*** 筒井筒のお約束をもう一度・・22<高彬・初夜編> ***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』



           ※このお話は初夜編(完結済み)の高彬サイドの話です。
                        






***  筒井筒のお約束をもう一度・・22<高彬・初夜編> ***  









物見窓から手招きされ、ぼくは渋々と疾風の身体を牛車に寄せた。

「何してるの、こんなところで」

「何って・・・」

思わず言いよどむと

「あー、高彬、もしかして・・・」

物見窓越しに、融は横目でじとっとぼくの顔を見ると

「姉さんだろ。姉さんに逢えないから、せめてその気配だけでも感じたくて、ウロチョロしてんだろ」

顔の下半分が見えないけれど、笑ってるのが十分にわかるような声で言った。

「ばーか。お前じゃあるまいし」

軽くかわしながらも、当たらずとも遠からずで内心冷や冷やした。

「ここのことろ、疾風と走ってなかったから久しぶりに鴨川まで走ってきたんだ。たまたまここが帰り道だっただけさ」

「ふぅん。・・・そっか」

我ながらちょっと苦しいな、と思いながら言った弁明を、融は素直に信じたようだった。

そうして少し考えるような顔つきになったかと思うと

「えーっとさ、高彬。その・・・元気?」

ついさっき、ぼくをからかったのとは打って変わってしどろもどろな口調で聞いてきた。

「はぁ?何だよ急に。元気も何も、こうして会ってるじゃないか」

呆れて答えると

「うん、そうだよね。えへへ。えーとさ、えーと・・・」

しきりに次の言葉を探す融を見ているうちにピンときた。

「融。お前、ぼくに何か言いたいことがあるんだろ。何かしたんだろ」

ズバリ言ってやると、融はびっくりしたように目を見開き、次いでおずおずと頷いて見せた。

「えーとさ・・・、良かったら・・・乗らない?白梅院まで送ってくから」

瑠璃さんと良く似た上目遣いで言う。

「・・・・・・・・・」

内心(何をやらかしたんだよ)と思いつつ、疾風を従者に託すとぼくは車中の人となった。






*********************************************************






「で、何をしたんだよ」

動き出した牛車の中、壁に背中を預けながら切り出すと

「うん・・・」

融は肩をすぼませ縮こまった姿勢のまま、しょんぼりと返事をした。

「・・・高彬、怒らない?」

「事と場合による」

重々しく言ってやると、融は今にも泣き出しそうな半ベソ顔になり、このままじゃいつまでたっても話しださないと思ったぼくは

「怒らないから、いいから言ってみろよ」

好奇心もあり、先を促した。

怒らない、と言う言葉に力を得たのか、融はひとつ大きく頷くと口を開いた。

「高彬・・・宮中の噂、知ってる?」

「噂?」

宮中なんかそれこそ日毎夜毎に、さまざまな噂が飛びかっているし、まぁ、ぼくはどちらかと言えば耳聡い方だと自負してるけど・・・・何の噂だろうか。

最近、耳に入ってきた噂話をあれこれ思い出していたら

「その・・・高彬の噂なんだけど」

ぼそぼそと言いにくそうに言った。

「ぼくの噂?」

びっくりして聞き返すと、融はこっくりと頷いた。

「うん」

「どんな」

「その・・・高彬んちにいる宮家の姫とさ・・・二人が恋仲だって言う・・・」

「・・・・・・・」

───出どこはここか。

ぼくは気付かれないように小さくため息をついた。

昨日、瑠璃さんには聞きそびれてしまったけれど、瑠璃さんがぼくと煌姫との噂をどこで耳にしたのか、気にはなっていたんだ。

ぼくが返事をしないことを何と勘違いしたのか

「まさか・・噂は本当なの?」

心配そうに身を乗り出してきた。

「そんなことあるわけないだろう。ぼくは瑠璃さん一筋・・、あ、いや・・・」

言わずもがななことまで言いそうになり、慌てて言葉を濁すと、融はそんなことは聞いていないのかたちまちホッとしたような顔になった。

それでもすぐに顔を引き締めて

「それでさ、実は・・・この噂、姉さんに話しちゃったんだよ。何かぼくもびっくりして慌てちゃって。そしたら姉さん、えらく驚いてさ。あー、言わなきゃ良かったって思ったんだけど、もう話した後だったしさぁ・・・」

いったん言葉を切り、顔色を窺うようにぼくの顔を見ると

「それで・・ほら、姉さんのことだろ。何かとんでもないことしでかすんじゃないかって心配になっちゃってさ。高彬の伝えておいた方がいいかな、なんて・・」

決まりが悪いのか、へへへ、なんて呟きながら頭をかいて見せた。

「・・・・・」

もうとっくにとんでもないことをしでかした後だとはさすがに言えなくて黙っていると

「あ、でも、今のとこ、姉さんは普通だよ。いつもみたいに大声で文句言ってるとかないから。昨日も姉さんの部屋、静かだったし」

「・・・・・」

そりゃ、静かに決まってるさ。

何しろ瑠璃さんはぼくの部屋にいたんだから。

うーむ。

ここで融を叱るのは簡単だが、融だって弟として瑠璃さんを心配してやったことだろうしなぁ。

それに、確かに女房姿の瑠璃さんを見たときは腰抜かしそうなくらい驚いたけど、でも、まぁ、今回のことは悪いこと一辺倒ってわけでもなかったしな。

按察使が命拾いしたのは瑠璃さんのお陰だし、その按察使はどうやら瑠璃さんを好いてくれたみたいだし。

「やっぱり・・・・高彬、怒った?」

何も言わないことに再度、不安を感じたのか、心配そうにたずねる融に向かってぼくは頭を振ってみせた。

「怒ってはいないさ。お前だって瑠璃さんを思ってしたことなんだろうし」

「うん、そうなんだよ、高彬」

「だけど、今度からはまずはぼくに言ってくれよな」

俄然、元気になった融には悪いけど、しっかり釘を指すと、融はまたしても小さくなって「うん」と頷いたのだった。






<続>


(←お礼画像&SS付きです)

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Secre

こももさま

こももさん、おはようございます!


> 実は高彬って、高校生なお年頃でしたね。

そうそう、そうなんですよ。花の男子高校生(笑)

> ただ、そのスピード感が姉弟間でかなり違ったみたいだけど(^◇^;)

時すでに遅し・・・(笑)

> 瑞月さんのペースで楽しんで書いて下さいね♪

ありがとうございます。
いろいろ書きたいことは頭の中でぐるぐるしてますので、楽しんで書いていこうと思っています^^

No title

瑞月さん、こんばんは〜☆彡
とっても出遅れなコメですみませぇん(;´Д`A

うふふ、高彬。
好きな子のおうちの近くをわざわざ通ったりして、
なんだか高校生みたぁい♡

と、思ったけど、
実は高彬って、高校生なお年頃でしたね。
今の同年代よりもずっと大人なんでしょうけど、
カワイイお年頃なんですよね〜(//∇//)

融くん、さすが瑠璃さんの弟!
とんでもないことしでかすって予感は的中!!
ただ、そのスピード感が姉弟間でかなり違ったみたいだけど(^◇^;)

いろいろとお忙しい中、お話の更新ありがとうございます。
続きもワクワクとお待ちしてますが、
瑞月さんのペースで楽しんで書いて下さいね♪




さりいさま

ジャパネスクミステリーで融は高彬に叱られてましたが、でもあのシーンでの高彬、相当、言いたい放題言っていて「素」が出てて良い感じでしたよね。

> お互い悪意がなく、素直に相手に向き合ってるからかなぁ、と思っていますが。

ほんと、その通りだと思います。二人の関係って良いですよね。
融にも幸せになって欲しいなぁ。


いいですねー2人の会話を読むと、いつもほっこり、ほのぼのします。
お互い悪意がなく、素直に相手に向き合ってるからかなぁ、と思っていますが。
そして、融の弁明にいちいち心の中でツッコミを入れる高彬がツボすぎる(笑)やっぱり、最近はこの初夜編、山内先生の絵で脳内再生されます。高彬のジャパネスクミステリーあたりの絵です。2人とも、可愛いです(笑)

みそさま

みそさん、こんばんは!

> まあ、それが宿命なのでしょうけど。(o^∀^o)

宿命・・(笑)
振り回す相手が瑠璃だけじゃなく融も入っているのが、高彬の素敵な(?)ところ。

時々、高彬に思いっきり振り回されている瑠璃って言うのを妄想するときがあるんです。
正確には、瑠璃を振り回している高彬、かな。
何かそれも良さそう~(笑)

> どうしても「男の子同士の会話」に聞こえてしまう。

う~ん、確かにそうですよねぇ。幼馴染だから、でしょうか?
ま、「女の子同士の会話」に聞こえないだけでも、良しとしましょうか(笑)

> 先のお話が気になりますが、無理のない程度に更新なさって下さいね!
> いつまでも待ってますよ!!\(^ー^)/

ありがとうございます。

> これから学校でヨガして来ます!

わ、いいですね!ヨガ、興味あります。やってみたいです。

相も変わらず、高彬は内大臣家の気まぐれなご姉弟に、振り回されてばかりですね。
まあ、それが宿命なのでしょうけど。(o^∀^o)
姉思いの、可愛い融が大好きです!
それにしても、高彬と融の会話って、なぜか「男同士」って気がしないんですよね。
世間的には大人の男なはずなのに。
どうしても「男の子同士の会話」に聞こえてしまう。
それが好きなんですけど。

先のお話が気になりますが、無理のない程度に更新なさって下さいね!
いつまでも待ってますよ!!\(^ー^)/
これから学校でヨガして来ます!
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Author:瑞月
瑞月(みずき)です。

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