社会人編<24>

「だから藤原。おまえは俺のオンナに手を出したと、そういうことに、なる」

鷹男チーフは、まるでその言葉を楽しむかのように、一語一語、ゆっくりと言った。

自分の発した言葉が、果たしてどれだけぼくに打撃を与えたかを見定めるようにじっとこちらを見ている。

「そういうわけだから・・・」

十分すぎる間合いの後、鷹男チーフは身を乗り出すと、最後通牒を付きつけてきた。

「───手を引け。藤原」






─Up to you !─<第24話>






「・・・・・・」

ぼくは黙って、目の前の鷹男チーフを見返した。

手を引くも何も、そもそもぼくは瑠璃さんと付き合ってもいないし、だからもちろん一夜なんか共にしていないのだ。

そこのところ、鷹男チーフは激しく誤解している。

もし、ぼくがここで

『ぼくは瑠璃さんと付き合ってなんかいません』

と本当のことを言ったらどうなるのだろう。

鷹男チーフは嬉々として猛アタックを繰り返し、そうして瑠璃さんを自分の物にするのだろうか。

今まで、たくさんの女性にそうしてきたように。

「ここでおまえに話せてよかったよ」

ぼくが返事をしないのを了承の印と思ったのか、鷹男チーフは満足そうに笑い、会計を済ませるために片手をあげた。

すぐにテーブルにやってきたスタッフにカードを手渡す。

「次の約束があってな。俺はここで失礼するよ。じゃあ東京で・・・」

「今上先輩」

今にも立ち上がりそうな鷹男チーフの言葉を遮り、ぼくは姿勢を正すと、テーブルの上にあった手を膝の上に置いた。

隣から瑠璃さんの緊張した様子が伝わってくる。

ぼくが何を言うのか、息を詰めて待っているようだった。

「ぼくは───」

小さく息を整え、まっすぐに鷹男チーフを見据えると

「ぼくは、瑠璃さんを、誰にも譲る気はありません」

一語一語、はっきりと言った。

「ほぉ。・・・譲る気はない」

浮かしかけた腰を落とし、鷹男チーフは面白そうにぼくの言葉を反芻した。

「はい」

「俺の婚約者だと言っても?」

「瑠璃さんが違うと言ってる以上、関係ありません」

鷹男チーフは、一瞬、鼻白んだような表情をしたものの、すぐに口の端を上げると

「なるほどね」

と頷いてみせた。

「これは、おまえからの宣戦布告と思っていいのかな?・・・高彬」

「そう思っていただいて結構です」

「・・・判った。宣戦布告した以上、そう簡単に白旗あげるなよ」

「あげませんよ」

若干、からかいを帯びた言い方にムッとして言い返し、財布を取り出すと瑠璃さんとぼくの分をテーブルに置く。

「いい。支払いは済ませた」

「男に奢ってもらう趣味はありませんから。それに、瑠璃さんの分はぼくが払います。・・・・瑠璃さん、出よう」

鷹男チーフに一礼して立ち上がると、慌てたように瑠璃さんも立ち上がり、ぼくの後を付いてきた。

店からかなり離れた場所に来たところで、瑠璃さんは後ろを振り返り、誰も付いてきていないことを確認すると、身体全体で大きく息を吐いた。

そうして

「高彬」

と言うなり、いきなりぼくに抱きついてきた。






…To be continued…


(←お礼画像&SS付きです)

コメントの投稿

Secre

非公開さま(Yさま)

Yさん、こんにちは。

Yさんのガッツポーツ、嬉しいです。
もちろん、「誰にも」譲る気はないってことですよ~(^_-)-☆
更新、楽しみにして下さっているとのお言葉、ありがとうございます。

非公開さま(Aさま)

Aさん、こんにちは。

高彬、先輩相手に頑張りましたよ!
ちなみに、これを書いてる時、頭の中で河合菜保子の「ケンカをやめて~」が流れてました(笑)
(あ、Aさん、この歌知らないかも・・。かなり古い歌なので~)
まぁ、瑠璃はそんな歌の主人公みたいなタイプじゃないですけどね。高彬の足、蹴っ飛ばしてるし。

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんにちは。

鷹男、すでに登場時から空回りしてるので(笑)360度回って元に戻りそうな勢いですよ!
「藤原」から「高彬」に呼び方を変えたのは、あれは前世での記憶が甦ったのに違いありません。
確かこいつ、オレの臣下だったよな、みたいな(笑)

非公開さま(Nさま)

Nさん、こんにちは。

高彬、カッコよかったですか?!
Nさんにニヤニヤしていただけて嬉しいです(^_-)-☆
「振られる前提の鷹男」←こうして文字として見ると不憫ですね・・(笑)

非公開さま(Rさま)

Rさん、こんにちは。

鷹男が瑠璃に真剣かどうか・・・うーん、どうなんでしょうね?!
ラテン鷹男は「その都度、その場では本気」とか、そういうことをシレっと言いそうなイメージですけどね。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

瑞月

Author:瑞月
瑞月(みずき)です。

ランキングバナー

にほんブログ村

ランキングに参加しています。
楽しんでいただけましたら
クリックで応援をお願い致します。
1日1クリック有効です。
初めにお読みください
**当ブログの簡単な説明です**
当ブログは「なんて素敵にジャパネスク」の二次小説を掲載しております。 二次小説と言う言葉を知らない方や苦手な方は閲覧ご注意ください。 また読後のクレームはお受けできません。 「ごあいさつ<最初にお読みください>」も合わせてご一読下さい。
カテゴリ
別館
乳姉妹ブログ
日記ブログ
掲示板
なんて素敵にサイト様 
最新記事
ご訪問ありがとう(H23.11.28-)
**オンラインカウンター**
現在の閲覧者数:
コメントありがとうございます
お礼SSや「他己紹介」があります。
web拍手 by FC2
** あれこれ投票所 **
お好きなジャンルをお選びください。 投票は何度でも可能です。
*** あれこれ投票所2 ***
メールフォーム(ご用の方はこちらから)

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
月別アーカイブ