シーンあれこれ(お話未満)

瑞月です。

いつもご訪問いただきありがとうございます。

今回のお話の設定は「現代」で、更には2人は「幼馴染ではない」と言う設定です。

もうかなり前なのですが、「現代編で2人が幼馴染ではない設定の話を読みたい」と言うリクエストをいただいたことがありました。

その時から、ずっと頭の中にあったシーンを今回書いてみました。

起承転結もないし、もちろん完結もしていませんし、あるシーンだけを切り取ったような中途半端なお話です。

文字通り、「お話未満」なお話です。

それでも良いと言う方はお付き合いくださいませ。










あ、また、いた───

朝の光と喧騒に溢れたカフェの窓際に、いつも見かける姿を発見し、ぼくは数秒、視線を止めた。

壁に掛かった時計を見ると、やっぱり時計の針は8時10分をさしている。

彼女の存在に気がついたのはいつからだろう。

10日、いや2週間くらい前だったろうか。

出勤前、ここのカフェで一杯のコーヒーを飲んで行くのが日課なのだけど、ある朝、食器の割れるような派手な音がして、ふと見ると、スタッフがしきりと頭を下げていた。

どうやら運んでいたコップを割ってしまったようで、謝られているのが窓際の彼女だった──と言うわけだ。

何を言っているのかは聞こえないけれど、さかんに手を振っている。

「いいですよ」なんて言ってるのかも知れない。

───ふぅん、ちょっと可愛いな。

それが第一印象だったような気がする。

ファッションとか髪型とか、そういうことにはうといぼくだけど、何と言うか彼女は派手過ぎず地味すぎず、まぁ一言で言うと、何の違和感も感じなかったのだ。

それから気を付けてみると、彼女も毎朝、このカフェに来ているようだった。

空いていれば必ず窓際の席に座る。

そして、多分だけど、カフェラテを飲んでいる。

なぜなら、時々、白いひげを作っているから。

いつかなんか、気付かずにそのまま店を出て行きそうになり、あやうく声を掛けそうになってしまった。

いやいや、何を言うというんだ。

いきなり、見知らぬ男から「白いひげが・・」なんて指摘されたら、驚かれてしまうに違いないし、ましてや「毎朝、見てますよ」なんて言おうものなら、下手したら通報されかねない。

挨拶くらい交わす仲になりたい、と思わないでもないけれど、変なことして彼女が店に来なくなる方が嫌だ。

朝のカフェで見かける、ちょっと可愛い女の子───

これだけでぼくは十分満足なのだった。




**************************************




「今日からこの部署に配属になった藤原さんだ」

「藤原瑠璃です。よろしくお願いします」

部長に紹介され、その人物が顔を上げた途端、ぼくは「あっ」と声をあげてしまった。

「どうした、藤原。知り合いか?」

すかさず部長に聞かれ、慌てて頭を振る。

知り合いではないけれど───窓際の彼女だった。

部長の説明に寄ると彼女、藤原さんは入社後、NY支店にいたのだと言う。

だから社歴はあるけれど、この東京本社に来るのは初めてということで、しかもぼくと組むことになるということだった。

確かに前まで組んでた人がつい最近、異動になったばかりだから、誰かと組むことになるとは思ってはいたけれど、いやはや女の人だったとは・・・・

「一緒に組むのがオンナなんて・・・・って思ってるでしょ」

仕事の説明のため、ミーティングルームで2人きりになったとたん、挨拶もあらばこそ、藤原さんは横目でぼくを見ながら言ってきた。

「い、いや、別にぼくは・・・」

慌ててごまかしてみたものの、実際、そう思っていたのは確かだったので、心中、舌を巻く。

かなり勘のするどい人なのかもしれないな・・・。

「そうだ、自己紹介がまだだったよね。ぼくは・・・」

「藤原、でしょ」

「え、何でそれを・・」

「さっき、部長が言ってたじゃない。藤原、知り合いか?って」

部長の口調を真似て言い、それが案外、似ていて吹き出してしまう。

「そう。藤原。藤原高彬だ。よろしく、藤原瑠璃さん」

「よろしく」

出した右手はあっけなく無視されてしまった。

文字通り、手持ち無沙汰となり、意味もなくネクタイの結び目をいじってしまう。

「藤原さんは──」

「藤原くんは──」

はからずも声が重なり、同時に黙り込んでしまった。

「紛らわしいわねぇ・・」

藤原さんは心底、迷惑そうにつぶやき、その言葉に少しだけムッとする。

同じ名字なのはぼくのせいじゃないじゃないか。

だけど、確かに紛らわしいと言えば紛らわしい。

「じゃあ・・・瑠璃・・ちゃん」

「ちゃん?!」

瑠璃ちゃん、と言った途端、藤原さんが大きな声を上げた。

「いるのよねぇ、そうやってすぐに女の子をちゃん付けで呼ぶ、慣れなれしい人」

大げさに言い、これ見よがしにため息を付いている。

なんだ、なんだ。

人を、まるで全女性の敵、みたいな言い方しやがって。

藤原が同じで紛らわしいと言ってきたのはそっちじゃないか。

──と思いつつ、ぼくの情けないところは、こういうところでガツンと強く言えないところなのだ。

女性相手に怒るのは男の沽券にかかわる、と言う思いもある。

ちゃん、がだめなら・・・

「瑠璃、さん」

そう言いなおすと、藤原さんは眉をあげて(ふぅん)とでも言いたげな顔になった。

言い返して来ないのは承諾とみていいのだろう。

それならば、とぼくは書類を差し出しペンを取った。

まずは仕事の説明を進めなければ。

「まず瑠璃さんに覚えてもらうことは・・」

「待って、高彬」

「はぁ?高彬?!」

今度、大声を上げたのはぼくの方だった。

高彬ってなんだよ。

「どうしてぼくが<さん付け>で、ぼくのことは呼び捨てなんだよ」

おかしいだろ、それ。

「長いんだもん、名前が。高彬さん、なんて舌噛みそう」

「・・・・・・」

何なんだよ、この人は。

どこが<朝のカフェで見かける、ちょっと可愛い女の子──>だ。

いや、確かに可愛いけど・・・。

ぼくは、彼女を──瑠璃さんをまじまじと見たのだった。








以上です。

書いてて楽しかったです!

初対面の2人が「瑠璃さん」「高彬」と呼び合うくだりは、ずっと頭にあったシーンなので書けて大満足です。

中途半端な文章にもかかわらず、読んでいただきありがとうございました。


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Secre

非公開さま(Kさま)

Kさん、こんにちは。

現代編、楽しんでいただけたようで良かったです。
今回の話は初めての「幼馴染じゃない」設定なので、その辺りを楽しんで書けたらいいなと思っています。
確かに瑠璃には大食いであって欲しいですよね。
少食な瑠璃なんて瑠璃じゃない(笑)
カフェで「おかわりちょーだい」 は面白いですね。
高彬は当然、どんな時代であっても堅物です!
流行に敏感な高彬なんて高彬じゃないですよねぇ・・。

コメントありがとうございました。


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非公開さま(Rさま)

Rさん、こんにちは。

三回?
ふっふっふ・・、Rさんたらお優しいこと。
その10倍くらいは考えていますから~(笑)

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非公開さま(Rさま)

Rさん、おはようございます。

指でペロ、のシーン。
このシーンが実現するのは残念ながら、ず~~~~~~っと先かも知れません。
だって、私、そう簡単にくっつけてあげる気ないですから!(笑)

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非公開さま(Rさま)

Rさん、こんにちは!

なるほど、確かに時間がたったらカピカピになっていそうですよねぇ。
ペロ、で無理ならば・・・店内ですよね。
しかしあの高彬がどうやって?(笑)
指でぬぐって、それをペロ、とかはいかがでしょう!?

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非公開さま(Rさま)

Rさん、こんにちは~。

>つまり続編ありということですね

は…は…、はい。Rさんの仰せとあらば(笑)
ぜひぜひRさんの素敵な妄想を語って下さいませ。
ほんと、この話についてはノープランですので、お知恵拝借でお願いいたします。

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非公開さま(Rさま)

Rさん、おはようございます。

そうなんです、どう出逢っても勝てない高彬。ここ大事です(笑)
でも「夜」は勝てる高彬…。あら、私としたことが!朝から失礼しました(笑)
でも、きっとRさんもそう思われていたはず…(だって「チームF」ですもの)
2人の恋模様、私も気になってきました。
ハッピーエンドなのは揺るがない事実なのですが、そうなる前のあれやこれやの騒動。
責任・・・と、と、取らせていただきます?!
(でもRさんの妄想もあてにしていますよ~)

非公開さま(Nさま)

Nさん、おはようございます。

高彬が瑠璃を見た第一印象が「可愛い」でしたものね。
タイプなんでしょうね。
瑠璃は高彬をどう思ったんでしょう?
「素敵な人だわ~」とは思ってなかったみたいですよね。上から目線ですし(笑)
今後の展開…実は私も気になってきてしまったんです。
このシーンだけを書きたくて書いたのですが、続きを書けそうか少し考えてみようと思います(*^_^*)

ありちゃんさま

ありちゃんさん、おはようございます。

> 会社員の高彬、やはり、仕事できるんでしょうね。

そうですよね。有能と言う設定は外せませんよね。
あとは「堅物」「朴念仁」も。
この三点揃ってこそが、我らが高彬!(笑)

非公開さま(Mさま)

Mさん、おはようございます。

設定が少し大人な2人。大卒で少し働いたとなると24~5くらいでしょうか?
しかも幼馴染じゃないとなると、2人の過去の恋愛模様も気になっちゃいますよね。(あ、気にならない?私だけ?)
過去どころか、今現在、彼女や彼がいたりして?!
三角、いや、四角関係?!
自分で書いた中途半端な文章に心乱されております(笑)
確かに今後の2人、気になります。
Mさんの妄想も、ぜひお授けくださいませ~。

ぺんぺんさま

ぺんぺんさん、おはようございます。

> 私も瑠璃さんはカフェラテのイメージですっ!!

やっぱりそうですよね!

> それかカフェオレ。で、高彬はエスプレッソです。

わかります、わかります。
大きなカフェオレボールを両手で持ってふーふー飲んでるイメージですよね。
高彬はエスプレッソ。またはブラックコーヒーで!

> 二人はどんな仕事をするんでしょうか。

そうなんですよねぇ・・。

確かに瑠璃の「広報」、高彬の「商品企画」はイメージですよね。
となるとやっぱりメーカーですかね。
でも「2人が組んでやる」となると・・。

> 一緒に仕事して、ときには意見の相違で喧嘩して、ときには取引先で一緒に謝って、そしてだんだんお互い惹かれあって…。

いいですね~。
残業して、デスクでうたたねしてる瑠璃に自分のジャケットをかけてあげる高彬とか…

> ぜひぜひ、続編書いて欲しいです!!お願いします("⌒∇⌒")

まぁ、そうですか!ありがとうございます。
少し考えてみますね(*^_^*)

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好きです。

瑞月さん こんにちは。
こういう場面切り出し見たいのもすごく好きです。
ニマニマしてしまいます。
会社員の高彬、やはり、仕事できるんでしょうね。

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きゃーっ( ☆∀☆)

きゃーっ!
そうなんです、そうなんです!!
私も瑠璃さんはカフェラテのイメージですっ!!
それかカフェオレ。で、高彬はエスプレッソです。
めっちゃ共感して興奮気味です(笑)

二人はどんな仕事をするんでしょうか。
私はメーカーしか勤めたことがないので他の職種はイメージわかないのですが、瑠璃さんなら広報とかマーケティング、高彬には商品企画のイメージです。もちろん営業もバッチリ!!
一緒に仕事して、ときには意見の相違で喧嘩して、ときには取引先で一緒に謝って、そしてだんだんお互い惹かれあって…。

と、激しく妄想かきたれられました!
ぜひぜひ、続編書いて欲しいです!!お願いします("⌒∇⌒")
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Author:瑞月
瑞月(みずき)です。

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