*** 筒井筒のお約束をもう一度・・60 <高彬・初夜編> ***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』

 

           ※このお話は初夜編(完結済み)の高彬サイドの話です。
                        







***  筒井筒のお約束をもう一度・・60 <高彬・初夜編> ***  









「若君、お車の準備が整いました」

将人に声を掛けられ立ち上がったところで、大江に付き添われた按察使が部屋に入ってきた。

「按察使・・・。大丈夫なのか、起きだしたりして」

一度、倒れたことのある按察使は、体調を崩しがちで、なるべく横になって身体を休めてもらっているのだ。

「高彬さまのこの佳き日に寝付いてなどいられませんわ。瑠璃姫さまとのご結婚おめでとうございます。ほんにようございました」

「ありがとう」

「行ってらっしゃいませ、高彬さま」

「うん、行って来る」

按察使の言葉に合わせ、一緒に頭を下げた大江にも目で合図して部屋を出る。

さすがに母親の前でミーハーっぷりをさらせないのか、神妙な顔をしているのが可笑しかった。

普段の大江だったら、ぼくが瑠璃さんとの結婚へと出向くとなれば、興奮のルツボと言うか、ドトウの質問攻めと言うか、そんな感じになるんだろうけどな。

───瑠璃さんと結婚。

そう。

今日、と言うか今夜は瑠璃さんとの結婚の日なのだ。

三条邸へと向かう牛車に揺られながら、不思議と心は凪いでいた。

一月前、瑠璃さんの記憶が戻った頃の方が落ち着かなかったような気がする。

重行には厳重注意を食らったけれど、権少将へ<夫>としての申し入れも果たしたし、「いよいよ瑠璃さんと結婚するんだ」と言う意識が常に心にあり、いつも気持ちが昂っていた。

だけど、結婚を一週間後に控えた辺りから妙に落ち着いてきて、近づけば近づくほどドキドキするかと思っていたのに、そこが自分でも不思議だった。

もしかしたら、肝が据わったとか、余裕が出て来たとか、そんな心持になれたのかも知れない。

物見窓からは秋の夜風が入り込み、八月に入り一気に季節が進んだようだった。

見上げた夜空は澄んでおり、窓からは見えないが、月が出ているのか牛飼童や車副の長い影を作っている。

壁に寄りかかり、ぼくは目を閉じた。

───瑠璃さん。





***********************************************





牛車を降り、庭を回って瑠璃さんの部屋を目指す。

遠く野犬の遠吠えが聞こえ、やがてそれも夜空に吸い込まれていった。

小砂利を踏みしだく音と、虫の音が聞こえる以外は怖いほどに静まり返っている。

階を上がると小萩が手を付いて待っており、ぼくの姿を認めると深々と頭を下げ、黙ったまま妻戸を押しあけた。

御簾の向こう、灯台のやわやわとした明りにぼんやりと浮かび上がる人影が目に入り、御簾の片端が持ち上がった。

そっと入って行くと、当たり前だけど瑠璃さんがいて、ぼくは───

度を失い、一瞬、立ち尽くしてしまった。

そうして、その瞬間、嫌と言うほど判ってしまったのだ。

心が凪いでいたのは、何も余裕が出て来たとかそんなことではなく、ただ単に実感がわかなくて、つまりは呆けてるような状態だけだったってことが。

瑠璃さんを目の当たりにして、息苦しいくらい鼓動が跳ね上がる。

「座ったら?」

瑠璃さんの視線に促されて腰を下ろしかけ、思いついて、円座に座らずに瑠璃さんの近くに座る。

「・・・瑠璃さん」

「高彬」

手を取ると、少し紅潮した顔で瑠璃さんが笑ってくれ、それだけで嬉しくなってしまった。

何か気の利いたことを、と考えている内、瑠璃さんが口を開いた。

「ねぇ、高彬」

「なんだい」

瑠璃さんのペースだなぁ、情けない、と思いつつ返事をすると

「吉野で言ってくれたこと・・・もう一度、聞きたいわ」

「え」

思いがけないことを言ってきた。

吉野で言ったこと?

「ほら・・・好きだって言ってくれたじゃない」

「え」

「もう一度、聞かせてよ」

「・・・・」

うーむ、と心の中で唸る。

「あの時は・・・、瑠璃さんが記憶を失っていたから・・・言えたことで・・さ・・・」

確かにプロポーズやら何やら色々言ったけれど、あれは瑠璃さんが記憶喪失だったことや、霊験あらたかな、み吉野と言う地、つまりは<非日常>だったからこそ言えたことであって、こうして京に帰ってきて改まって言ってくれと言われると・・・・

「なによぉ。記憶が戻ったら、言ってくれないの」

瑠璃さんが頬を膨らませる。

「い、いや、その、そういうわけじゃないんだけど・・・。男たるもの、そういうことをあまり軽々しく言うのは、ちょっと・・・」

「・・・じゃあ、いいわよ」

ふんと瑠璃さんがそっぽを向き、その横顔を見てたら、腹が決まった。

男たるもの、ここで言わなければ、それこそオトコじゃないだろう。

瑠璃さんが聞きたいと言うのなら、何度でも言ってやろうじゃないか・・・。

ひとつ息を吐き、瑠璃さんを抱き上げると、部屋の奥に設えられていた夜具にそっと運ぶ。

少し迷ったけど、直衣と単を脱いで小袖ひとつになった。

どうせ後で脱ぐんだし、ぼくが先に脱いだ方が瑠璃さんも、その・・・脱ぎやすいに違いない。

髪を梳き接吻をする。

瑠璃さん、好きだ、瑠璃さん、好きだ───

何度も何度も接吻をする。

好きだよ、瑠璃さん・・・。

このまま唇を離したくなかった。

だけど、離さなけらば言ってやることが出来ず、ぼくはほんの少しだけ唇を離した。

「瑠璃さん・・・好きだよ。・・・・好きだ」

わずかに唇が触れたまま、伝わるように心を込めて言う。

「瑠璃さんは?・・・瑠璃さんはどう?ぼくのこと・・・」

「・・好き・・・よ・・・」

かすかに触れたままの瑠璃さんの唇が震え、気が付いたらぼくは強く唇を押しあてていた。

深く強く唇を吸い、手は半ば無意識に瑠璃さんの単を開いていく。

すべてを剥ぎ取りたい欲望に流されないように気持を引き締め、だけどそんな理性が保たれるのはごくわずかな時間だと言うことは自分で判っていた。

「・・・瑠璃さん・・」

首すじに唇を這わせると、わずかにのけぞった瑠璃さんの細い喉と白い肌が露わになり、それだけのことで目が眩みそうになる。

首すじから喉、むき出しになった肩になぞる様に舌を這わせ、胸元を伝い先端に接吻をするとそのままそっと口に含んだ。

瑠璃さんの胸は信じられないくらいに柔らかかった。

瑠璃さんの身体が強張った気がして、ふと我に返る。

吉野での傷がまだ痛むのだろうか。

「まだ胸が・・・痛む?」

「ううん・・・そうじゃないの。ただ・・・恥ずかしくて・・・」

「・・・・・・・」

思ったことを言っただけなのだろうに、こんな言葉に身震いするなんて、ぼくは少しおかしいのかも知れないな・・・

そんな自嘲がふと胸を掠めたけど

「大丈夫だよ」

おくびにも出さずに接吻をし、そのまま単の合わせを開き、瑠璃さんの身体を全て剥き出しにすると、胸から腰まで身体の線をなぞるように手を這わせ、ぼくはためらうことなくその先まで指をすべらせた。

初めて触れるその場所は、温かくほんの少し湿っていて───

「・・・好きだよ・・・瑠璃さん」

言い終わらないうちに接吻をし、舌を割り入れ、瑠璃さんの舌を追いかける。

堪え切れなくなりぼくは態勢を変えると、瑠璃さんをしっかりと組み敷いた。

膝を開かせ、そのまま身体を進めて行くと

「ちょ、ちょっと!何する気よ!」

ぎょっとしたように瑠璃さんが跳ね上がり、ぼくは突き飛ばされてしまった。






<続>


一体全体、瑠璃はどうしたというのでしょう?・・・・などと書くのも白々しいくらい、皆さん、この先の展開はとうにご存じだとは思いますが、ここはひとつ、感情のこもらない棒読みで結構ですので

「瑠璃ってば、どうしちゃったのかしらー?」

とワクワクと(した振りをして)次の更新をお待ちいただけると、非常にありがたいです。

次回、いよいよフィナーレです。よろしくお付き合い下さい。


瑞月

(←お礼画像&SS付きです)

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Secre

非公開さま(Mさま)

Mさん、おはようございます。

高彬はきっとスケベに違いないのです(笑)
だって、ここだけの話、色んなシチュの想像(妄想)が容易に出来てしまうんですものー。
今回、久々に甘甘シーン(と言うか濡れ場?)を書いてみて、高彬の底知れぬスケベパワーを再確認してしまった気がします(笑)
さあ、二人は無事、初夜を迎えられるのでしょーか?!(←白々しい)

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