は物見遊山で遊びに行くようなところではありませんよ」

「あら、主上もお喜びになられると思いますわ。だって瑠璃さまは東宮の恩人ですもの」

高彬がぎょっとして

「瑠璃さんを、一貴族の姫を今上に会わせるなどと・・・そんな、姉上・・・」

と呻くと、女御は

「高彬、おまえは堅苦しくていけません。右大臣家の女房に紛れ込んで、後宮に上がることなどたやすいことではありませんか。それとも、なんですの。瑠璃さまを外の風にも当てたくないほど、熱愛していらっしゃるのかしら」

「・・・・!」

絶句する高彬をよそに、女御さまはあたしの手を握り

「ね、瑠璃さま。ぜひ、遊びにいらしてね」

と何度も念を押されて帰って行かれたのだった。

高彬はしばらくはぐったりとして

「まったく姉上は・・」

としきりにぼやいていたのだけど、女御さまがあたしを気に入ってくださったことを喜んでいる風でもあった。

それでも

「瑠璃さん、後宮に遊びに行くなどしないでおくれよ」

としっかり釘をさしてくる。

「なぜ」

「なぜって・・・・さっきも言ったけど、後宮は気軽に遊びに行くようなところではないんだよ。まして今上にお会いするなど・・・」

その顔はこころなしか青ざめている。

「・・・・わかったわ。高彬がだめと言うなら行かないわ」

返事をすると、高彬はびっくりしたようにあたしを見た。

あんまりまじまじと見るので

「え?なに」

見返すと

「いや・・・ほんとうに、こんなに聞きわけの良い瑠璃さんは初めてだよ」

しみじみと言った。




 
         *****************************************





あたしはひとりになった部屋で高彬のことをなんとなく考えていた。

さっき女御さまにも堅苦しいなんて言われてたし、そういえば自分でも堅物なんて言ってたけど、高彬って仕事に関してはかなり真面目で堅そうな人ではありそうね。

でも、そう言う人がふたりっきりのときには優しくしてくれたり、甘い言葉を言ってくれたり、それから、せ、接吻をしてきたり・・・って言うのは、なんだか悪くない気持ちだわ。

記憶を失う前のあたしも、こんな気持ちを味わっていたのかしら?

あの人と・・・高彬と結婚かぁ。

二日前に会ったばかりの人と結婚って言うのも妙なもんだけど、不思議と違和感はない。

『知りたい?口で説明するより、手っ取り早い方法があるんだけど』

ふいに昨日の野原での高彬の言葉がよみがえってきて、あたしは慌てふためいた。

あ、あ、あたしったら、何を思い出しているのかしら。

まるで、まるで、それを待ち望んでいるみたいだわ。

いくら婚約者だとはいえ、今のあたしにとっては二日前に会ったばかりの人なのに。

そんな殿方に、いきなり身をまかせるなんて、いけないわー。ふしだらよー。

「どうしたの、瑠璃さん。顔が赤いよ。また熱でも出たんじゃないの」

気が付くと、隣に高彬がいて、あたしは飛びのいてしまった。

「・・・びっくりしたわ。いつからいたの」

「たった今だよ」

高彬は居ずまいを正してあたしの前に座ると

「いろいろ考えたんだけど、やはり姉上は少しご軽率だったと思う。仮にも東宮さまのご生母であられるのだから、ご自覚を持たれてお忍びなどと言う軽々しい行動はお慎むべきだと思う。我々、貴族が束ねとなってお護りしているのは、何も帝だけではないんだ。それを姉上はご存じなのだろうか・・・」

「・・・・・・・」

あたしは小さくため息をついた。

二日前、伊勢から話を聞いてから、高彬はずっとこんな調子なのだ。

すっかりお仕事モードになっちゃったみたいで、甘やかなムードがなくなっちゃった。

頼もしいと言えば頼もしいけど、でも、やっぱり少しつまんない。

だって、女の子はいつだって、好きな人に自分のことを考えてもらいたいものなんだから。

しかも高彬は、明日には京に帰ってしまうというのに。

こんな気持ちを前にも味わったような気がするわ・・・・。

「・・・瑠璃さん。今日も外に出てみるかい?」

あたしがつまらなさそうにしているのを察したのか、高彬が声の調子を変えて言ってきた。

「いいわよ。今日は、別に」

本当は嬉しいのに、そうしたいのに、気が付いたらそんなことを言っていた。

あー、素直じゃないなー、あたしも。

記憶を失う前のあたしははねっかえりだったと、高彬も小萩も口をそろえて言うし、案外、あたしって気が強かったのかもしれないわ。

記憶があろうがなかろうが、人の本質なんて、そう簡単に変わるものじゃないのね。

「何、怒ってるの」

高彬が笑いながら聞いてきた。

「怒ってないわ」

「瑠璃さんは怒ると、頬をふくらませるからね。すぐわかる」

そう言って、あたしの頬を両手ではさんだ。

「いやよ。やめて」

手を払いのけてやると、高彬はあたしの顔を覗き込みながら

「後宮に行くなと言ったことを怒ってるの?」

「そんなんじゃないわ」

「じゃあ、何?」

「だから、怒ってなんかないってば」

顔をそむけて言ったとたん、ふいに涙が溢れてしまった。

やだ、泣くなんて、ばかみたい。

泣いていることを悟られないように、さらに顔をそむけると、あたしの異変に気が付いた高彬が回り込んできた。

「瑠璃さん・・・」

「やだ、あっち行っててよ」

涙を拭いながら頭を振ると、高彬が抱きしめてきた。

「いやよ、離して」

高彬の胸を押したのだけど、もっと強い力で抱きすくめられてしまった。

「・・・瑠璃さん。泣かないで」

「泣いてなんかないわよ。これは・・・」

「あくび?」

「え?」

「前もあったんだ。ぼくが仕事人間過ぎるって、瑠璃さんを怒らせちゃったことが。その時、泣いてる瑠璃さんに『泣かないで』って言ったら『これはあくびよ』って言われたんだ。『あたしが高彬のことで泣くわけないでしょ』って」

「・・・・・」

「今も、ぼくが昨日から宮廷の話ばかりするのが嫌だったんだろう?」

「・・・・・」

「ごめんよ。せっかく瑠璃さんと吉野にいるのにね。時々、自分でも自分の堅物ぶりがいやになるよ」

そう言う高彬は、なんだか本当に悔しそうだった。

「あ、あたしの方こそ、ごめんなさい。いつも我儘ばっかり言ってたみたいで・・・。今もだけど・・」

高彬は小さく笑うと、涙の残るあたしの頬に軽く接吻をした。

左の頬、右の頬、まぶた・・・と、顔中に次々と接吻をしていく。

「くすぐったいわ・・」

恥ずかしさもあって身をよじると、高彬は少しだけ身体の向きを変え、深く長い接吻をしてきたのだった・・・。




                 <第二十六話へ続く>


〜あとがき〜

瑠璃の涙&部屋にふたりっきり&顔中にチュー&恥ずかしそうに「くすぐったいわ・・・」

高彬、たまんないでしょうねぇ・・・(笑)

読んでいただきありがとうございました。

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Secre

むふふ

私もたまりませんよ~プププ
今日から1人学校でチビが残ってるのですが
一人にんまり読んでるのを ??な顔で見られました♪
堅物といじっぱりな2人なんでもどかしいですが
ちょっと違う2人本当に新鮮ですね☆

>むふふ

堅物な高彬も、いじっぱりな瑠璃も、可愛いですよねぇ。

>一人にんまり読んでるのを ??な顔で見られました♪

どうかおチビちゃんに不審がられないように・・・(笑)

はじめまして

はじめまして!
今日たまたまお邪魔して、一気読みしてしまいました。

ジャパネスク、懐かしい~
昔、本当に本当に大好きでした。
こちらで高彬や瑠璃姫とまた会えて、うれしいです。

積極的な高彬も素敵(笑)
原作では少ししか無かったラブラブを
たくさん読ませていただけて、幸せです。

続きを楽しみにお待ちしてます!

>はじめまして

コメントありがとうございます!

一気読み、大変じゃなかったですか・・?
長くなってしまってすみません。

積極的な高彬をお楽しみいただけたようで(笑)私も嬉しいです。
これからもよろしくお願いします♪
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瑞月

Author:瑞月
瑞月(みずき)です。

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