社会人編<9>

「瑠璃さん、瑠璃さん」

ぐっすりと眠り込んでいるのは承知の上で、もう一度、声を掛けてみる。

何となく薄目を開けた気がして「瑠璃さん」と呼びながら肩を揺すっていると、ふと人の気配を感じた。

振り向くと、マンションの住人だろうか、50代と思しき女性が不信感をあらわにした顔でじっとこちらを見ているではないか。

確かのこの状況は、見ようによってはかなり危ない・・・かも知れない。

「怪しいものではありません」

折り目正しくきっぱり言ってみたものの、それがかえって裏目に出たのか、更に女性の眉間の皺が深くなってしまった。

このままでは通報でもされかねないと思ったぼくはとっさに

「か、彼女なんです。酔っ払っちゃって・・」

虚実織り交ぜた説明をすると、疑わしげな表情を浮かべてはいたけれど納得してくれたみたいで、ようやく立ち去ってくれた。

女性の後姿を見送りながら、大きく息を付く。

悪いことをしてるわけじゃないのに───ドッと汗が噴きだしてしまった。







─Up to you !─<第9話>






タクシーを呼び、何とか瑠璃さんを部屋に連れてきたぼくは、とりあえず瑠璃さんをベッドに横たえた。

──しょうがないじゃないか、他にどこに寝かせろと言うんだ。

誰にともなく言い訳をしながら横たわる瑠璃さんを見下ろす。

普段、自分が寝ているベッドに瑠璃さんが横になっていると言うのは何とも不思議な光景で、スヤスヤと眠る瑠璃さんの寝顔につい目が惹きつけられてしまう。

やっぱり可愛いよなぁ・・。恋人がいるのも無理ないか。

まぁ今なら痛手も少なくて済むだろう。

瑠璃さんに男がいると、早い段階で判って良かったのかも知れないな。

これからも同僚として付き合いは続くのだし・・・

あれこれ思っていると、ふいに瑠璃さんの目が開き、いきなりむっくりと上体を起こしてきた。

「・・・!」

いつのまにかぼくはベッドに腰掛けており(気付かなかった!)つまりは起き上った瑠璃さんとほぼ真正面に向き合う形なのだ。

至近距離も至近距離、ともすれば息がかかりそうなほど近くに瑠璃さんの顔があり

「ち、違うんだ、瑠璃さん・・」

ぼくは慌てて立ちあがった。

ぼくの言葉なんかてんで無視して、無言のまま瑠璃さんはコートを脱ぐとそれを放りなげ、次いでカーディガンもやけに潔く脱ぎ捨てる。

あっけに取られていたぼくは、瑠璃さんの指がブラウスのボタンに掛かった所で我に返った。

「瑠璃さん、ストップ!」

「・・・・」

どこか焦点の合っていない目でぼくの顔を見た瑠璃さんは、いったん止めていた手を動かしてボタンを外しに掛かっている。

「そ、そういうのは良くないよ。そりゃ、お互い、もういい歳した大人なんだし、いや、ぼくは構わないけど、瑠璃さんが・・・」

パタンと音がしたかと思ったら、瑠璃さんは先ほどと同じように横になっていてすぐに寝息まで聞こえてきた。

「・・・・・」

なんだ、寝ぼけてただけか・・・。

それにしても。

この無防備さは一体、なんなんだ。

ぼくは呆然と瑠璃さんを見下ろした。





…To be continued…


Merry Christmas!
楽しいクリスマスをお過ごしください。


(←お礼画像&SS付きです)

コメントの投稿

Secre

非公開さま(Nさま)

Nさん、こんばんは。

本当にあそこで「ストップ」と言わなかったらまた違った展開があったのかもしれないのに・・。
高彬にも少しはスケベ心もあったでしょうしね(笑)
まだまだ、小悪魔瑠璃に振り回されそうな予感です。

セスキの粉末一袋で、かなり色んなところが綺麗になりましたよ!
大掃除、お互いがんばりましょう~(*^_^*)

非公開さま(Rさん)

Rさん、こんばんは。Merry X'mas!です。

ロビーで眠り込んだ瑠璃を一体どうやって運んだのか・・ふふふ。
ばっさりとカットしてしまいましたが、気になりますよね~。
目の前で服を脱がれて、「ストップ!」なんて言っちゃうなんて、高彬、あなたはなんていい奴なの、と思ってしまいました。
でも、案外、高彬、後で後悔してたりして・・・(笑)

非公開さま(Mさま)

Mさん、こんばんは。

はい、瑠璃は自分で脱いじゃいましたね。
おっしゃる通り、高彬はそんなに気の回るタイプじゃありませんしね(笑)
起きた瑠璃がどう出るのか・・・お楽しみに(^_-)-☆

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