社会人編<34>

「鷹男チーフに用なら、彼、まだ来ていないわよ」

水無瀬が長い髪を後ろに払いながら言うと、デパートで嗅ぐような香りがふわりと漂ってくる。

無意識にその匂いに鼻をうごめかしてしまったようで

「ミスディオールよ」

パチンと音がしそうなほどのウインクが飛んできた。

「は?」

「は?じゃないわよ。香水の名前よ、ミスデイオール。相変わらず疎いんだから。それくらい知ってなさいよ」

水無瀬はふふん、と鼻を鳴らしてみせた。






─Up to you !─<第34話>






「チーフに用なら伝えておくわよ。来たら電話でもさせる?」

「あ、いや。今上先輩に用があるわけじゃないんだ。実は・・・・水無瀬に折り入って頼みがあるんだ」

そう言った瞬間、水無瀬の顔がパッと輝いた。

「あら、珍しい。どういう風の吹き回しかしらね、わたしに頼み事だなんて。藤原くんの頼みなら何でも聞くわよ」

次いで意味ありげに形の良い眉を上げると

「ただし、見返り次第ではね」

にやりと笑って見せた。

「・・・・・」

ぼくは心の中で大きく息を吐いた。

相変わらず、はこっちの台詞だよ。まったく打算的なんだから。

だけどそんなこと口に出せるわけもなく(仮に口にしたところで言い負かされるに決まっている)、用件を伝えるべく一歩、水無瀬に近付くと、水無瀬は(あらあら)とでも言うように口元を綻ばせた。

「実は・・・・合コンのセッティングをお願いしたいんだ」

声のトーンを落とし、恥を忍んで一気に言うと、水無瀬はびっくりしたようにぼくを見たかと思ったら、たっぷりの間合いの後に

「へぇぇぇ」

とわざとらしく感嘆の声を上げた。

「あれほど合コンに誘っても来なかった藤原くんが、合コンのセッティングとはねぇ。・・・・どういう心境の変化?」

「心境の変化なんて大層なものじゃないさ。まぁ、たまにはいいかなと・・・思って」

曖昧に言葉を濁すと、水無瀬は遠慮会釈もなしにじろじろとぼくの顔を覗きこんで来た。

「何よ、彼女でも欲しくなったの?」

違うと言いたいところだけど、そうしたら本当の理由を言う羽目になりそうで、つい黙り込んでしまうと

「まぁ、いいわ。何人揃えたらいいの?タイプは?こっちはピンからキリまで選り取り見取りよ」

「じゃあ・・・、とりあえず・・・・美人・・・で」

ぼそぼそと言うと、水無瀬は吹き出したかと思うと続けてケラケラと笑い出し、ぼくはあまりの居心地の悪さに逃げ出したくなってしまった。

美人を揃えての合コンを依頼しているだなんて、確かにオトコとしてあまりにも浅ましいと思う。

だけど、これが唯一で最良の方法なんだから仕方ないじゃないか。

そう。

綺麗どころとの合コンに釣られてノコノコ東京に出てきた政文を京都に帰らせるには、守弥の企画する合コンより魅力的な合コンを用意するしかないのだ。

目には目を、合コンには合コンを、だ。

始終、政文に見張られて、それが守弥に伝わるなんて冗談じゃない。

ぼくのアイデンティティーは一体どこにあると言うのだ。

ぼくはこの手で東京での自由を取り戻す───!

「・・・で、そちらは藤原くん入れて何人くるの?」

「え・・、ぼくも・・・入れて?」

密かに決意表明をしていると、さらりと水無瀬に言われて、我に返る。

合コンにぼくも出る?

・・・・・出なきゃ駄目なのか?!

「当たり前じゃない。誰のための合コンなのよ」

「いや、そ、それは・・・」

後から思えば、友達のためとか後輩のためとか、いくらでも言い繕うことは出来たのだ。

だけど、その時はチラともそんなことが思い浮かばずに、ぼくはその場で合コンに出ることを明言してしまった。

カタンと言う音と人の気配がして目を向けると───

階段の下には、いつからそこにいたのか瑠璃さんが立っていた。






…To be continued…


昨日の24日は子どもたちの卒業式でした。風邪もひかずに卒業式を迎えられてほっとしています。

6年通った小学校ともサヨナラです。

明日は謝恩会、来週は卒対メンバーとの内輪での打ち上げ。

気が抜けて体調を崩さないように気を付けます。

高彬、何とも悲惨な状況に追い込まれておりますが、安心してください。ヒーローは高彬ですよ。


(←お礼画像&SS付きです)

コメントの投稿

Secre

非公開さま(Nさま)

Nさん、こんにちは。

煌姫のOL姿はかっこよさそうですよね!
美人だし、スタイルもいいイメージです。
合コン作戦、成功するのでしょうか・・・・?(笑)

非公開さま(Rさま)

Rさん、こんにちは。

合コンのメンバー!
そうですよねぇ。そういえば誰を集めるつもりでいるのか(笑)
政文だけだったら、それは合コンではなくて、紹介と言うか「お見合い」って感じですよね。
恋のシーソーゲーム、もちろん高彬が主導権を取る時も出てきますのでお楽しみに~(^_-)-☆

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非公開さま(Mさま)

Mさん、おはようございます。

そうなんです、春はまだ先になりそうなんです。
でもばかりでは可哀想ですしね(笑)明るく楽しい試練(?)にしたいと思っています。
Mさんの脳内、お邪魔させてもらいたいです(^_-)-☆

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非公開さま(Mさま)

Mさん、こんばんは。

お子さん、インフルですか(><)大変ですね。
うちの回りでも少し流行っています。
Mさんも気を付けてください。

うーむ。高彬、やっぱり不憫過ぎますか((+_+))
早めの救済処置が必要なくらいでしょうか・・・?!
今、頭にある話だとかなり春は先になりそうなので(^-^;早めのハッピーエンドに持ち込む方向も検討してみます!

煌姫はそういうの得意そうですよね(*^^)v

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