社会人編<6>

夕方、舞い込んできた仕事を急ピッチで何とかこなし、瑠璃さんと2人オフィスを出た時にはもう6時半を回っていた。

年末に向け一番日が短くなるこの時期、すでに日はとっぷりと暮れている。

「すっかり遅くなっちゃったわね。6時半、集合だったのに」

「急に仕事が入ってきたんだから仕方ないさ。皆、適当に始めてるだろ」

そんなことを言い合いながら、足早に指定された店へと向かう。

12月に入ってから点灯した街路樹のイルミネーションが、駅まで続くこの通りを普段よりも華やかなものにしている。

「もうじきクリスマスねぇ」

「うん」

慌しくではあるけれどどちらからともなくイルミネーションを見上げ、何とはなしにいいムードではある。

クリスマスの予定でも聞いてみようか・・

そんな思いがよぎった次の瞬間、瑠璃さんが急に大声を上げた。

「融!」






─Up to you !─<第6話>






トオル?誰だそれ───と瑠璃さんの視線の先を追ってみると、信号待ちをしている一台のタクシーがあった。

「融!融!」

気付いてもうらおうと大きく手を振る瑠璃さんをあっけに取られて見ていると、後部座席の窓が下り、スーツ姿の男が顔を出した。

「あっ」

思わず声が出てしまい、慌てて手でふさぐ。

朝のカフェで見た男だったのだ。

男も驚いたように瑠璃さんを見ており、何か言いたげに身を乗り出した途端、信号が青に変わりタクシーが動き出した。

「今日、泊まってくの?!」

走り出したタクシーに向かって瑠璃さんが叫び、男が手で大きくバツを作りながら「行かない!」と叫び返した声が、誰かが鳴らしたクラクションにかき消されていく。

あっという間にタクシーは車列にまぎれて見えなくなり、瑠璃さんは何事もなかったように歩きだした。

「・・・で、何の話ししてたっけ?えーと、クリスマス、クリスマスよね。早いわよねぇ・・、もう今年も終わるなんて」

「・・・・」

誰なんだ、あの男は。

泊まってくって・・・瑠璃さんのところにか?

ということは、やっぱり恋人決定だな。

まぁ、それはいい。しょうがない。瑠璃さんの年なら恋人の1人や2人いて当然だろう。

当然だと思うのに、どうしてだか気が滅入る。

いや、それよりも何よりも腹が立つ。

仮にもぼくの目の前で男を部屋に誘うことないじゃないか。

それはつまり、瑠璃さんにとってぼくは眼中にすらないと言うことで───

「・・・ねぇ、高彬、聞いてる?どうしたの?黙り込んじゃって」

瑠璃さんがぼくの顔を覗きこむようにしながら手を振り、ぼくは思わず

「今の男・・」

と口走ってしまった。

しまった、と思ったものの、時すでに遅しで瑠璃さんの耳にしっかり届いてしまったようだった。

「今の男・・?あぁ、今のね。今日、泊まってくかどうするかはっきりしてなくてね。いいところで会ったから電話して聞く手間省けちゃった。こっちも歓迎会入ってたし」

いや、そういうことじゃなくて・・・とぼくは口を結んだ。

瑠璃さんのあっけらかんとした感じに更に腹が立ってくる。

「男を泊めるとかさ・・・」

「え?何?」

聞き返した瑠璃さんの目にイルミネーションが映りこんでいる。

「そういうのって・・・・」

「そういうのって?」

「・・・ふしだらだよ」

ムスッと言うと、瑠璃さんは一瞬、黙り込み、次の瞬間、身体を折り曲げて笑い出した。





…To be continued…


(←お礼画像&SS付きです)

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Secre

非公開さま(Aさま)

Aさん、こんばんは。
そうなんですよ~、あっと言う間に6話に!
Aさんも元気になられたとのことで良かったです(*^_^*)
気付けば今年もあとわずか。
お互い身体に気を付けましょうね!

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非公開さま(Nさま)

Nさん、こんにちは。

高彬、絶賛ヤキモキ中です(笑)
もちろん瑠璃にもいずれヤキモキしてもらいますけどね!
でも、二人のヤキモキって何かどこかが違いそうな気がするんですよね。
高彬、ヤキモキする→もしや瑠璃さんが好き?と気付いてドツボにハマっていく。
瑠璃、ヤキモキする→こんな気持ちにさせた高彬が悪い!と怒り出す。(笑)

融のスーツ姿書きながら、同じく私も感無量でした。大人になったんだねぇって(笑)

非公開さま(Rさま)

Rさん、こんにちは。

次回であっさりと『あれは弟よん』言わせるつもりでいましたが、Rさんのおっしゃる通り、もう少しヤキモキさせてもいいかも知れませんね。
高彬には悪いけどもう少しひっぱりましょう。
・・・高彬、恨むなら私ではなくRさんを恨んでね(笑)
──むふふな進展はあるのでしょうか!?
Rさんのご期待に添える「むふふ」かどうかは判りませんが、何もないまま歓迎会の夜を終わらせるほど、私はお人好しではありません!(笑)

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