社会人編<52>

「こういうこと、初めてなの!だから・・・・もっと優しくして」

そう言うと、ピタリと高彬の動きが止まった。
 





─Up to you !─side R <第52話>






「初めてって・・・瑠璃さん・・・」

そう言ったきり絶句し、瞬きもせずにあたしの顔を見下ろしている。

「そんなに・・・驚かなくてもいい・・・じゃない。あたし、ずっと女子校育ちだったから、そういうことに疎いって言うか遅れてるって言うか・・・」

高彬の驚きぶりがいたたまれなくて、腕を胸の前で交差させたままもごもごと言うと

「いや、ずいぶんと余裕があるように見えたから、てっきり、その・・・」

「みっともないじゃない。オロオロするなんて。ここは少し余裕あるとこ見せとかなきゃ女の沽券に関わると思って・・・」

「女の沽券・・・・・」

高彬は呆然と呟くと、やがてやれやれと言うようにため息をついた。

「どうしてそんなことで見栄張るんだよ、瑠璃さんは」

「だから女の沽券に」

「沽券はいいから」

「・・・馬鹿にされると思ったんだもの。あんたより年上なのに・・」

「するわけないだろ。むしろ嬉しいさ。初めてって知らされて、嫌がるオトコなんているわけないじゃないか」

「そ、そう言うもんなの?初めてだと重い、とか、付きまとわされそうで警戒する、とか、男の人ってそう言う風に思うもんじゃないの?」

そう言うと高彬は

「一体、瑠璃さんは男に対してどんな偏見を持ってるんだよ」

呆れたように頭を振り、しばらくまじまじとあたしの顔を見ていたかと思ったら、ふいに表情を和らげた。

「ごめん。色々、びっくりした?」

頷くと、高彬は小さく笑い、あたしの頬に手を添え

「部屋に入るところからやり直す?服もちゃんと着て」

小声で気遣うように聞いてくるので、思わず笑いが漏れてしまう。

「いいわよ。せっかくここまで来たんだから」

「ここまで、ね」

今度は高彬が笑いを漏らした。

その笑顔がだんだん近づいてきたと思ったらそっと唇が触れた。

そのまま額に、頬に、鼻の頭に、そしてまた唇に優しいキスを続ける。

高彬は上体を起こして服を脱いで上半身裸になると、半分脱げかけているあたしのブラウスの袖を抜き下着に手を添えた。

「いい?」

「・・・・」

小さく頷くと、高彬の手によって完全に下着が取られてしまい、あたしはため息とともに目を瞑った。

恥ずかしいと言う思いと、下着なんて本当にすぐに脱がされちゃうんだ・・と言う思いが交差する。

せっかく今日のために可愛い下着を選んだのになぁ・・・

キスをしながらも高彬の手が胸の膨らみを包み、さらにギュッと目を瞑る。

それなりの知識だってあるし、ドラマや映画でこういうシーン見たことある。

だけど──

見るのとやるのとじゃ大違いじゃないの───!

第一、どんな顔してたらいいのか判らない。

我を忘れるほど没頭出来ればそれでいいのかも知れないけど、まだそんな境地に辿り着けるはずもなく・・・

「・・・大丈夫?瑠璃さん」

ふいに聞かれ、あたしは慌ててコクコクと頷いた。

「大丈夫よ、あたしのことはお構いなく」

毅然と言うと

「お構いなくって・・・気になるよ」

高彬は苦笑し、そうしてキスをしようとするのだけど、何かが笑いのツボに入ってしまったのか、一人でくすくすと笑っている。

笑いながらあたしの髪を撫ぜたり、肩を抱いたりする。

高彬に触られるのは心地良かった。

すべすべと肌なじみが良くて、徐々に身体の緊張が解けていくのが自分でわかるほどだった。

高彬の二の腕にそっと触ってみたら、思っていたよりも硬くてびっくりしたけれど、でもやっぱりすべすべしていた。

気が付いたらあたしは裸にされていて、高彬の手や唇で色々と触られていたんだけど、でも、ちっとも嫌な感じはしなかった。

目が合えば微笑みあったし、高彬はしきりにあたしの様子を気にかけてくれ、あたしは密かに感動を味わったりしていた。

何というか、こういうことってこんなにリラックスして出来るものなんだなぁ、って。

もっと生真面目に取り組むものかと思ってた。

観た映画やドラマがいけなかったのかも知れないけど。

一緒にキッチンに立って朝ごはんの準備をしたり、デスクを並べて仕事してる時と、高彬は何にも変わらなかった。

変わらず優しかった。

それでも、脚を広げられ

「瑠璃さん・・。いいかな・・」

と言われた時はドキリ、とした。

声の優しさとは裏腹に、覆いかぶさってくる力は強かったし、腕の太さも肩の大きさも、絶対に逃げられそうにない程、男らしかったから。

「痛かったら、言って」

そう言いながら身体を進められ───

すぐに痛みがやってきた。

「・・・痛・・」

高彬の動きが止まり、また少しずつ動きだす。

「いや・・、痛い・・」

頭を振って、無意識に身体をずり上げると、困ったような高彬の顔があった。

「我慢、出来ないくらい・・・痛む?」

辛さを堪えてるよう声で聞かれて、あたしは心を決めた。

ほんと、これくらいの痛さを我慢出来ないようじゃ、女の沽券に関わるわよ。

「あたしは大丈夫だから。高彬、いっそ、ひと思いに」

覚悟を決めて言ったのに、高彬はまたしても吹き出し

「ひと思いにって・・・瑠璃さん。決闘じゃないんだから」

そう言ってくすくすと笑っている。

笑いながら「本当に瑠璃さんは・・」なんて呟いて、キスをしてくる。

だけど、すぐに真顔になって

「そんなに痛いんだったら、また次の機会に・・・、と言ってあげたいところだけど。だけど・・・ゴメン。ちょっとそういうわけにも行かなさそうなんだ」

どこか切羽詰まったような声で言う。

「だから、ごめん。少しだけ我慢して」

うん、と返事をするより早くに肩を押さえられていた。

脚を抱えられたまま身体を沈められ、襲ってきた痛みに息を呑む。

やがて高彬が動き出し、あまりの痛みに逃げ出したくても、がっちり押さえられているので逃げられない。

高彬のはずなのに高彬じゃないようで、両手を彷徨わせると、つながったままに強く抱きしめられた。

「瑠璃さん・・・」

今までに聞いたことのない掠れた声で名前を呼ばれ、息も出来ないくらいにキスをされる。

身体のどこかが震え出し、呼応して心が震え、そんなあたしを高彬はさらに強く抱きしめたのだった。






…To be continued…


<社会人・出会い編>次回、最終回です。


(←お礼画像&SS付きです)

コメントの投稿

Secre

非公開さま(Rさま)

Rさん、こんばんは。

そうなんですよねぇ。期間にしたらごくわずか。
半年くらい一行でポンと飛ばしちゃっても良かったかなぁ・・と思う気持ちもチラホラ・・。
幼馴染関係の原作では「永い春」だったので、社会人設定ではここからお互いを知って行くって感じも良いですかね?!

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんばんは。
お久しぶりです!もちろん覚えておりますよ~(^^)/

高彬の経験の「有無」。
気になりますよねぇ。
こちらは「恋人編」の中でおいおい判明していきますので~。
(でも、もし「気になって寝れない」日が続くほどでしたら(笑)お教え致しますよ~)

みそさま

みそさん、こんばんは。

> やっぱり高彬って素敵。( *´艸`)
> なんだか幸せな気持ちになっちゃいました。

ありがとうございます~。
私も二人の初夜を書くのは3度目なんですが(初夜編・現代編・そして今回)どの回も書いてて幸せな気持ちになるんです。
よかったねぇ、幸せになるんだよって感じで。
絶対に2人だったら思いやりに溢れた「初夜」を迎えるに違いないですよね(^^)

> 高彬の肌のキレイさは、若さの取り柄ってだけじゃなさそうですね。

心の美しさが反映しているのではないでしょうか?!
心にも身体にも老廃物がなさそう。

> 上半身裸の高彬にドキドキです。( ≧∀≦)

書きながら、心底瑠璃が羨ましいと思いました(笑)

ありちゃんさんさま

ありちゃんさん、こんにちは。

> ついに結ばれましたね。

結ばれましたよ~!
何かホっとしました(笑)

> 寂しい気もしますが、物語的にはまだ終わってないですもんね。

はい。話はまだ続きます。
本当の(?)波乱はこれからです。

> 拍手ssの「放課後」も萌えました。

あ、読んでいただけました??
そうなんですよ、実は私もこの「教師編」かなり気に入っていて、こっそりとシリーズ化しております。

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瑞月さん、こんばんは。

瑠璃の『初めて』が素晴らしいもので良かったです~。( 〃▽〃)
やっぱり高彬って素敵。( *´艸`)
なんだか幸せな気持ちになっちゃいました。

それにしても、どうして男の人の肌ってキレイなんでしょうね?
下手したら女性よりもすべすべだったりしますもの。
例に漏れず高彬もですけど。
高彬の肌のキレイさは、若さの取り柄ってだけじゃなさそうですね。
上半身裸の高彬にドキドキです。( ≧∀≦)

ついに!

瑞月さん こんにちは。

ついに結ばれましたね。
高彬、「初めてのヒト」ですよ!
良かったねぇ。

瑠璃の「一思いに」に、吹き出しちゃいました。気持ちは分かるけど…。

出会い編、次が最終話ですか。
寂しい気もしますが、物語的にはまだ終わってないですもんね。

拍手ssの「放課後」も萌えました。
こちらのシリーズも楽しみです。^ - ^
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Author:瑞月
瑞月(みずき)です。

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