社会人編<3>

「今日からこの部署に配属になった藤原さんだ」

「藤原瑠璃です。よろしくお願いします」

NY支店から東京支店に配属変えになって初めてのオフィス。

部長に紹介されたあたしはぺこりと頭を下げ、次いでにっこりと笑って見せた。

こういうのは最初が肝心だからね。

やっぱり感じ良い人だと思われたいじゃない。

あたしが笑うのと同時に、どこかから「あっ」と言う声が聞こえ、隣に立っていた部長が

「どうした、藤原。知り合いか?」

すかさず声の主に聞き、声の主が判った途端、あたしは心の中で「あっ」と声をあげてしまった。

そこに立っていたのは。

毎朝、カフェで見かける───あの彼だったのだ。





─Up to you !─side R <第3話>






「おはよう、瑠璃さん」

「おはよう」

声を掛けられて、返事をしながらも隣に座る高彬をあたしはこっそりと観察した。

すっきりとした顎のラインに整った横顔、清潔感溢れると言うのがぴったりくるようないでたち。

───確かにこれならモテるわよね。

あたしはここ2週間で何度目かの同じ感慨を持った。

「藤原高彬」の名前はNY支店にいる頃から知っていた。

すごい新入社員が入ってきた、高学歴な上に温厚な性格で、仕事の飲み込みは早いし礼儀正しい。

かてて加えてなかなかのイケメンで、更にはウソかマコトかどこぞの御曹司───

入社の翌年のバレンタインには我が社の最高記録を塗り替えるほどのチョコが集まっただの、秘書課の誰それと広報担当の誰それが彼を巡って壮絶なバトルを繰り広げただの、まぁ、とにかく会社で1、2を争うほどのモテ男として有名だったのだ。

どうせそんな男、見るからにチャラい男に違いないと思っていたから、正直、東京支店へに異動が決まった時には、どんな顔してるか拝んでやろうじゃないのさ、くらいの気持ちだった。

だけど実際の高彬はチャラいどころか、非常に折り目正しくて、爽やかさがスーツ着て歩いてるみたいな人だったから驚いてしまった。

でも、本当に驚いたのは、高彬がいつも寄るカフェで見かける人だったってこと。

東京支店に出社する前から、あたしは少しでも通勤に慣れておこうと会社近くのカフェに通っていたのだ。

そこである日、いつも同じ辺りに座っている男の人に気がついた。

常連なのかスタッフと二言三言親しげに会話を交わす様子に、どこがどうとは言えないけれど何だか目を引かれ、あたしは気付かれないようにこっそりと盗み見たりしていた。

コーヒーには砂糖もミルクも入れないこと、仕立てのいいスーツは着てるけど、おしゃれにはさほど興味がないのか、案外、普通のネクタイをしてること。

そして時々は本を読んだり、新聞を読んだりしていること。

何となくあたしはそういうことに(ふぅん)なんて好感を持ったりしていた。

───朝のカフェで見かける、ちょっとカッコ良くて感じのいい人。

ま、それだけのことだったんだけど。

それがまぁ、モテ男としてNYまで名を轟かせる藤原高彬その人だっていうんだし、その上、どう言う巡り合わせかこうして仕事のパートナーになっちゃったんだから、人生なんて判らない。

おまけに「瑠璃さん」「高彬」なんて呼び合ってるし。

と言っても、何も付き合ってるとかそういんじゃなくて、色恋は抜き、よ。

お互い、名字が同じ「藤原」だったから、名前で呼び合ってるだけでさ。

それでも、何となく一部の女子社員から冷たい視線を受けている・・・ような気がする。

誤解してほしくないんだけどなぁ・・。



 *****



朝のカフェ。

いつもの席に高彬を見つけたあたしはそっと窓に目を向けた。

高彬はどうやらあたしの存在に気がついてないみたいだから、あたしも知らん顔をしているのよ。

なんだかねぇ、ここで会社のノリで近づいていって、もし冷たくあしらわれたりしたらやっぱり傷つくじゃない。

職場とプライベートを分けるタイプっているし、なんとなく高彬にはそういう感じを受けるのよ。

人当たりはいいんだけど、最後の一線は踏み込ませないタイプって言うかさ。

しばらくはパートナーとしてやっていくんだし、お互い気まずい思いはしたくないから、不用意に近づかない方がいいのよ。

「──あ」

窓の外に待ち合わせ相手の顔を見つけ、あたしは小さく手を振り、店に入ってくるように手招きをした。

「姉さん」

しばらくしてやってきた融──弟はあたしの前に座るとにっこりと笑った。

「言われた本、持って来たよ。これ?」

差し出された本を受け取り、あたしは頷いた。

「姉さんがこんな難しい本読むなんてびっくりしたよ」

「仕事でね。ちょっと読んでおこうかと思って」

「ふぅん。頑張ってるんだね」

「まぁね。父さまに認めてもらわなきゃ」

そういうと、融は肩をすくめて見せた。

「今朝も言ってたよ、姉さんのこと。どうにもならんじゃじゃ馬だって。・・・・一口、ちょうだい」

融に飲みかけのカップを奪われて、視界が動いた気がしてふと見ると───

高彬の姿はなくなっていた。





…To be continued…



瑞月です。

いつもご訪問いただきありがとうございます。

社会人編、2人のそれぞれの気持ちが判った方が面白いかな、と思いこんな風に高彬目線と瑠璃目線を混ぜることにしました。

「彼」とは融クンでした!


(←お礼画像&SS付きです)

コメントの投稿

Secre

非公開さま(Rさま)

Rさん、こんにちは。

我らが高彬をそんじょそこらの男どもと一緒にしてはいけません(笑)
「そーとー」カッコいい高彬を、どうぞ安心して妄想してください!

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非公開さま(Nさま)

Nさん、こんにちは。

はい、融なのでした。
「あの御方」って柄ではないですよね・・(笑)
でも、ゆくゆくは鷹男にも登場してもらおうかと考え中です。
高彬の清潔感は絶対条件ですよね!
すっごくおしゃれに気を遣っていると言うのもイヤです・・。
普通にしててカッコいい。素でカッコいい。
そういうイメージです。
そうですよねぇ、いつ「彼」が弟だと教えてあげましょうか?(笑)

非公開さま(Kさま)

Kさん、こんにちは。

融には癒されますよね。
新しい母上が融を可愛がっていたのも判る気がします。
そうなんです。瑠璃がツンツンしてたのは、高彬のことを勝手にチャラ男と思っていたから・・と言うのもあったのです。
しばらくの間は2人にヤキモキしたり衝突してもらおうかと思っています!

非公開さま(Rさま)

Rさん、こんにちは。

Rさんの読み、やっぱり当たってましたか?
奇妙Kテレツな柄はMに譲るとして・・(笑)
原作ではあまり書かれなかったけど、高彬はモテるはず!ですよね。

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