社会人編<20>

「もう限界・・!」

横を走っていた瑠璃さんはふいに立ち止まったかと思うと、両膝に手を置き大きく肩で息をしている。

「やっぱり・・・・運動不足ねぇ・・・。これくらいの距離で息が上がるなんて・・。あたしも高彬みたいに・・・毎朝・・・走ろうかしら?」

息も絶え絶えと言った感じで言い、「ふぅ」とひとつ大きく息を吐くと顔を上げた。

それでもまだ呼吸が荒い。

上気した顔にうっすらと滲む汗、息を整えるために無防備に開いた口元、息をするたび上下する胸元───

一瞬、とんでもない不埒な考えが頭をよぎり、慌てて煩悩を振り払う。

陽光きらめく鴨川沿いをジョギングした後に思うには、あまりに不釣り合いな想像だった。

「ど、どこかに座る?」

ごまかすため、ぼくは慌てて瑠璃さんに声を掛けた。






─Up to you !─<第20話>







ちょうど立ち上がったカップルがいたので、その場所に並んで腰を下ろす。

「・・・高彬はどうして実家に?何か用でもあったの?」

しばらくぼんやりと川の流れを見ていた瑠璃さんは、ようやく息が整ったのかぼくの方を見ると聞いてきた。

「うーん、用があったわけじゃないんだけどね・・・」

何となく歯切れが悪くなってしまうと

「用があったわけじゃないけど?」

と、すかさず突っ込まれ、先を促されてしまった。

更には顔を覗き込まれてしまい、観念して話し出す。

「実は電報が届いたんだよ、実家から」

「電報?!今時?」

「うん」

「何て」

「『母、倒れた。至急、帰省されたし』って・・・」

「えっ?大丈夫なの?こんなことしてて・・・」

ぎょっとしたように腰を浮かしかける瑠璃さんを制して、ぼくは大きく頭を振った。

「倒れたって言っても、帰って来てみればただの風邪だったんだ」

「風邪・・・」

「まぁ、そんな気はしていたんだけど、倒れたなんて言われたら顔を出さないわけにはいかないだろう?催促されても、ぼくがもう半年以上も帰ってなかったから、強硬手段に出たんじゃないかな」

「それで電報ねぇ・・・・・」

「電報打ったのは母親じゃなく、守・・・あ、いや、家の者だろうけどね」

「ふぅん。でも電報なんてすごいわね。久しぶりに聞いた気がする」

瑠璃さんは感心したように言い「電報かぁ・・・、電報・・」とぶつぶつと呟き、やがてくっくと笑い始めた。

「お母様が何でもなかったのは何よりだけど、高彬の実家って何かすごいのね」

「・・・・うちは何でも大げさなんだよ。時代錯誤って言うかさ」

「ふぅん・・・。どこも大変なのねぇ」

その言い方に、さっきの瑠璃さんじゃないけど突っ込みを入れたくなってしまう。

そういえば、瑠璃さんも何か帰省した理由があったのだろうか?

口を開きかけると、隣から「ぐぅ」と言う瑠璃さんのお腹がなる音がした。

「もうっ」

瑠璃さんは照れ隠しなのか頬を膨らませ、自分のお腹をさすり

「そういえばお昼まだだったのよ。良かったらどこかで一緒に食べない?」

「いいね、そうしよう」

断る理由などあるはずもなく、ぼくは二つ返事で請け合った。

「着替えてくるよ。1時間・・・、いや45分後にここで待ち合わせはどう?」

「いいわよ、汗かいたからあたしも着替えてくる」

またね、と合図をして、ぼくたちはその場を離れた。






…To be continued…


(←お礼画像&SS付きです)

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Secre

非公開さま(Nさま)

Nさん、おはようございます。

まずはとっても嬉しいお知らせをありがとうございます!
しかも2つも!
ぜひぜひ、お願い致します<m(__)m>
とても嬉しいです。ご連絡をお待ちしております(*^_^*)

そして、あの「彼」も登場です(笑)
こちらも現代設定では初めての登場ですね~。

非公開さま(Kさま)

Kさん、おはようございます。

瑠璃との鴨川爽やかデートです(^_-)-☆
ランチの約束もして、高彬はウキウキですね。
はてさて、このまま2人の距離は縮まるのでしょうか~?

非公開さま(Mさま)

Mさん、おはようございます。

はい、小萩に引き続き、あの「彼」でございます。
安定の「鬱陶しさ感」ですね(笑)
そして母上も安定の「高彬離れしてない感」を醸し出しています!
・・・と言うことは、社会人編でも高彬は「家人」に苦労するってことなんですよね・・(笑)

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