*** 筒井筒のお約束をもう一度・・58 <高彬・初夜編> ***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』

 

           ※このお話は初夜編(完結済み)の高彬サイドの話です。
                        







***  筒井筒のお約束をもう一度・・58 <高彬・初夜編> ***  









ぼくの予想がまったくの見当違いならそれで良し、だけどもし当たっていたとしたら見過ごすわけには行かない。

瑠璃さん本人に聞くのが一番なんだけど、だけど以前に権少将が夜這いに来た時、その後、瑠璃さんはぼくと権少将が職場で上手くいっているかを気にしていたことを考えると、聞いたって本当のことを言わないかも知れない。

手っ取り早いのは小萩に聞くことなんだけど、小萩がぼくに話してくれるとも思えないしな・・・。

あれこれ考えて、浮かんできたのは大江だった。

大江は、ぼくが吉野に行ってからこっち小萩と文のやりとりをしてるみたいだし、何か有力な情報を耳にしてるんじゃないだろうか。

自邸に戻ると、白湯を持ってきた大江に

「大江、そういえばね、瑠璃さんの記憶が戻ったよ」

さりげなく、だけど探りを入れてみると

「まぁっ!本当でございますの、高彬さま!」

白湯を放り投げるようにしてぼくの近くに座り込んできた。

「いつでございますの?記憶は戻ったけど、すっかりぽっかりと高彬さまのことはお忘れになっているとか、そういうことはございませんの?」

「いや、そういうことはないけど・・・」

うーむ、この調子だと大江も何も知らないみたいだな。

「それで、どうやって瑠璃姫さまの記憶は戻りましたの?何かこう、劇的と言いますか、ロマンチックな出来事がおありになりましたの?」

「さぁ、どうだろうね」

それを知りたいと探っているんじゃないか、と思いつつ、適当に相槌を打つと、それをどう受け取ったのか

「まぁ、高彬さまったら内緒になんかされて。うふふ。いいですわよ、高彬さまがその気なら、私、自分で調べて見せますわ」

握りこぶしなんか作り、一人で盛り上がっている。

「・・・大江。若君の前で何を騒いでいるのだ、はしたない。下がりなさい」

急に声がして振り向くと、いつからいたのか部屋の隅に守弥が控えていた。

「若君。ご所望の「白氏文集」の鈔本が先ほど届きました」

そう言ったきり、眉ひとつ動かさずに座りこんでいる。

瑠璃さんの記憶が戻ったことは、今の会話で知ってるはずなのに、守弥は触れる気がないらしい。

「守弥、瑠璃さんの記憶が戻ったんだよ」

「はい、そのようですね」

「・・・・」

陰と陽、暗と明。

両極端で、ほんと疲れる兄妹だよ、まったく。




**************************************************




翌日の朝の早い時刻に、大江が息せき切って部屋にやってきた。

「高彬さま、聞きましたわよ。何てドラマチックなのでしょう・・!」

言うなり「ほぉ・・」と大きなため息を付き、胸をかき抱いている。

「瑠璃姫さまに横恋慕する公達が、夜半、部屋にやってきて、想いを遂げようとしたところ、瑠璃姫さまは婚約者を想い抵抗を続け・・・・あ、婚約者とはもちろん高彬さまのことですのよ」

別に質問したわけでもないのに勝手に注釈を入れると

「『姫!』『お止めくださいませ』『嗚呼、姫!私をお忘れですか?!』『わたくしには想う方が・・』そこに現れたのが、驚くなかれ、煌姫さまなのですわ。瑠璃姫さまの一大事とばかり、そばにあった二階厨子を公達めがけて投げつけたのです!」

「・・・・・」

「公達が倒れこみ、巻き添えを食った形で瑠璃姫さまも倒れ、何とまぁ、その拍子に記憶を取り戻したのですわ。煌姫さま付きの女房の若狭が言うのですもの、間違いありませんわ。ついこの間まで白梅院にいた煌姫さまが瑠璃姫さまをお助けしたなんて、私も嬉しい・・・・あ、高彬さま、どちらへ・・・!」

ぼくはすっくと立ち上がると、そのまま車宿りに行き宮廷へと向かった。

やっぱりだ。

牛車の中でぼくは奥歯を噛み締めた。

煌姫が出てきたことは意外だったけど、だけど大まかではぼくが睨んだ通りだった。

あの日、権少将が右近衛府にやってきたのは、ぼくに用があって所在を聞きにきたわけじゃなかったんだ。

重行の言葉通り、ぼくが宿直かどうかだけを確認しにきたんだ。

宿直ということは、つまりは三条邸に行かないということだから。

通りで一晩待っても控えの間にやってこない筈だよ。

融があれだけぼくを避けていたのは、口止めされていたことが<瑠璃さんの記憶が戻ったこと>だけじゃなかったからなんだろう。

ぼくが権少将と揉めないように気を回したんだろうな。

怖い思いをしたと言うのに、まったく瑠璃さんは・・・・

我儘なようでいて、どっか気を遣う人なんだから───

こもごも思ううち、牛車は大内裏の門をくぐった。





<続>

いよいよゴールが見えてきました。

おそらく、あと5~6話で最終話を迎えられると思います。

よろしければもうしばらくお付き合いくださいませ。


(←お礼画像&SS付きです)

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Secre

非公開さま(Mさま)

Mさん、おはようございます。

ツーツーの大江と若狭。
貴人にプライバシーなんてないのです!(笑)
守弥は「自爆キャラ」に笑ってしまいました。ほんとにそうですよねぇ。
とことん自爆する守弥の壮大な物語を読んでみたいです。

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