社会人編<11>

洗面所からガサゴソと物音が聞こえてくる。

これからシャワーを浴びようと言う人間がすることと言ったら───ただひとつ。

瑠璃さんが服を脱いでいる・・・

───考えるな!

気を逸らすためテレビでも付けようとリモコンに手を伸ばしたところで、今度は水音が聞こえてきてぼくは思わず顔を両手で覆ってしまった。

何て言うか・・・生々しいと言うか、リアルと言うか・・・

いっそ瑠璃さんがシャワーから上がるまでの間、ジョギングでもして来た方が良いのかも知れない。

いや、でも瑠璃さんが出て来たときにぼくが不在だったら、それはそれでマズい気もするしなぁ。

意味もなくウロウロとリビングを歩いていると、ガチャリと風呂のドアが開く音がして

「ねぇ!シャンプー借りてもいい?!」

洗面所越しに瑠璃さんが大きな声で聞いてきた。

ドアを開けたことによってシャワーの音が一段と大きく聞こえてくる。

───だから、妙に生々しいんだってば!イヤでも想像してしまうじゃないか・・。頼むよ、瑠璃さん・・・

「ねぇ!いいの?!聞こえてる?!」

返事がないことに焦れたのか、更に大きな声で聞いてきた。

「いいよ!」

ヤケになり怒鳴り返した。

───シャンプーでも何でも好きに使ってくれ!

ぼくは頭を抱えた。






─Up to you !─<第11話>







果たして瑠璃さんのこの無防備さはなんなのか。

考えられる可能性は3つ。

まずはごくシンプルに考えて、瑠璃さんが本来、こういう性格であるという可能性だ。

次の可能性としては、ぼくを誘惑している、だ。

最後の可能性としては、ぼくを男として見ていない、完全なる安全パイとして見ている、だ。

「・・・・」

ソファに座り、腕を頭の後ろで組みながら天井を見上げる。

この場合、3番目である可能性が一番、高いんだよなぁ。

いいとこ1番目だ。

2番目の可能性は、あの天真爛漫な振る舞いからしてほぼ皆無だろう。

「あー、さっぱりした・・」

ドアの開く音がして、瑠璃さんが部屋に入ってきた。

服を着ていて、当然と言えば当然のことなのだけど、思わず

「・・・良かったよ。服を着ててくれて」

と呟いてしまう。

「え?何?何か言った?」

瑠璃さんに聞き返され、ぼくは無言で肩をすくめた。

ぼくを男として見ていない瑠璃さんに、この際、皮肉のひとつやふたつ言ったってバチは当たらないだろう。

瑠璃さんの髪は濡れており、ぼくの脇を通りすぎる時、ほのかにシャンプーの匂いがした。

嗅ぎ慣れた匂いなのにドキリとする。

向いに座った瑠璃さんは、シャワーのお陰なのかヤケにすっきりした顔をしていて、ぼくは化粧気のない瑠璃さんの顔をちらちらと見てしまった。

テーブルの上で、しばらく自分の指先をいじっていた瑠璃さんは

「えーと、何だか色々と迷惑かけちゃったみたいで悪かったわね。ごめんなさい」

ペコリと頭を下げた。

シャワーを浴びて、昨夜のことを少しは思い出したのかも知れない。

疑いが晴れて喜ぶべきところなのに、その他人行儀な言い方に何だか肩すかしを食った気持ちになってしまった。

「飲めないくせに無理して飲むから」

つい口調がきつくなってしまう。

「・・・うん。そうよね・・」

「ぼくだから良かったものの、こんなことしてたら瑠璃さん・・・」

言いかけてさすがにロコツ過ぎるだろうと口をつぐむ。

「今度、こういうことがあった時は、自分のオトコにでも迎えに来てもらうことだな」

ハッと瑠璃さんが顔を上げた。

「オト・・コ・・?」

「タクシーに乗ってた、あのオトコだよ。瑠璃さんの・・・オトコなんだろ?」

ズバリ聞いてしまった気まずさもあり、ぼくはコーヒーを淹れるために立ち上がった。





…To be continued…


年末のお忙しい中、ノンストップの更新にお付き合いいただきありがとうございました。

明日、今年最後のssをアップいたしますので、お時間がありましたらお立ち寄りください。


瑞月
(←お礼画像&SS付きです)

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Secre

非公開さま(Nさま)

シャワーの音に、勝手に妄想を膨らませている高彬。
同じ妄想族として、妙に親近感をもってしまいます(笑)

いきなり狼。
やっぱり「アリ」ですかね?!
何かたまにはそういうのもいいですよねぇ。(もちろんパロディですけど)

こちらこそブログへのご訪問&お声を掛けていただいてありがとうございました。
また来年もよろしくお願いいたします。
良いお年を!(*^_^*)

非公開さま(Rさま)

多分、これだけ続けて更新したのは今回が初めてだと思います。
一年間の感謝の気持ちが少しでもお伝えできれば・・・と言う思いで更新を続けましたが、お楽しみいただけたようでとてもうれしいです!
朝ごはん?そりゃあ、高彬が作りますよ~(笑)

非公開さま(Mさま)

高彬の可愛さは、おじいさんになったとしても不滅です!(笑)
濡れた髪の瑠璃は、高彬の目にはさぞ魅力的に映ったことでしょうね。
振りまわされてる高彬もすごく魅力的なんですけどね(^_-)-☆

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