拍手お礼SS<13>

*** 拍手お礼SSの寄せ集めです ***





***ふたりの時間 ***




「ねぇ、ちょっと、高彬。暑いんだけど」

「そう?ぼくは涼しいけど」

「もう少し離れてくれない?」

「なんだよ、瑠璃さん。冬はあったかい、あったかいってくっついてくるくせに。夏になったら途端に邪険にするなんてひどいな」

「冬には温石が欲しくなる、夏には削り氷が食べたくなる。それと同じよ」

「ぼくは瑠璃さんにとって、温石や削り氷程度のものなのか・・」

「ものなのか、って、そんな大げさな」

「・・・・・」

「・・・高彬?」

「・・・・・」

「ねぇ、まさか本気で怒ってるの?冗談に決まってるじゃない。ねえってば、こっち向いてよ」

「・・・・・」

「あんた・・・!まさか、泣いてるの?や、やだ。もうっ、ウソに決まってるじゃない。高彬ってば!ねぇ。謝るから。あたしが悪かったわ。こっち向いてよ。・・・・・・・きゃっ!」

「あはは、瑠璃さん。引っ掛かったね」

「ずるいわ。騙すなんて」

「瑠璃さんがぼくを邪険にするから、その仕返しだよ」

「邪険になんかしてないわよ。暑かったから少し離れて欲しいなぁ、と思っただけよ」

「いっそもっと暑いことしたらいいかもね」

「は?」

「汗をかいたら逆にさっぱりする」

「・・・え?・・・えぇ?ちょ、ちょっと、高彬」

「・・・・・」

「高彬ってば!あたしは今、暑くてとてもそんな気分には・・・」

「ちょっと黙ってて」

「だから、そんな気分じゃ・・」

「すぐになるから」

「何、勝手なこと・・」

「しっ」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・どう?」

「・・・・・」

「なっただろ?」

「・・・・・」









*** <現代編>Pretty Little Baby! ***





「またね!」

「お休み~」

「また明日~」

バイバイと手を振り合い、店の前で皆と別れる。

一人になったところで慌てて腕時計を見ると、時計の針はとうに12時を回っている。

苦りきった高彬の顔が浮かび、あたしは駅に向かい慌てて走り出した。

高彬、怒ってるだろうなぁ・・・

別に高彬があたしの友だち付き合いに口出しをするとかそういうことではないんだけど、だけどタイミングが悪かった。

今週に入って3日続けて帰りが遅いのよ・・・

何でだか友だちからの「食事しない?」の誘いが重なっちゃってさ。

それでも一昨日、昨日は何とか12時前には家に帰れてたんだけど、今日は午前様だものねぇ。

苦りきった高彬の顔がチラつきつつ、地下鉄の階段を一気に駆け下り改札を走り抜ける。

「次が終電ですよ!」

駅員に声を掛けられ、急いでホームに出ると、ちょうど電車が止まっていて発車ベルが鳴り響いていた。

慌てて乗り込もうとすると、なんと目の前でドアが閉じてしまったではないの!

───もうっ!

「こら──!止まりなさ───い!」

腹立ち紛れに大声で叫んでみても電車が止まるはずもなく、あたしはとぼとぼと階段を上り地上に出た。

仕方ない、タクシーで帰るしかないわね。

高彬には電車で帰って来たとウソをついて・・・

タクシーを拾おうと道路端に立って車の往来を見ていると、ふいに一台の車が近づいてきて止まった。

「高彬!」

見覚えのある車だなと思ったのも通りで、何てことはない運転席には高彬が座っている。

すぐに助手席のドアが内側から開いた。

「どうして、ここが・・・」

「名関が連絡くれたんだよ。きっと終電出た後だろうから迎えに行ってやれって」

「亜実が」

「いいから早く乗って。・・・ところで瑠璃さん、まさかと思うけど、タクシーを止めようとしてたわけじゃないよね?」

「・・・・・」

うーん、やっぱり、ばれてたのね。

高彬はあたしが夜遅くに一人でタクシーに乗ることをひどく嫌がる。

危ないだろうって。

『危なくなんかないわよ』『嫌、危ないだろ』で散々揉めて、根負けしてあたしが折れたってわけなんだけど。

ほんと、高彬って心配性よ。

過保護って言うかさ。

「瑠璃さん、いい加減、携帯持ってよ。連絡もなしに家で待つぼくの身にもなってくれよ」

「でも、ほら亜実が」

「いつまでも名関が中継所って言うのはおかしいだろ」

「それは、まぁ」

「電話くれれば迎えに行くことも出来るんだし」

「うん、まぁね。・・・でももしかして間違えて他の人に電話しちゃったりしてね。あはは」

「・・・・・」

丸っきりの冗談で言ったのに、笑うどころかジロリと睨まれて首をすくめる。

ま、三日連続で帰宅が遅くなった後に言う冗談じゃなかったのかも知れないけど。

それにしてもねぇ、あたしたちはもう名実ともに夫婦なんだし、もう少し信用してもらえないものかしら。

あたしってそんなに素行不良かしらね。

思いつくことと言ったら、時々、代田くんが家に電話してくるくらいなんだけど。

『元気?』とかそんな程度の話で、高彬が不機嫌になるから、あたしとしてはもう電話してきて欲しくないんだけどなぁ。

「眠かったら寝てていいよ」

あたしが黙り込んでいるのを何と思ったのか高彬が言い、そう言われて見ると何となく眠くなってきてしまった。

皆と飲んだカクテルのせいかも知れない。

「・・うん」

素直に頷きシートに更に身を沈め目を閉じると、高彬の手が伸びてあたしの片手を握ってきた。

お互いの指が落ち着く場所に握り直すと、一瞬、キュっと強く握られる。

「・・・・・」

あー、やっぱり落ち着くなぁ。

どんなに過保護で口うるさくても、あたしはやっぱり高彬がいい。

「迎えに来てもらいたいのは・・・高彬だけよ」

目を閉じたまま呟くと、またしても繋いだ手をキュっと強く握られたのだった。



***Fin ***


<現代編をご存知ない方のためのミニコーナー>

名関亜実→煌姫
代田くん→鷹男

瑠璃と高彬は現役大学生であり、かつ夫婦。
同じ高校の同級生だった二人は、
色々あった末に「名実ともに」夫婦となりました。







特別編「ジャパネスク・ブライダル」のおまけの話です。





「何だか、結婚した日のこと思い出すよね」

唇を離すと照れくさそうに高彬は笑った。

「うん」

頭につけたベールが恥ずかしい・・・

高彬は小首を傾げてじっとあたしを見ている。

そんなに見ないでよ。

ますます恥ずかしくなるじゃないの・・・

高彬の伸ばした手が、あたしの頬に触れた。

「寝所に・・行こうか?」

小さな声で聞かれ、コクンと頷く。

立ち上がると長いベールがあたしの身体を覆い、気が付いたらベールごと高彬に抱きしめられていた。

「ぼくだけの花嫁・・」

呟くように高彬が言い、嬉しくてあたしは言葉を失ってしまう。

返事の代わりに高彬をぎゅっと抱きしめる。

───その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?

神父さまの柔らかい声が聞こえた気がした。




~Fin~





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